図書館——スマート化でニーズに対応

2025-07-28 15:24:00

段非平=文 

行き届いた読書サービス、独創的なスマートテクノロジー、多種多様な文化活動など、近年、多くの図書館がハイテクを軸とし、文化的ぬくもりを兼ね備えた都市の文化的ランドマークとなり、国内外の観光客を図書巡礼の旅にいざなっている。 

AIで新たな読書体験 

最近、深圳(しんせん)図書館北館が海外で話題となった。外交部の毛寧報道官が海外のSNSに投稿したショートムービーによって、この中国の「魔法図書館」が世界に知られることになった。高さ20余りの立体書庫の中を本が自動で行き交う光景は、「ハリーポッター」のホグワーツ魔法魔術学校を彷彿させる。中国初の超深層埋設型立体書庫には全自動スマート仕分けシステムと垂直搬送システムが使われ、利用者の貸し出し申し込みを受け取ると、540万冊の蔵書から約10分で指定の図書を探し、利用者に届ける仕組みだ。 

144本の「イチョウの木」を模した柱に支えられる北京城市図書館も独特なデザインと最先端のスマートサービスによって、北京を訪れた多くの観光客が足を運び、写真撮影をする文化的聖地の一つとなっている。「このために成都から飛行機で来ました」と大学生の陳宇さんは話す。「利用者の読書習慣から図書をおすすめしてくれたり、ロボットが本を探してくれたりするとネットで見掛け、とても新鮮に思いました。来てみると、ここは知識のスマート王国だと感じました」 

従来の図書館は「利用者が図書を見つける」だが、北京城市図書館ではデジタル技術によってより詳細な利用者像を作成し、その知識体系に合った図書を利用者にマッチングしおすすめすることで、「図書が利用者を見つける」を実現した。ここでは以前のように早朝から並んで席を確保する必要はなく、指を少し動かして「ワンタッチ予約」をすれば、席や図書、さらに機材やイベントまで予約でき、より余裕を持って計画的な文化の旅を行える。館内を巡回するロボット職員「図悦閲」も親切で、手を上げれば来てくれ、質問に答えてくれるほか、15分以内に図書の場所を正確に把握して利用者の机に届けてくれる。また本を借りるときもノンストレスだ。借りたい本を選べば、何の操作もせず、貸し出しコーナーを出ると利用者カードが自動的に貸し出し手続きを終わらせている。自宅の書斎にいるような手軽さだ。 

北京城市図書館は開館からすでに延べ500万人ほどが訪れ、雑誌『TIME』の「2025年世界の訪れるべき場所100選」に選ばれ、北京で初めてこの栄誉に輝いた文化的ランドマークとなった。 

心の充足促す展示 

多くの図書館は基礎的なサービスの刷新のほかに展示やイベントなどに力を入れ、利用者に今までと異なる体験を届けようとしている。 

「SNSで長沙図書館の『図書館の奇妙な夜』イベントを見掛け、子どもを連れて来ました。子どもと一緒に図書館にテントを張り、お話を聞き、絵本を読み、そのまま寝て、とても良い雰囲気の親子読書イベントでした。子どもも、図書館は面白い、ずっとここに住みたいと言っていました」と専業主婦の李雯さんは感想を述べる。その翌日、キャンプから目覚めた子どもたちは特別な朝読書で図書館の旅を終えた。職員に続いて「ハイブリッド水稲の父」袁隆平氏の散文『我有一個夢』を朗読した子どもたちは、袁氏に尊敬と親しみの念を抱いた。 

蘇州第二図書館のブランディング活動である「江南の小さな本の虫」は保護者と子どもたちから長年愛されている。館内では、気軽に参加できて内容が豊かな読書会や親子手芸体験コーナーが日常的に開かれている。親子が協力して読み終わった本の要素を手芸品に込めることで、親子の仲が深まり、本の内容をいっそう深く理解できる。また、図書館は利用者に蘇州をよく知ってもらうために専門エリアを設け、貴重な古い文献や写真、文化財の複製品などを展示し、蘇州の歴史と文化の発展を説明している。観光客はここで蘇州に関する図書を読めるばかりか、この都市の過去と現在の姿を鮮明に見比べ、江南文化の独特の魅力に触れられる。さらに、不定期で開かれる蘇州評弾(弾き語りの演芸)や『三国志』の呉の文化講座がこの土地の特徴をより立体的に物語り、観光客が蘇州文化を体験する上で欠かせない場所となっている。 

これら各地の図書館は、革新を繰り返し、読書をさらにスマート化するとともにぬくもりを与えている。都市の文化的肩書きとなりつつある図書館は、その本の香りの中で観光客に都市の魂を感じさせ、文化の魅力を味わわせてくれる。 

 

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