中国、「人口ボーナス」から「人材ボーナス」へと進化
500万人超――これは中国の毎年の科学、技術、工学、数学(STEM)専攻の大学卒業生の数であり、世界で最多だ。
約50%――これは世界のシンクタンクが統計をまとめた、中国の大学が育成した人工知能(AI)のトップレベル研究者の世界に占める割合で、世界一だ。
こうしたデータの裏には、中国の「人口ボーナス」から「人材ボーナス」へと進化を遂げた発展の優位性がある。長年にわたる努力により、中国は今や生産年齢人口の平均教育年数が11.05年に上昇し、人材資源の全体的な規模、科学技術の人的資源、研究者の全体的な規模はいずれも世界一となった。こうした強みが科学技術イノベーションを力強く支え、産業のモデル転換・高度化を力強く推進し、世界2位のエコノミーである中国により充足した発展の底力をもたらしている。
人材という第一の資源に立脚して、中国は教育強国の建設を持続的に推進し、STEMの教育をイノベーション型人材、複合型人材を育成するカギととらえ、人的資源の開発利用を絶えず強化して、数多くの新たな進展を遂げてきた。
2012年から22年にかけて、国家財政における教育予算は2兆2000億元(1元は約21.0円)から4兆8500億元に増加し、年平均成長率は8.23%だった。中国の生産年齢人口は9億人に迫り、新たに増えた労働力の教育年数は14年に伸びた。全国には大学が3074校あり、各種スタイルの高等教育機関に在籍する学生は4763万1900人に上る。中国はすでに世界で規模が最も大きく、種類が最もそろった人材資源大国であり、技能労働者は2億人を超え、そのうち高度技術人材は6000万人を超える。
関連の研究によれば、発展途上国にとって、先端人材の数、人材の全体的な質、人材のイノベーション活力が形成する人的資本は、飛躍的発展を実現する上で効率を倍増させる効果をもたらすことができる。うれしいことに、この積極的な効果は中国ですでに現れ始めている。
中国初の量子コンピューター測定・制御システムの開発から、量子コンピューター・オペレーションシステムの開発、さらには量子チップ設計ソフトウェアの開発など、中国科学院量子情報重点実験室の郭国平副主任の率いる研究チームはここ数年の間に、量子コンピューターの分野で1つ、また1つとブレークスルーを達成し、中国が世界3位の量子コンピューター完成品引き渡し能力を備えた国になることを後押しした。
現在、中国の研究開発人材は600万人を超えて世界一となり、開発投資は長年連続して世界2位をキープしている。日本の英文メディア「Nikkei Asia」のウェブサイトに掲載された論説によると、中国経済に悲観的な見方をする人々は中国が育成に力を入れるイノベーション能力を軽視している。中国がイノベーション投資を持続的に拡大しているのは、生産効率を高め、長期的で持続可能な成長を実現する上でプラスになるものだ。世界銀行の試算によれば、中国の人的資本の経済成長への寄与度は上昇傾向を保ち、現在は36%を超えているという。
中国の人的資本のポテンシャルを評価し、中国の「人材ボーナス」のメリットを共有する道を選ぶ国際機関や多国籍企業がますます増えている。
平均して2ヶ月足らずの間に1件の開発投資を行ってきたフランスの多国籍企業のシュナイダーエレクトリックは、過去1年間に中国で急速発展の段階に入った。中国は今や同社にとって世界4大研究開発拠点の1つとなっている。
なぜこれほど頻繁に中国での研究開発を拡大するのか。中国の人材面の優位性が1つの重要な要因だ。シュナイダー社の尹正エグゼクティブバイスプレジデントは、「当社は現地のイノベーションチームを持続的に拡大しており、3年間近くで中国の研究開発人材を30%増やし、今では2000人を超えている。また当社は中国での研究開発力をより一層強化し、より多くの研究機関を設置し、中国の新たな質の生産力の構築、より多くの『中国の知恵』を世界へ絶えず注ぎ込むことをイノベーションによって支援する」と述べた。
ローランド・ベルガー管理コンサルティング有限会社の江浩・中華圏副総裁は、「ここ数年、外資が中国で研究開発センターを設置する動きが大きく加速している。中国は多くの優れた管理人材とエンジニア資源を蓄積してきた。外資はまさにこの点を評価して、中国での研究開発センター建設を相次いで強化している」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2024年4月9日