6Gが知能的IoE切り開く

2026-07-27 15:11:00

劉雪雲=文 

「もしもし、聞こえますか?  

「聞こえています。つながりました!  

1987年11月18日、当時の郵電部部長だった楊泰芳氏は広州移動電話網第1期プロジェクトの開通式で、はるか遠くの北京にいる同僚に向け、中国初の携帯電話通話を成功させた。このはっきりとした応答は、中国が本格的に移動通信時代へ踏み出す歴史的節目となった。 

40年が経ったいま、より高速なネットワーク接続、より強力な計算能力、そしてさらに大規模な端末接続が、新たなデジタルインテリジェンス社会の未来を形づくりつつある。 

現在、5Gの商用化が盛んに進む中、6Gの研究開発もすでに全面的に加速している。中国の国家中長期発展計画である「第15次五カ年計画」でも、6Gなどを新たな経済成長の原動力として育成する方針が明確に示され、6Gは国家の先行技術蓄積から、「新たな質の生産力」を育成し、未来産業の発展をけん引する重要エンジンへと躍進しつつある。 

「接続」を超えて 

中国の通信発展史を振り返ると、初期の1G携帯電話「大哥大」(1980年代にはやった高級な大型携帯電話)は中国市場で一大ブームを巻き起こし、情報の壁を打ち破る象徴的な端末となった。94年には中国初のデジタル移動通信商用試験ネットワーク(2G)が広州で開通し、SMS(ショートメッセージ)、MMS(マルチメディアメッセージ)、WAPによる簡易インターネット接続などが日常生活に浸透し始めた。2009年には3Gの商用ライセンスが交付され、スマートフォンが次第に日常生活の必須アイテムとなった。13年の4Gライセンス交付により、ライブ配信、モバイル決済、オンライン教育、遠隔医療などが爆発的な成長を遂げた。 

移動通信技術がさらに飛躍したのは19年のこと。中国は5G時代を迎え、「人とモノ、モノとモノ」をつなぐ「IoE」(万物のインターネット)が本格的に始まった。「1Gから4Gまでの核心的な役割は、『人と人』をつなぎ、データを伝送することでしたが、5Gは『人とモノ』をつなぐ基盤を築き、スピードアップと同時に、通信技術をさまざまな産業分野や『IoT』(モノのインターネット)へと広げました」と中信科移動通信技術社首席科学者の孫韶輝氏は説明する。 

6G時代、通信サービスの対象は個人に限られなくなる。孫氏によれば、6G時代にわれわれは「IoE」から「インテリジェントIoE」へと進化し、移動通信もこれまでのデータ伝送通路からセンシング、計算、AIを備えた総合プラットフォームへと昇格する。さらに、通信ネットワークは地上から宇宙へと広がり、衛星空中地上を一体化した「空天地一体化通信ネットワーク」が構築される。これにより海洋、砂漠、低空域など、従来は通信が届きにくかった地域でもシームレスな接続が可能になる。 

動画が瞬時に読み込まれ、情報が一瞬で届く――6Gが核心的に追い求める目標は5Gを超える通信速度ではない。6Gは単なる機能の追加ではなく、ネットワーク能力の全面的なアップグレードなのだ。 

6Gはまた、「通信」から「センシング」への大きな飛躍でもある。「バラをもらったときに、視覚上の美しさだけでなくその香りも感じるように、没入型体験は視覚や嗅覚など複数の感覚を同時に刺激します。将来の6G技術は、こうした多様な情報を総合的に捉え、表現しようとしているのです」と中国工程院院士で北京郵電大学教授の張平氏は説明した。 

6Gの最も重要な特徴とは何か。孫氏は、6Gネットワークが「接続のためのツール」から「インテリジェントインフラ」へと進化する点だと指摘する。これにより、次の三つの変化が生まれる。第一に、衛星と地上通信の融合によって通信の空白地帯が解消され、全域カバレッジが実現する。第二に、通信センシングAI計算の一体化によって、ネットワークが単にデータを伝送するだけでなく、環境をリアルタイムで把握し、自律的に判断できるようになる。第三に、ユーザー中心の柔軟なネットワークが実現し、「人がネットワークを探す」時代から「ネットワークが人に合わせて動く」時代へと変わる。 

将来、「見えないセキュリティー保護」は生活のあらゆる場に溶け込むようになる。スマートシティーでは、6Gネットワークが道路上の車両や歩行者をリアルタイムで感知し、多数のセンサーを追加で設置しなくても交通事故の予測や緊急対応が可能になる。スマートホームでは、高齢者の転倒や異常行動を検知し、自動的に緊急対応を起動することもできる。 

