急成長見せる低空経済

2025-03-31 10:11:00

王雲月=文 航天時代飛鵬=写真提供 

風雨の日に出前を頼むと、荒天の中を電動バイクで走って届けてくれる配達員に申し訳なく感じるものだが、今後はそのような心配が無用となるかもしれない。また、へき地では宅配便を受け取る際、往々にして自宅から離れた営業所まで赴く必要があるが、将来はそのような手間がなくなる可能性がある。物を運ぶ際、人の手では難しいケースは少なくない。そんなとき、出前や荷物に『ドラえもん』でおなじみの「タケコプター」を取り付け、さまざまな障害を飛び越えて直接手元に届くようにできたらと考えたことはないだろうか。現在、ドローンによってその夢が現実になろうとしている。 

中国はドローン技術の研究開発やイノベーション、応用シーンの拡大の面で世界に先行していると言っていい。中国民用航空局空管業界管理弁公室副主任の駱洪江氏の説明によると、中国の民用ドローンは農業、林業、牧畜業、漁業、エンターテイメント、空撮などの分野で先行普及を実現し、都市コンテクストや物流面での応用における進んだ管理モデルと技術水準が普及を後押ししており、島しょや山地、砂漠などでの運用が引き続き進められ、有人機と無人機の共同運用や有人飛行もすでに試験検証段階に入っている。 

低空域飛行活動による経済形態である低空経済の隆盛に伴い、数多くのテクノロジー企業がこの分野に続々と参入している。技術の研究開発や生産製造、特殊なシーンでの操作能力が一体となったドローン企業である航天時代飛鵬有限公司(以下、飛鵬)は、その中でも際立つ存在だ。 

「ドローン+物流」が主流へ 

江蘇省蘇州市の花橋低空経済産業パークにある飛鵬の本部で、同社のスタッフがドローンを使った高効率で便利な出前の配達を披露してくれた。まず、飛鵬が研究開発した「飛吉達」プラットフォームを通じてコーヒーを1杯頼むと、商店は注文を受けて入れ立てのコーヒーを近くの離陸ポイントまで届ける。そして、ドローンの下部に取り付けられた出前や宅配便用の箱に入れると、バックエンドシステムがドローンにスマート受け取りボックスまで飛んで戻ってくるよう指示を出すとともに、注文者に受け取りのお知らせを適時送る。このようにして、わずか13分で注文から受け取りまでの全てのプロセスが完了した。 

飛鵬副総経理の畢培信氏によると、ドローンを使った出前の配達はすでに各地で正式に運用されているという。現在、深圳(しんせん)や広州、上海などの商業エリア2)や観光地など、人通りが多くて出前のニーズが大きい場所で続々と飛行ルートが創設され、ドローンを使った物流や宅配便の配達が行われ始めている。目下、すでに設けられたドローン用の飛行ルートは30本近くに上り、配達件数も約30万件に達し、これらの数字はすさまじい速さで更新され続けている。 

では、ドローン運輸はいつ中国に普及するのかとの問いに、畢氏は「現在、国内のドローン運輸業務は急速に成長する時期にあり、技術が成熟しており、直面している主な課題はいかにしてドローン技術をより多くのシーンでいっそう広く日常生活に溶け込ませるかということです。その解決のためには社会全体の一致した努力が必要です」と答えた。同氏はさらに、国家レベルで引き続き打ち出されている空域管制、飛行ルートの運行、企業経営、商業サービスなどの面でのドローンの活用に資する政策がドローン配送業務の発展を力強く支えているとし、「ドローンを使った宅配便の配達ボックスは今後3年から5年で全てのコミュニティーに備え付けられ、住民の皆さんは宅配便を手軽に受け取れるようになるのではないかと思います」と語った。 

また、ドローンによる自宅への直接配送も、業界が今まさに取り組んでいる先端分野だ。畢氏はこの点について、ドローンの離着陸に必要なスペースを考えると、外に向かって開けた台が各家に必要で、このニーズはドローンと建築業界の緊密な協力を後押しし、新たな成長の流れを後押しすると指摘した。遠くない未来に窓を開けて出前を受け取ることも夢ではなくなるだろう。 

