ロボットに無限の応用

2025-03-31 10:14:00

王雲月=文 メックマインド=写真提供 

年、中国は世界のロボットテクノロジーのイノベーションと応用の拡大、業界ガバナンスの重要な担い手となっている。中国のロボット関連の有効特許19万件を超えており、世界全体に占める割合はおよそ3分の2に達する。また、11年連続で世界最大の産業用ロボット市場となり、ここ3年間の新規導入台数は世界全体の過半数に及んでいる。さらに、製造業のロボット密度は従業員1万人当たり470台に達しており、10年間で19倍近い増加となったほか、ロボット産業の営業収入は年平均で約15%増えている。 

中国のロボット産業がこれほど急速に頭角を表し、勢いよく成長を続けているのはなぜなのか。また、今後はどのような方向に発展していくのだろうか? その答えを見つけるべく、記者は産業用ロボットのさらなるスマート化に力を入れている中国の国家級「専精特新」(専門化精密化特徴化斬新化)企業であり、「小巨人」と呼ばれる高い成長性または大きな発展のポテンシャルを持つテクノロジーイノベーション企業のメックマインド(Mech_Mind)ロボット科技有限公司を取材で訪れた。 

発展のボトルネックを突破 

2016年、人工知能(AI)が名だたるプロ棋士と対戦する歴史的な囲碁の勝負が行われ、グーグル傘下のDeepMindが開発した囲碁AIのAlphaGoは当時世界最強と称されていたイセドル氏に勝利した。この出来事はAI技術の急速な発展を世に知らしめただけでなく、科学技術界のAIに取り組む情熱と無限の想像力を喚起した。 

そのような中、折しもドイツで学んで帰国した邵天蘭氏は長年にわたるロボット分野の研究の蓄積に基づき、ロボット技術の発展のボトルネックが打ち破られる時が来たと鋭く見抜いた。「私は12年からドイツのミュンヘン工科大学でロボット専攻の大学院生となりました。そして、学びを深めるにつれて、ロボット技術で真のブレークスルーを成し遂げる上で最も鍵となる問題は、いかにしてよりスマート化するかということだと気付き始めました」と語る邵氏によると、当時所属していた研究チームはロボットに簡単な動作をさせるのに1週間もの時間を費やしてプログラミングを行うのが常だったという。同じ作業を人間にやらせるなら一言二言伝えれば済む話で、言い換えるならばそれ以前のロボットは正確にプログラミング通りに命令を実行することに重きを置く「機械」であり、認知機能や意思決定能力を持つ知能体ではなかったということだと邵氏は語る。 

「より優れた目と脳を持たせてこそ、ロボットは環境を感知して決定を下し、より多くのことができるようになります」という認識とビジョンに基づき、邵氏は16年に清華大学の海外留学帰りの優秀な人材を集め、メックマインドロボット科技有限公司を立ち上げた。そして、自主研究開発による3D視覚技術とAI技術によって産業用ロボットにより優れた感知能力と計画能力を持たせた。すなわち、従来のロボットが真の意味でスマートロボットとなったのである。 

ロボット産業の近年の急速な発展は当時の邵氏の先見性を裏打ちしている。流れに乗ったメックマインドはわずか8年間で一躍世界のAI+産業用ロボット産業のリーディングカンパニーに成長し、自主研究開発生産の高精度3D視覚センサーやAIソフトウエアはさまざまなスマートロボットに広く応用され、その業務エリアは中国、日本、米国、韓国、ドイツなど50余りの国地域をカバーしている。 

「ロボットに対する市場のニーズは高まる一方で、ますます多くの世界各国の顧客が煩雑で危険な業務にロボットを導入したいと考えています。これは折しも、AI技術によってロボットがより多くのことをできるようにし、全ての人々が素晴らしい生活を送れるようにするという私たちの初心に合致しています」と邵氏は語る。 

目と脳を持つロボット 

北京にあるメックマインド本社でビジネス市場副総裁を務める徐婷婷氏は同社が自主研究開発したさまざまなモデルのロボットを見せてくれた。数人のエンジニアが操作するそれらのロボットは貨物の仕分けやワークローダーといったさまざまな作業を整然とこなし、その動作は正確かつ高効率だった。 

これらのロボットは一般の人々がイメージする従来の産業ロボットアームと顕著な違いはないように見えるが、実際には各モデルのロボットは独自の機能と技術を備えている。 

数多くの展示品の中で、メックマインドによる産業用ロボットのイノベーションの成果を示すものとして特に目を引いたのは、コンパクトなピッキングロボットだ。このロボットは部品かごの中に無造作に積まれた形状や材質の異なる物品のピックアップにも難なく対応できる。指示を出しさえすれば、ロボットは素早く正確にかごの中の雑多なものをつかみ、指定した場所に分けて置いてくれる。かごいっぱいの物品の仕分けに、ほんの数十秒しかかからなかった。 

