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つながりを「友好」に

 

 福島杏奈

「これから日本と中国、韓国の関係のためにどうしていけば良いと思いますか。」

この問いは、私が大学生活で自分なりの答えを見つけようとしている問いである。大学一年生の春、初めて刺激を受ける授業に出会った。それはグループワークの授業で、私たちのグループのテーマは日中・日韓問題だった。最後の授業日、発表後に先生からかけられたこの問いかけにだれも答えることができなかった。半年間、たくさん調べて話し合ったが見つけることができなかった答えである。だから、私はこれからの大学生活で、中国、韓国の学生と接することができる機会に進んで参加し、その答えを見つけようと決心してから、私の中で中国は思い入れのある国になった。

大学に入るまで、中国と私の距離は遠く、メディアを通した中国しか知らない私は、対日抗議を行う日本を嫌いな国というイメージしかなかった。しかし、二年間が過ぎた大学生活を振り返り、そんなイメージは変化している。

最初のきっかけは、初めてできた中国人の友だちとの出会いである。大学一年生の夏休み、二週間奈良県に滞在し、研修としてアジアの国々から来る留学生と一緒に勉強するサマースクールだった。彼女は一年間日本に留学中で、日本国内からの参加枠で参加していた。彼女と二週間過ごす中で、プログラムとは別に毎日彼女と練習していたことがあった。それは、サマースクール後に控える、彼女の日本語スピーチコンテストの練習である。「日本人らしく日本語を話したい。」と、話す彼女に協力したいと言い、アクセントや区切るところなど、毎晩一緒に練習した。今でも忘れられないのは、彼女のスピーチの内容である。「日本人の美徳」という題の彼女のスピーチは、彼女のアルバイト先のコンビニエンスストアの店長さんが、毎日自らトイレ掃除をしているとう内容だった。彼女は、お店にとって、どうしてだれも見ないような場所を店長さんが掃除するのかを疑問に思い尋ねたとき、「だれかが見ていないところまでお客様のことを考えることができるかで、お店の善し悪しは決まるんだよ。」という店長さんの答えに、深く感動したというものだった。それを彼女は「日本人の美徳」と表現したのである。私は彼女と出会い、一緒に過ごした時間だけでなく、彼女が語る「日本」へのまなざしに、このような日本への見方があることに初めて気づくことができた。このように、何かのきっかけがあることで、考えやイメージを変えることはできる。それは、人と人のつながりだけでなく、両国の小さなつながりになると思う。

では、中国は日本人をどのようなイメージで描いているのだろうか。伝えたいことは、日本人の中には「中国は日本のことを嫌っているだろう。」と思っている人はもちろんいるし、それは事実かもしれないが、一方で私のようにどうにかしたいってもがいている人はたくさんいるということである。個人同士でさえ分かり合えないことがあるのに、国レベルですべて分かり合えるとは思わない。しかし、つながっているもの、つながれるものは、まだまだたくさんあるのではないか。

以前、新聞のコラムで、日本と中国共通の略字の試みが行われたことが書かれていたとき、執筆者は次のように述べていた。
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「日本と中国は、政治体制は異なっても、これだけは百年、千年後の両国民族の子孫に遺産として残してやりたいのです。」。これ、が指すのは日本と中国の共通の「友好」という言葉であった。今、日本と中国の間には「友好」と共通の言葉のつながりがある。これからもっとつながりを増やしていき、「友好」が言葉だけでなく、共通の思いになっている未来であってほしい。今を生きていく中で、そんな未来に貢献していきたいと強く思う。

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