無限に広がるドローンの応用 

飛鵬の成長目標は従来の運輸業界の革新だけにはとどまらない。同社は民用物流、レスキュー、業界サービスなど鍵となる分野でのドローンシステムの産業化と応用を推進しており、先進的かつ包括的なドローンの応用エコシステムを打ち立てようとしている。この目標を達成するため、飛鵬は「ダブル1000、ダブル100、ダブル10」という三つのドローンシステムをすでにリリースし、さまざまな場面でのニーズに応えている。 

具体的には、「ダブル1000」のドローンシステムは飛行半径1000および搭載可能重量1以上を備え、広域をカバーし、重量物の運搬を必要とする物流運輸やレスキューで活用される。また、「ダブル100」は飛行半径100、搭載可能重量100以上のドローンシステムで、中短距離の物流運輸と救急に用いられる。「ダブル10」は飛行半径10、搭載可能重量10以上で、比較的狭いエリアで軽量物の配送や救急に使われる。飛鵬を取材で訪れた際、畢副総経理は現在のドローン技術が応用されている分野と業種を細かく説明し、その事例を見せてくれた。例えば、ドローンは農業分野で作物のモニタリングや農薬の的確な散布に用いられており、収穫増や農薬の使用削減につながっている。環境モニタリングの面では、ドローンはへき地における森林の状況や野生動物の活動、汚染レベルなどに関するデータ収集に活用されている。気象観測の面では、ドローンは専用設備を搭載して飛ぶことでリアルタイムに天候の変化を捉え、天気予報や災害警報で非常に役立っている。さらに、資源探査の分野では、ドローンは広大なエリアをカバーして鉱物資源やエネルギーの調査を行うことができ、資源探査の効率と安全性を大いに高めている。 

畢氏は飛鵬のドローンが緊急救援や物資輸送で果たしている重要な役割について、「2023年7月末から8月初頭にかけて、京津冀(北京市天津市河北省)地域で非常に深刻な水害が生じ、道路や電力網が切断された中、私たちは直ちに『ダブル10』のドローンを使って北京市房山区の農村を支援するよう手配しました」と、自身も携わった事例を挙げて説明してくれた。当時、水がなかなか引かず、道の通行が阻まれ、救急スタッフが被災した村に入るのは困難だったため、ドローンが重要な救援手段となった。「ミッションを行うに当たり、私たちはまずドローンで村に衛星電話を届けて通信を復旧し、村民が外部と随時連絡を取り、村の状況を伝えられるようにしました」。その後、飛鵬のドローンは物資支援も担ったとのことで、「一部の村では長期間にわたり交通が寸断され、村内では生活物資の供給に問題が生じました。私たちは引き続き同型のドローンを使って一昼夜で300ケース以上の生活物資を投下し、それらの村の生活物資が確実に供給されるようにしました」と畢氏は語った。 

発展の新たなチャンスを模索 

ドローンはまだ完全には開拓されていないブルーオーシャンであり、続々登場する新たな応用シーンはドローン業界のフロンティアを広げるだけでなく、企業にかつてない発展のチャンスをもたらしている。 

飛鵬のような数多くの中国のドローン企業は積極的にこのチャンスを捉え、国内と国際の二つの市場で同時に布石を打っている。畢氏によると、飛鵬は国際市場の開拓の面で、主に民用の物流運輸分野に焦点を当てており、インフラが整っておらず、空中運輸でもとりわけ廉価なものが切実に必要とされている地域を市場として有望視している。現在、飛鵬は東南アジアや中東、北アフリカ、南米などの地域で市場を開拓するとともに、積極的に現地の企業や機構と協力関係を結び、物流運輸分野でのドローンの応用の潜在力を共に模索している。 

将来を見据え、飛鵬は発展途上国の低空経済市場にも目を向けている。「私たちはドローン運輸を一つの完成されたシステムと定義しており、その中には空中のドローンだけでなく地上の指揮コントロールシステムも含まれるほか、さらにはより多くの関連サービスや施設にまで及ぶ可能性があります。空中と地上が一体となった運用により、私たちは交通運輸の三次元モデルへの転換を後押しし、世界各国各地域の業界やユーザーに各シーン別のソリューションを提供することができます」と畢氏は語った。 

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