さわやかに「青を踏む」
島影均 1946年北海道旭川市生まれ。1971年、東京外国語大学卒業後、北海道新聞社に入社。1989年から3年半、北京駐在記者。2010年退社後、『人民中国』の日本人専門家として北京で勤務。 |
清明節を含む3日間は連休で、先祖の墓参りをするのが慣わしになっています。日本で言えば、7、8月の盂蘭盆(うらぼん)に当たると思います。旧正月の春節ほどの全国的な「里帰り大移動」はなかったようですが、北京市内はじめ、各地の墓地はどこも大勢の墓参りの人々でにぎわったようです。また、この休みを利用して「踏青」に出かけた人は北京市内の公園だけで70万人を超えたそうです。乾燥しているせいで、寒さがとりわけ身にしみる北京の冬を乗り切った人々が、新緑を求めて踏青に出かけたくなる気持ちがよく分かります。
北京では四季が判然とせずに「二季」じゃないかとさえ感じます。ある日突然、冬から夏になり、ある日突然、夏が終わり冬になるのです。広い中国ですから、江南地方にはきっと四季があるのでしょうが、北京は「冬と夏のわずかなすき間」が春なのでしょう。清明節の少し前あたりから、街路樹が一斉に薄緑の新芽を吹き出し、公園のシダレヤナギはグリーンの珠暖簾のように風にそよぎます。
さて、連休中、私も「踏青」に倣って、北京植物園を散策してきました。北京植物園は北京西郊外の香山の麓にあり、総面積は200万平方㍍。4500種類を超え、15万本以上の様々な植物が鑑賞できます。
市街地では新緑が主役ですが、北京植物園では鮮やかなピンクがヒロインでした。一番濃いのはモモ、次にウメ、淡い色のサクラがグラデーションをつくり、それぞれ妍を競っていました。白いモクレンの群生もみごと。日本の種類よりもたくましい感じがするレンギョウは散策路に沿って植えられ、まるで黄色のルート表示でした。ひろびろとした園内をマイペースで歩くと、見物客の多さも気にはなりません。
ピンクにそまる北京植物園。カメラの前でポーズ取るのは恋人? |
人民中国インターネット版 2011年5月