また6Gの「通信センシング計算一体化」能力は、工場や産業パークのデジタル化を新たな高みへ押し上げる。スマート製造では、生産設備の状態、部品の位置、作業員の動きをミリ秒単位で把握し、ロボットやAGV(無人搬送車)などの協働作業を支える。エネルギー、鉱山、港湾など高リスク環境では、6Gのセンシング能力が人による巡回点検の代わりとなり、設備や環境を24時間体制で監視できる。 

未来エージェントを支える 

通信技術の進化と産業応用の普及には、二つの発展パターンがある。一つは「アプリケーションが通信技術を待つ」パターンだ。例えば、スティーブジョブズがスマホを発表した当時、数多くのモバイルインターネットサービスが生まれたが、3Gの通信速度では十分に支えきれなかった。その結果、4Gの急速な普及が進み、モバイルインターネットが爆発的に発展した。一方、5Gはある意味で「通信技術がアプリケーションを待つ」段階にあり、ネットワーク能力は先行しているものの、大規模な産業応用はまだブレークスルーを待っている状況だ。 

中国移動研究院院長の黄宇紅氏は、6Gをいかに多様な分野とシーンに浸透させ、新たな価値を創出するかが今後の重要な課題だと指摘する。この流れの中で、新興技術と応用分野の発展はさらに加速し、端末市場の競争構造も再編される可能性がある。中国情報通信研究院の予測によると、2040年には6G関連端末の接続数は22年の30倍以上に増え、月間平均データ通信量は130倍以上に増加する見込みだ。 

黄氏はさらに、6Gがもたらすマルチデバイスの未来像を次のように描く。スマートグラスは目に映る光景をリアルタイムでクラウドに送信し、必要な情報を画面に表示し、「見たものを即知る」世界が実現する。ウエアラブルデバイスは身体データを継続的にモニタリングし、健康状態の変化を事前に予測する。さらにサービスロボットは「人間のパートナー」として家庭に入り、料理や生活支援、見守りなどの役割を担うようになる。「将来、6Gの端末はスマホだけではなくなります。今後は、さまざまな形態の物理的な実体を持つエンボディドAI機器から生まれるでしょう」と黄氏は予測する。 

多層シーンの同時発展 

中国工業情報化部のデータによると、6Gの研究開発はすでに第一段階の技術試験を完了し、300以上の基盤技術を蓄積した。現在は第二段階の技術試験が始まっており、6Gは構想から実証開発の段階へと大きく前進している。 

6Gを巡っては、世界各国が先を争っている。エヌビディア、インテル、スペースXなどの大手会社は、AI、IT、衛星技術の強みを生かしながら独自の6G技術研究開発を進めている。日本も6Gを「Society5.0」構想を支える基盤インフラと位置付け、数百億円規模の情報通信基金を設立した。 

「中国の6G技術開発と特許出願は、全体的に世界の第一グループに位置しています。一部の重要分野では一定の先発優位性を備えています。ただし高性能チップや重要部品、基礎素材といった分野では、長期的な努力が依然として必要です。またアプリケーションやビジネスモデルもまだ発展途上であり、大規模商用化を支える代表的な応用シーンは、産業界全体で探っていく必要があります」と孫氏は述べる。 

「中国インターネット発展報告2025」によると、中国の6G特許出願数は世界全体の403%を占め、世界第1位となっている。さらに国際標準の策定においても、中国は重要な役割を果たしている。黄氏によれば、中国はすでに3GPP(携帯通信の国際標準化プロジェクト)における初の6G標準文書「6Gシナリオユースケースおよびサービス要件」の作成を主導して完成させており、現在は6G無線技術やネットワーク技術の標準化を並行して進めている。 

「中国が6Gで持つ強みの一つは、5G時代に築かれた完成度の高い産業チェーン、確かなエンジニアリング能力、そして豊富な応用シーンです。もう一つは、早期の戦略的な布石と強い組織力、そして『産学研用連携』の協力体制が着実に強化されている点です」と張氏は述べる。 

今後の中国の6G発展の方向性について、孫氏は次の三つを挙げた。第一に、コア技術の難関攻略をさらに強化し、自律制御可能な産業基盤を築くこと。第二に、標準化を主導しつつ国際協力を進め、世界共通の通信標準作りに積極的に参加すること。第三に、応用シーンを軸に、低空経済(ドローンや空飛ぶクルマモビリティなど低高度空域を活用する新産業)、衛星地上融合ネットワーク、産業インターネットなどの分野で実証を進め、複製展開可能な応用モデルの早期確立を加速すること。 

中国の6Gの未来について、孫氏は強い自信を示している。中国が6Gのコア技術でさらなる突破を実現するだけでなく、標準策定、産業育成、実用化の面でも優位性を築き、6Gを研究室から社会のあらゆる産業へと広げていくことを期待している。 

人民中国インターネット版

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