バイオものづくりのけん引力

2026-07-27 14:55:00

バイオマテリアル(生体材料)から低炭素バイオエネルギーへ、生分解性材料から人工合成デンプンへと、バイオものづくりは加速度的に概念から現実に向かっている。合成生物学の急成長のおかげで、バイオものづくりは食品、医薬、エネルギーなどの分野で従来の製造と遜色のない競争力を発揮し、グリーン低炭素かつ高効率で持続可能なメリットによって新たな質の生産力をけん引する重要な力となっている。 

主導権握る分野 

バイオテクノロジーと先進製造が深く融合したバイオものづくりは、世界の新たな科学技術革命と産業変革の主導権を握る分野として、農業経済、工業経済、デジタル経済に続く第4次産業の波とされている。 

マッキンゼーグローバルインスティチュートによれば、世界経済の最大60%の物質製品がバイオプロセスによって生産可能である。2030~40年にかけて、バイオ合成技術は年間2兆~4兆の直接的な経済効果を生み出すと見込まれている。この予測は、医療ヘルスケア、農業、消費財、材料、化学品、エネルギーなど多分野に及ぶ。

 

中国は07年に発表した「バイオ産業発展第11次五カ年計画」の中でいち早く「バイオものづくり」を重点的な発展方向に位置付けた。21年に発表した「第14次五カ年計画バイオエコノミー発展計画」では、バイオものづくりのハイエンド化、大規模化、クラスター化発展を推し進めなければならないと強調した。これは中国が初めてバイオエコノミー分野においてバイオものづくりを戦略的新興産業と明確に位置付けた計画でもある。 

バイオものづくりは24年に初めて政府活動報告に盛り込まれ、今年は「第15次五カ年計画」(十五五)の要綱にも盛り込まれた。「十五五」期間は中国が社会主義現代化を基本的に実現するために全面的に力を尽くす重要な時期であり、過去を受け継ぎ未来を切り開くというこの歴史的な位置付けがバイオものづくりの発展に空前の黄金期をもたらすことになる。 

「バイオものづくりは関連分野の産業チェーンを再構築するでしょう。その技術的優位性は供給の問題を解決するにとどまらず、中国が国際競争において主導権を得ることにも寄与します」とは中国医薬バイオ技術協会副理事長の呉朝暉氏の言だ。呉氏によると、中国のバイオ医薬産業の核心的な競争力は制度、人材、臨床資源、迅速なイテレーションによるエンジニアリング能力を統合した「中国スピード」とコスト管理の優位性にあるという。現在、中国のバイオ医薬品は二重特異性抗体やADC(抗体薬物複合体)、細胞治療などの分野ですでに世界のトップレベルに達している。 

産業発展のロジックを一新 

人類の工業文明の歴史において、石油化学と石炭化学は高効率と低コストという特徴で数百年にわたる物質的繁栄を支えていた。しかし、このような化石資源に強く依存する従来のモデルは、産業チェーンの非効率化、二酸化炭素排出の高止まり、汚染リスクの激増といった構造的な問題を内包していた。 

世界的な問題であるプラスチック汚染はこの矛盾を集中的に体現している。分解されにくい石油製プラスチックがもたらす「白色汚染」を解決するため、科学者たちは生分解可能な代替素材を模索している。そしてバイオものづくりとはその重要な解決策なのだ。 

数多くのバイオベース素材のうち、PHA(ポリヒドロキシアルカノエート)は完全な生分解性を持つ新たなバイオ素材として、今のところ理想的なカーボンニュートラルな生分解性材料である。「PHA製品は土壌や海中などの自然環境に置かれると、約1~3年で完全に自然分解されます。数百年規模で分解される一般的なプラスチックと比較して大幅に短いです。また、PHA製品は海洋生物や陸上生物にとっても無害で、動物が食べても問題ありません」と語る清華大学合成システム生物学研究センター主任の陳国強氏によると、この技術は「素材の発展と環境保護の対立」という業界の難問を根本的に解決し、世界のバイオベース素材の大規模な実用化に実現可能な道筋を提供するものだ。 

素材分野でグリーンな代替を実現するほかに、PHAはその独特な生体適合性を生かし、バイオものづくりの価値を医学などより広範な分野に広げている。陳氏の実験室では、PHAファミリーのP4HBはすでに縫合糸として米国で臨床使用の承認を得ている。また、PHAは多様な構造を生かして、軟骨修復材、神経再生誘導チューブ、人工食道などの開発への応用も期待されている。 

さらに重要なことは、バイオものづくりが顕著な低炭素属性を有しており、「ダブルカーボン」(二酸化炭素排出量ピークアウトとカーボンニュートラル)を実現する重要な道筋であることだ。経済協力開発機構(OECD)が先進国6カ国を対象にした分析結果に基づけば、バイオものづくり技術の応用によって産業エネルギー消費を15~80%、原料消費を35~75%、空気汚染を50~90%、水質汚染を33~80%、生産コストを9~90%それぞれ削減することが可能だ。世界自然保護基金(WWE)は、30年までに産業バイオテクノロジーで年間25億の二酸化炭素排出量を削減できると予測している。 

可能性は広大だが、バイオものづくりの産業化への道は決して平坦ではない。実験室段階では初歩的な成功を収めていても、工業生産規模にまで拡大するとなると数々の複雑な問題に直面する。 

「チャンスとチャレンジが同居する発展構造を前に、中国のバイオものづくり産業は的確に力を注がなければなりません。トップダウン設計を強化し、『官用』の協調イノベーションシステムを整え、技術開発への投資を増やし、コア技術のボトルネックをクリアしなければいけません。その一方で、産業エコシステムを最適化し、リーディングカンパニーを育成し、中小企業を支援し、バイオものづくりと医薬品、素材、エネルギーなどの分野との深い融合を推し進めなければなりません」と中国工程院院士の譚天偉氏は述べる。 

実験室から工業化への飛躍には課題があるが、バイオものづくりの潜在力はもはや疑う余地がない。グリーンで低炭素で持続可能なバイオものづくり新時代が間もなく訪れようとしている。 

人民中国インターネット版

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