徐氏によると、このモデルのロボットにはメックマインドが自主研究開発した産業用3DカメラとAIアルゴリズムが搭載されており、これらはロボットの目と脳に相当するのだという。「かつての産業用ロボットは物体の位置や形状を識別できなかったため、正確に作動させるには加工品の形状を統一し、位置も固定する必要がありました。しかし、現在ではロボットはカメラの視野範囲内に置かれている部品を適宜識別することができ、産業シーンでのロボットの活用性はこの上なく高まっています」 

また、徐氏によれば、かつての産業用ロボットは専門的なプログラミングに依拠したものだったが、AI技術の導入によってロボットは自らの動作を自主学習および最適化でき、操作のプロセスが極めて簡略化されただけでなく、エンジニアに求められる技術レベルも下がったという。「自動車製造業を例に挙げると、この業種は生産ラインの入れ替えが頻繁に行われ、生産ニーズが毎日異なるケースもあり、さらに部品もそれぞれ異なります。過去のやり方では全ての生産ニーズごとにコードを書き変える必要がありましたが、スマートロボットはこれらの変化に素早く対応し、速やかな生産ラインの入れ替えと高効率な生産を実現できます」と徐氏は説明する。 

つまり、スマート化された産業用ロボットは変化の多い生産環境により柔軟に適応できるということだ。これは高い効率と適応性が求められる現代の工業生産にとって非常に重要であり、産業用ロボットが単純な反復労働をこなす機械から賢く柔軟で頼れる生産パートナーに変わったことを意味している。 

協力で広がるロボットの応用 

「ロボット産業の発展は人類社会の今後の発展傾向と合致したものであるべきで、数多くの仕事でその危険性や大変さをかんがみ、ロボットに置き換えるのが適切です。このような置き換えは人的資源を解放し、人々がより多様で付加価値の高い仕事に身を投じられるようにすることでしょう」と語る邵氏は、スマートロボット産業の発展の後押しは技術と経済の進歩における要請であるだけでなく、人類の生活の質を高める重要な手段だと強調した。 

とりわけ高齢化が日増しに深刻になり、人的コストが絶えず高まり、生産モデルのアップグレードとモデルチェンジが進み続ける中、ロボットのスマート化は各業界業種のアップグレードに寄与している。邵氏の説明によると、現在のロボット業界は折しもモデルチェンジの段階にあり、ロボットは従来型の工業製造分野からサービス業やその他のより幅広い分野に徐々に浸透しているという。メックマインドの中核的業務は「あらゆるシーンでのスマートロボット普及の後押し」であり、同社はこの目標を達成するためにコア技術のイノベーションやグローバルな業務展開、協力パートナーとの関係構築により専念し始めている。 

「協力パートナーは極めて重要です」と話す邵氏は、ロボットは膨大かつ複雑なシステムで、数多くの国や業界、さらにはさまざまな応用シーンに関わるものであり、一社だけで全ての業務を完成させることはできないため、応用シーンの拡大や協力パートナーとの関係構築は今後の競争で特に注力すべき点だと強調した。 

近年、メックマインドは世界で協力パートナーの輪を広げて続けている。21年に設立されたメックマインドの日本法人は、数多くの業界で先行するロボットメーカーや販売業者と踏み込んだ協力関係を打ち立てている。また、韓国では、メックマインドは良質な顧客クラスターだけでなく、優れた技術力を持つ協力パートナーを有している。邵氏によると、「韓国の倉庫や自動車の生産ラインなどでは、当社の3D視覚技術のロボット設備が幅広く導入されており、多くの部分のオートメーション化の実現に寄与しています」とのことで、メックマインドは現地の協力パートナーと連携して市場の開拓に努めているほか、韓国の輸出力をよりどころとし、協力パートナーを通じて他の国や地域へと業務を拡大させている。 

顧客と協力パートナーの範囲の拡大に伴い、メックマインド製品の応用シーンも絶えず革新が行われている。「ある顧客は当社の製品をフライドチキン用のロボットに活用し、自動調理を実現しました。当社は協力を通じてその他のサービスでの活用を常に模索しており、これらの新たな応用シーンの開拓には非常に大きな潜在力が見られます」と邵氏は語った。 

人民中国インターネット版

 

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