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わたしが発信する「中国」

 

濵田 麻衣

私は、日本の大学を1年休学し、2016年2月から2017年1月まで中国・上海にある華東師範大学で中国語の語学留学をしている。1年という短い期間ではあるが、中国を知る事を第一の目的とし、中国留学を決めた。私が中国留学を決意した理由は、平成27年度内閣府青年国際交流事業の航空機による青年海外派遣により中国へ派遣された事がきっかけである。これがきっかけとなり、わたしと中国の関係は始まった。派遣以前の私と中国の関係は、「知り合い」程度であった。「知っているようで知らない。知っているから深く知ろうと思わない」そんな関係だ。このような日本人は多いのではないだろうか。なんとなく中国を知っていて、なんとなく中国が好きではなく、なんとなく中国へ行こうなんて考えた事もない。そんな日本人はインターネットなどからの「情報」により個人と中国の関係が形成しているのではないか。事実、私自身がそうであった。よって、自分が発信できる「中国」または「中国人」の情報はほとんどなかった。そんな私が中国へ派遣され、初めて訪中し、自分の目で見て感じた中国。また、中国に住んでいる人との交流をして初めて、私は“中国”を知る事が出来たと感じた。しかし、派遣中だけでは、本来の中国を知る事はできず、私の中での中国は確かなものではないと感じた。そこで、中国留学をして語学を学びながら中国を知ろうと決意した。

過去の事件により南京は日本に対す抵抗感が未だ強く、中国人の先生からも日本人が南京に行くのは少し危険だと言われた事がある。そして、実際に南京へ行った事のある日本人の友人からは、問題はないという人と少し危険な思いをしたという人の「情報」を得た。しかし、一度は行く価値がある。という点に関しては互いに同じだった為、私は南京へ向かった。行く前の私の感情としては、「怖い」けど「知りたい」という曖昧な感情であった。しかし、実際に南京へ行くと、上海から「高鉄」に乗り約2時間という距離にも関わらず、上海と比べて街並みや雰囲気が異なり、温厚な街という印象であった。そして、街中で友人と日本語で会話をしていても中国人の視線を集めたりすることもなく、例えば店の店員による態度に変化も感じなかった。そんな南京への旅行も、行く前は、悪い情報をよく耳にしていた事から「行っても大丈夫だろうか」という不安に駆られていた。しかし、自分の目で見て知る事により、これからは自分が知っている南京について、わたしなりの確実な“情報”として発信する事が出来ると確信した。大多数の日本人よりも中国との関係が深い私でさえも、南京への旅行は躊躇するものがあったので、訪中経験のないような日本人からすると、南京へ旅行に行くなど思いもつかないはずだ。なので、それらも含め日本人を対象に、このような経験を含む中国での体験などを伝えたいと強く感じ始めた。

主に、中国に対して曖昧で、かつ不確かともいえるような「情報」を持っている日本人へ向け発信し、私自身が見て感じた中国を伝えていきたいと考えている。なぜなら中国との関わりが深くなり感じた事は、日本人はもっと中国に対して関心を持つべきだという事である。「情報」に惑わされず、日本からみて距離的にも歴史的関係からみても身近な中国を知る事で、個人の世界も広がるはずだと考える。日本と中国の国民感情の変化から両国の友好関係へと繋げる為、まずは私自らが「中国」を学び、深く理解しなければならない。そして、得た体験などを口頭やSNSを通じて発信する事は、これからの私ができる日中友好への一つの方法であると考える。個人としての発信力には限界があるかもしれないが、日中友好を願っている人たちは、数多くいるはずだ。そのような発信者が増える事で、だんだんと「情報」が拡散し、「あなた」と中国の関係がよりよくなる。これこそが今のわたしの夢だ。

 

人民中国インターネット版2016年9月

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