大学の人材育成プラン

2026-02-03 10:18:00

李士萌=文写真 

近年、中医薬に携わる人材の革新的な育成計画が相次いで打ち出されている。中医薬の発展を継承革新し、深い「中医学の思考」を持つ専門的な人材の育成は、中医薬関連の大学が持続的に力を入れる方向となっている。 

師弟関係の深まり 

2012年に江西中医薬大学は中国中医科学院の中医臨床基礎医学研究所などの機関と連携してハイレベル中医臨床人材育成の改革に乗り出し、「師承」教育モデルの確立を突破口とした。 

江西中医薬大学の岐黄国医書院陽明医堂で北京から来た蕁麻疹の患者に時間をかけて問診をしたケースを紹介する。彼女が最初に受けたのは、同書院修士3年生による「望聞問切」(中医学における患者への四つの診察方法)だ。学生は臨床検査の判断を終わらせ、カルテAを作成する。その後、患者と問診を担当した学生は共に診察室に入り、長年の臨床経験を持つ指導教師による二次問診を待つ。指導教師は追加質問から学生と共にカルテAを項目ごとに修正し、カルテBを作成する。 

「中医学には言葉ではなく感覚でしか分からない『暗黙知』がたくさんあり、それは師匠のそばで体得し悟らなければいけません。AとBのカルテを照らし合わせて評価することで、学生が理論と知識をどのように臨床に応用させるかをより理解しやすくできます」と江西中医薬大学岐黄国医書院の石強院長は説明する。 

中医薬人材の育成はどうして特に「師承」が必要なのか。ドイツの学者フォルカーシェイド氏によれば、中医学の神髄は処方の柔軟性にあり、学生は教師の処方を書き写さなければその能力を体得できない。「伝統的な師弟関係は現代の大学の教師と学生の関係とは異なり、弟子は単に教師の指導の下で論文を完成させて卒業するのではなく、師匠の思想と経験を継承することができるのです」とフォルカー氏は語る。 

過去の「師承」は内向きの循環を強調しがちで、中医薬を閉鎖的に向かわせやすい点があった。上海中医薬大学中医薬国際化発展研究センター執行主任の宋欣陽氏は、中医薬人材の育成には「流派を集めて合流させる」ことが大切であり、学生は師についていくだけではなく、多くの師と師弟関係を結び、長所を多く取り入れ、統合して理解する必要があると強調した。 

書籍と臨床の違い 

中医薬の神髄を継承するには、著名なベテラン中医師の経験を授かるとともに古典の履修も必要だ。 

大部分の中医薬大学中医薬関連学科の学部生向けカリキュラムでは、『黄帝内経』や『傷寒雑病論』などの古典が必修科目になっている。しかしそれらの古典の文章は難解で読みにくく、中医薬専攻学生のネックとなっている。 

北京中医薬大学博士課程の李稚僑さんは大学1~3年生までほぼ毎朝5時か6時に起床し本を暗唱していた。古典の原文や400種類余りの生薬の効能を暗記するためだ。「しかし中医薬の言語構造に詳しくなっただけで、臨床における作用までは理解できませんでした。本当の『悟り』は臨床から始まり、実際に手を動かさないと古典の内容を真に理解することはできないのです」と李さんは振り返る。 

「中医学は悟性を特に重んじます。学生の『悟り』のハードルを下げるために、私たちは『中医四診技能実訓』『典型症状鑑別診断学』など学生が臨床で使える実践的なマニュアルを作成し、知識を構造化、論理化、明確化しました」と江西中医薬大学の劉紅寧首席教授は語る。 

医薬の理解を深めるために、江西中医薬大学岐黄国医書院は毎年学生たちに山での薬草採集を企画し、生薬室で1カ月のローテーション研修(7)を課す。「書物だけの知識では不十分であり、生薬の鑑定は実践が欠かせません。見て、触れて、味わい、嗅ぎ、ときには道具を借りて初めて生薬の品質を鑑別できるのです。原材料の品質は臨床治療の効果を大きく左右します」と同院大学院生3年の康照龍さんは言う。 

中医学と西洋医学の相互参照 

「師承」を強調し、古典を継承するとともに、中医薬教育界は中西医(中医学と西洋医学)の結合という新天地を開拓している。 

中国工程院院士で心血管疾患専門家の張運氏は次のように考える。中西医の体系は根源が異なり、方法もそれぞれ特色があるため、互いに参考にすべきだ。思考様式において、西洋医学は中医学の弁証法的思考をより参考にすべきであり、一方、科学技術や先進的な診療手段などにおいて、中医学は西洋医学の長所をより参考にすべきである。総じて原則はただ一つ——患者の利益になること、である。 

「中西医の結合は臨床における現実的なニーズであるばかりか、中医薬の革新的な発展における内的な要求でもあります。そして中西医の相互参照という大勢の下、『中医学の思考』の確立がことのほか重要になります」と北京中医薬大学の丁霞副学長は指摘する。 

「中医学の思考」とは何か? その中核は「全体観」にあると多くの専門家や学者は考える。すなわち、医者は疾病そのものに関心を向けるだけではなく、その背後にある心理、飲食、行動といった総合的な要素も見抜かなければならないということだ。中西医の結合の深層にある意義は、局部と全体、ミクロとマクロを融合させ、最終的に「人間」に注目することにある。 

「中医学と西洋医学は自身の言語体系があります。中医薬が世界に出て、世界と対話するのであれば、相手が理解できる言語を使わなければなりません。現代科学との結合は中医薬の『海外進出』を推し進め、国内外の医科大学と医療機関に相互信頼を打ち立てる大事な方法です」と江西中医薬大学の朱衛豊学長は語った。 

中西医の結合の分野ではすでにいくつかの素晴らしい成果が出ている。カワラニンジンの成分を利用したマラリアの治療法、オウレンの活性成分ベルベリンをプローブとし、人体内の脂質調節における新たな経路とメカニズムを明らかにしたなど、これらの成果がこの道筋の実現可能性を示している。 

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