世界を駆ける高速鉄道
段非平=文
中国の先進製造業の代表である湖南省株洲市の中車株洲電気機関車有限公司(以下、中車株機)は、世界に追い付き追い越す中国鉄道設備の発展プロセスを見守り、そして積極的に関わった。疾走する列車の陰に、中車株機の急速な発展を支えるエンジンでもあり、同社の海外進出を推進する強大な原動力でもある科学技術イノベーションがあった。
世界をリードする技術革新力
中国・マレーシア国交樹立50周年祝いの品として、中国中車グループが自主開発した第3世代のメーターゲージ(線路のレール間隔が1㍍)車両「ETS3」が昨年6月7日、中車株機で正式にラインオフした。中国国内の高速列車に比べ、ETS3高速列車は明らかに小柄だ。これについて、中車株機ETS3高速列車チーフデザイナーの任沢文氏は次のように説明する。「マレーシアで主に使用されている幅1㍍のメーターゲージは標準軌より435㍉狭いです。列車がこのレールで高速で安定した走行をすることは、平均台の上でダンスするのと同じぐらい難しいことです」
「平均台でのダンス」を実現するため、任氏と彼が率いるチームは多くの技術的難題を克服し、デザインの革新も行った。最終的に、ETS3高速列車の運行速度は時速160㌔、最小回転半径は100㍍となった。この二つの重要な指標はいずれも世界のメーターゲージ高速列車の最高水準に達している。現在、マレーシア交通の大動脈である西海岸線を走るETS3高速列車は、現地の軌道交通ネットワークの乗客定員数と運行効率を大幅に向上させ、1900年に建設されたこの歴史ある鉄道路線に近代的な交通体験をもたらしている。
中国最大の積載量の貨物列車をけん引する電気機関車「国能号」、「世界の屋根」と呼ばれる青蔵高原を疾走する「復興号」、世界最速を記録する「CR450」高速列車など、革新駆動型発展を終始堅持してきた中車株機は多くの中国ないし世界記録を更新した。レール上の「名刺」として、中車株機はすでに世界五大陸で業務を展開しており、世界各地で「中国スピード」を出し続けている。
製造業にスマート化の翼を
スマート製造は中国製造業の革新的発展の重要な足掛かりであり、中車株機が質の高い発展へ踏み出す力強い支えでもある。
中車株機が建設した世界初の高速列車用ボギー台車スマート製造作業場では、多くのロボットが加工、組立、溶接などの各工程エリアに規則正しく並び、ロボットアームが柔軟に動き、無人搬送車が行き来し、生産が無駄なく行われている。ボギー台車は車両のコア部分であり、その品質が列車の安全運行を左右する。ボギー台車は2000個以上の部品で構成されており、全ての部品が基準を満たしていなければ、列車を安全かつ安定的に運行することはできない。
「車軸を例にすると、この部品は髪の毛の直径4分の1に相当する0・02㍉の精度が求められますが、ロボットアームを利用することでこの誤差を0・01㍉以内に抑えることができます。人の手による溶接ならほぼ不可能です。軌道系交通製品にとって最も核心的な問題が安全性であり、スマート製造はこの問題をうまく解決しています」と中車株機チーフエンジニアの高殿柱氏は述べた。
ボギー台車スマート製造作業場は中車株機の生産・製造分野におけるスマート化の縮図にすぎない。ここ数年、中国初のスーパーコンデンサーモジュールスマート生産ラインなど11本のスマート生産ラインが相次いで中車株機で稼動し、スマート化改造、デジタル化モデルチェンジの足取りは、列車の車輪のように絶えず前進の歩みを加速させている。
グリーン・低炭素への進化
2012年に開催された中国共産党第18回全国代表大会以降、中国は新型工業化を大いに推進し、先進製造業を中堅とする現代化産業体系を絶えず構築し、新たな質の生産力をもって製造業の質の高い発展に力を入れている。グリーン化は新型工業化の重要な特徴の一つで、ここ数年、中車株機は省エネ・低炭素、デジタル化モデルチェンジを発展のキーワードとし、「グリーン株機・スマート株機」の構築に全力を挙げている。
中国が打ち出した「ダブルカーボン(6)(二酸化炭素排出量ピークアウトとカーボンニュートラル実現)」戦略に応えて、中国初の大出力完全電気新エネルギー入換機関車が23年に中車株機でラインオフした。同機関車は「3秒に1㌔㍗時」の「スーパー急速充電」を実現し、満充電状態で1200㌧の貨物を128㌔けん引することができる。ディーゼル機関車に比べて、同車は1台当たり年間約150㌧の二酸化炭素排出量を削減できる。これは8200本の木を植えることに相当する。昨年3月、中車株機は水素エネルギー分野でも新たなブレークスルーを遂げ、中国国家能源集団と共同開発した中国初の大出力水素エネルギー動力入換機関車が1万㌧の積載試験をクリアした。水素燃料電池とリチウム電池を動力とする同車は、時速100㌔で1万㌧をけん引することができ、中国重量貨物鉄道の大出力水素エネルギー動力設備の市場運用が重要な突破を遂げたことを示している。
「『ダブルカーボン』戦略の深化と設備更新の新たなブームは、中国製造業に新たな発展のチャンスをもたらしています。中車株機はグリーン製造のトップランナーになることに力を入れており、中国製造が世界の低炭素発展の一助となることも期待しています」と高氏は展望を語った。
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