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経済成長を左右する都市化の行方

 

1950年生まれ。1975年、東京外国語大学卒業、日本貿易振興会(ジェトロ)に入る。香港大学研修、日中経済協会、ジェトロ・バンコクセンター駐在などを経て、1993年、ジェトロ大連事務所を設立、初代所長に就任。1998年、大連市旅順名誉市民を授与される。ジェトロ海外調査部中国・北アジアチームリーダー。2001年11月から、ジェトロ北京センター所長を務めた。
2010年、中国は日本を抜いて世界第二位の経済大国となりました。予想されていたこととは言え、世界経済の一大ニュースであることには間違いないでしょう。

日本がこの地位にとどまったのは1968年以来42年間でした。1968年といえば、中国では「文化大革命」の嵐が吹き荒れており、経済発展を云々する時代ではなかったわけですが、その十年後に経済優先の「改革開放」路線が敷かれ、高成長路線を歩むことになります。経済大国に押し上げたのは、「改革開放」政策でしたが、その中で、外資導入に対する国の的確な措置があったことは見逃せないでしょう。

外資は規模拡大の立役者

今年一月末スイスで、百余りの国・地域から政治・経済分野の代表2500人余りが集う恒例のダボス会議が開催されました。

同会議のシュワブ会長は、会議のテーマを説明した際、「もっとも重要なことは、世界の政治と経済の中心が、西から東へ、北から南へ移行している」と語っていますが、その結接点に中国が位置していると言えるでしょう。

この会議の主役は、なんと言っても、停滞する欧米経済を後目に世界経済で影響力を増す中国でした。1月27日の「世界の貿易と成長における中国の影響」と題するフォーラムには、中国の陳徳銘商務部長(商務相)や世界貿易機関(WTO)のラミー事務局長らが参加、WTO加盟十周年を迎えた中国の経済の軌跡などに関して討論が行われました。フォーラムの席上、陳部長は「2001年のWTO加盟から十年間、中国と世界が繁栄を分かちあいました」と前置きし、「この間、中国は7000億米㌦余の外資を導入しました」と、説明しました。  現在、中国には約70万社(批准ベース)の外資企業が進出済みですが、外資の中国経済における貢献をみると、例えば、輸出入で全体の53.8%(2010年)、工業生産総額で28%(2009年)、納税額で21.6%(同)となっています。波及効果を勘案すると、外資の中国経済への貢献はさらに大きいといってよいでしょう。

WTO加盟時、「狼(=外資)来了(オオカミが来た)」といって、農業や自動車産業分野など一部の分野への外資進出が懸念されましたが、ふたを開けてみれば、ウイン・ウインの関係が構築されていました。外資は中国経済を世界第二位の規模に押し上げた立役者の一人であったわけです。

さらに、陳部長は「これからは中国企業の海外進出が本格化します。10年前の中国の対外投資は10億米㌦にも満たなかったですが、10年後の2010年にはほぼ600億㌦になりました」と、語りました。中国企業の海外進出が、中国経済の規模をさらに大きくし、世界との新たなウイン・ウイン関係の構築に貢献する時代、即ち、中国企業が外資となる時代が来たということを陳部長は示唆しているようです。

 

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