技術で生薬の品質守る
王金臣=文
畑の土の芳香をまとい、薬店から漂う香りの源である生薬の原材料は、いかにその品質を維持・向上させるのか? 近年、遺伝資源(生薬の原材料となる種子や苗、および遺伝子プール)の保護、炮製技術(中医薬独自の伝統的な製薬技術)の継承と革新を中核とした変革が全国的に推し進められている。
根本から供給を確保
江西省林業科学院森林生薬・食品研究所の遺伝資源畑では約1万8000株ものタカワラビの幼苗が葉を広げ、根を張り、人工的に管理された温度と湿度の中で健やかに成長している。同研究所研究員補佐の高麗琴さんは「タカワラビの効率的な胞子による繁殖技術を獲得しました」と幼苗の生育ぶりに喜びを隠せない。
タカワラビは1900年以上使われている生薬で、舒筋健腰丸(肝と腎を補う、筋骨を強くするなどの効能を持つ中医薬)など数十種類の代表的な処方になくてはならない原料だ。
しかし野生のタカワラビ群落は天然更新能力が弱く、生育環境に対する要求が高い。2021年に「国家重点保護野生植物リスト」に正式に登録され、国家2級保護植物となり、違法な採取と取引が禁止された。人工繁殖が実現しなければ、臨床用薬は完全に野生か輸入頼りになってしまう。

打開策は科学技術による解決と資源保護の両立にあった。江西省林業科学院森林薬草チームはタカワラビの野生個体群の日照、温度・湿度、土壌条件を系統的に観測し、擬似的な原生生態環境を作り出し、「バイオ種まき」技術を新たに採用し、胞子発芽から幼苗の移植まで全周期制御可能な生育を実現した。
「私たちが生育したタカワラビの幼苗は、胞子をまいてから移植可能になるまでの周期を70~80日にまで縮めました。さらに人工的な環境下で育った幼苗は根系が発達し、移植後の汚染率が低く、活着率は98%以上です。これは野外個体群の野生復帰に対して種子源を確保したのみならず、大規模栽培と持続可能な利用への基礎を固めたことにもなります」と高さんは説明する。人工栽培の成功はタカワラビの野生資源と輸入種子源への依存からの完全な脱却を意味し、中国の生薬原材料の遺伝資源保護と利用の協調的推進を示している。
第4回全国生薬資源全面調査によれば、中国で常用されている600種余りの生薬の原材料のうち、300種余りがすでに人工栽培・養殖を達成し、沈香やジャコウなど希少な原材料の養殖と代替品製造はすでに産業化を実現し、人々の薬のニーズを満たしている。
薬効高めるいにしえの技術
薬の香りが漂う江西中医薬大学岐黄国医書院で、生薬炮製技師が熟練の手つきで丸剤を作っている。かごに入った粉末状の薬に霧吹きで水を吹きかけ、はけで均一に塗り、かごを揺らし、粉を加え、また水を吹きかけ塗るという作業を繰り返すうちに、細かい粉は徐々につややかで小さな丸い粒となっていく。この伝統技術は丸剤を飲みやすくし、湿気から防ぐ効果がある。
生薬炮製とは中医薬の核心的な技術の一つだ。選別・洗浄、裁断、炒める、液体を加えて炒める、高温で加熱するなどのさまざまな工程を経て、「毒性を緩和し効能を高め、生薬の性質(8)を変え、製剤にしやすくする」という臨床の目標を達成している。この技術には、古来の中医薬師たちの知恵が詰まっている。
しかし現代工業の発展に伴い、伝統的な手作業の炮製は課題に直面した。大規模で標準化された生産の需要によって、一部の企業は時間と労力がかかる古い製法を完全に踏襲することが難しくなった。どのようにして継承と革新のバランスを取るかが、中医薬の現代化の過程において必須課題になった。
現在、中国は「中国薬典」を国家基準として定め、全国生薬炮製規範(部級)と省級炮製規範が補完する生薬品質基準体系を確立している。「中国薬典」に特定の品種が載っていない場合は、二次基準とされる全国炮製規範(部級)と省級炮製規範に補完的に収録され、臨床用薬に使えるようにしている。
江西中医薬大学の于歓教授は、伝統的な方法が生薬の性質をより良く変え、治療効果を増大させると考えている。近年、于教授とそのチームは在野に入り、ベテランの製薬工を訪ね、あまたの貴重な伝統製法を記録・保護し、かつては古い文献に記載されていたが失われかけていた炮製の技法を復活させた。
「宝探し」をするとともに、生薬炮製の仕組みが経験の伝承に長く依存し系統的な科学的検証が欠けているという難題に対し、于教授のチームは臨床のニーズに合致し、炮製現場に役立ち、古い製法の神髄に準拠した生薬炮製データバンクを設立した。現代の分析技術を通してさまざまな工程における生薬の原材料成分の変化を比較し、薬物の作用と独自の治療効果を検証した。「これらのデータは従来の製薬工程から標準化され制御可能な現代的加工工程への転換を推し進め、市場のニーズと人々の健康へのニーズに対応する上で、確かな根拠を提供できます」と于教授は期待を込めて語った。
「野生への依存」から「人工的な制御」へ、そして「経験の継承」から「科学的な検証」へというように、遺伝資源の保護と炮製技術の科学化と標準化は中国の中医薬における継承と革新の具体的な実践として進んでいる。将来、科学技術と伝統が深く融合するにつれ、中医薬は「健康中国」の構築を推し進める上でさらに重要な役割を発揮し、いにしえの至宝は新たな生命力と活力を放つだろう。
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