転換期支える未来エネルギー
王金臣=文
「未来エネルギー」とは? 重点的に育成させる必要性とは? 中国のエネルギーシステムにおける役割とは? 政府活動報告に初めて盛り込まれた「未来エネルギー」は、今年に入って各界の注目の的だ。
何が未来なのか?
「未来エネルギー」とは新しい言葉ではなく、近年の中国の政策や産業に関する文書などにすでに言及されている。未来エネルギーは最先端科学技術によりけん引され、目下育成・萌芽段階または産業化の初期段階にあるが、顕著な戦略性、先導性、破壊性、不確実性を持つ先見的なエネルギー種別を指す、というのが業界内の専門家の見解だ。

中国環境科学研究院環境社会学研究室主任の陽平堅氏によれば、未来エネルギーにはまだ明確な定義がないものの、その核心的特徴ははっきりしており、持続可能性と安全性、スマート高効率という三大特性を兼ね備えていることだ。現在、人類社会は文明形態の転換期にあり、長期的かつ安定し高効率なエネルギー形態を支えるものを必要としている。未来エネルギーはまさにその需要を担う核心的存在だ。
これら核心的特徴は未来エネルギーの重点的な発展方向をも示している。持続可能性の需要を満たすため、水素エネルギーおよびそこから派生するグリーンメタノール、グリーンアンモニア、持続可能な航空燃料(SAF)は再生可能エネルギーの余剰電力を活用する新たな方法となると同時に、産業や交通などの分野にクリーンな代替案を提供している。そして安全性とスマート高効率の面では、最先端蓄電技術とスマートグリッド技術の発達により、電力システムがさらに柔軟かつ安定し高効率になった。
エネルギー戦略の認識が深化
「新エネルギー」から「未来エネルギー」への変化は、単なる言葉の変化ではなく、中国エネルギー戦略の認識の深化だ。
現在、中国の新エネルギー設備容量は世界トップであり、エネルギー転換の「量」の課題に対応している。しかし未来エネルギー分野の発展のポイントは、最先端技術のブレークスルーによってクリーン・安全・永続的・インテリジェントの面でエネルギーシステムの「質」の向上を推し進めることだ。
「自律制御可能な『グリーン電力―グリーン水素―グリーン燃料』のサイクルを構築することで、風力・太陽光発電の余剰電力の活用という課題を効果的に解決できるばかりか、外部の化石燃料依存を減らし、エネルギーの生命線をしっかり握り、エネルギー安全保障に確かな『鍵』をかけることができます」と国家発展・改革委員会国家情報センター経済予測部政策シミュレーション実験室主任の肖宏偉氏は述べるとともに、未来エネルギーの計画的配置はエネルギーの安全防衛ラインを築き、エネルギー転換を実現する基礎的な取り組みであると考える。
「現在、世界のエネルギーは転換と発展の重要な局面を迎えています。政府活動報告が提起する未来エネルギーの育成とは、新たな科学技術革命と産業変革のチャンスを逃さず、エネルギー技術の進歩をリードし、先発の優位性を維持し、新たな質の生産力を育成するという戦略的選択です」と華北電力大学国家エネルギー発展戦略研究院執行院長の王鵬氏は述べる。
王氏によれば、現在の中国の通常エネルギー貯蔵は短期型で、長期の貯蔵や期間をまたぐ電力網調整という難題はいまだ根本的な解決に至っていない。水素エネルギーとはまさにこの短所を補い、長期のエネルギー貯蔵調節の難局を打開する重要な道筋だ。「エネルギー転換と新エネルギーシステムの構築はまだ第一歩を踏み出したばかりで、その完成は2050年ひいては今世紀末まで持続的に推進する必要があります。未来エネルギーの提起は、エネルギー分野の発展に新たな可能性を見いだしましたが、これら未知の新技術分野には早急に解決しなければならない問題が多数存在します。だからこそ国家が制度刷新やトップダウン設計などで未来エネルギー分野の発展を推し進める必要があるのです」
計画をますます明確化
昨年12月に開かれた2026年全国エネルギー活動会議では、エネルギー技術の自立発展をいち早く推し進め、未来エネルギー産業の配置を見据えなければならないと打ち出された。今年の政府活動報告はさらに踏み込み、グリーン・低炭素経済を大いに発展させ、国家低炭素化基金を設立し、水素エネルギーやグリーン燃料など新たな成長分野を育成するとした。
現在、国家レベルでは政策による方向性を示し、未来エネルギー発展の基調を定め、先導している。各地の未来エネルギーの具体的な展開が次第に明確になってきた。北京市は水素エネルギー、エネルギー貯蔵、省エネ・環境保護などのグリーン産業を強化し、先進的な低炭素技術を活用して従来型産業のグリーン転換を推進することを打ち出した。重慶市は新エネルギーおよび新型エネルギー貯蔵、スマートグリーンエネルギー設備、スマートセンサーなどの新たな成長分野の育成に力を入れている。安徽省は水素エネルギーや核融合エネルギーなど十大未来産業の配置を加速している。しかし青写真の策定から産業の形成と発展までは一朝一夕にはいかない。未来産業を育成し発展させるには、先見的な決断力と着実に掘り下げる不動の精神力が必要だ。これに対し王氏は、科学技術イノベーションと産業発展の法則にのっとって、政策誘導の改善、多様な応用シーンの構築、グローバルな開放協力の深化によって未来エネルギー技術の進化と産業の成熟を支えるべきだと提案する。
新たな科学技術革命と産業変革の背景の下、未来エネルギーはエネルギーシステムのグレードアップにとどまらず、人々の生産・生活様式にも深く影響を及ぼす可能性がある。体系的な計画と開放協力によって技術イノベーションは「変数」から質の高い発展の「増分」へ転換され、エネルギーのグリーンで持続可能な方向への発展を推進することが期待される。
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