「2024年度流行語トップ10」が発表 「city不city」や「松弛感」

2024-12-09 16:51:00

中国の語言文学雑誌「咬文嚼字」編集部は12月2日、「2024年度流行語トップ10」を発表した。今年は、「数智化(デジスマ化)」や「智能向善(ソーシャルグッドのためのAI)」、「未来産業」、「city不city(これってcity?)」、「硬控(釘付けになる)」、「水霊霊地○○(フレッシュに若々しく○○する)」、「班味(くたびれた勤め人感)」、「松弛感(余裕感)」、「銀髪力量(シルバーパワー)」、「小孩哥/小孩姐(スーパーキッズ)」が選出された。人民網が報じた。

「咬文嚼字」の黄安靖編集長は取材に対して、「言葉とは社会を映し出す鏡で、今年の流行語が映し出している時代の特徴は特に際立っている。それはスマート時代がすでに到来しているという点だ。人工知能(AI)技術の発展に伴い、全く新しいスマート時代に突入し、AIが現在、社会と産業の革命を促進している。そしてそれが言葉にも反映され、AI関連のワードが大量に出現し、幅広く流行している」と分析した。

また、「00後(2000年以降生まれ)を代表とする若い世代が現在、社会から注目を集めている。00後はパリ五輪で中国代表チームを支える中堅としての力を発揮した。彼らはプレッシャーだけでなく、悔しい思いをした場合ですら、自然体でスマートに対応し、そのはつらつとした自信に満ちた姿が人々から称賛された。それが、『余裕感』というワードがネット上で流行した直接の原因だ」と説明した。

また、高齢者も社会の発展を促進するより重要な力となっており、「現在、ボランティア活動や文化・教育活動などに参加する高齢者がますます増えており、社会において引き続き積極的な役割を果たしている。そのため、『シルバー』関連のワードが広く流行している」とした。

数智化(デジスマ化) 

デジタル化とスマート化を組み合わせたワード「数智化」は、デジタル化をベースに、自己学習や意思決定最適化、予測分析といったスマート化した技術を採用し、生産効率を高め、資源の配置を最適化し、管理水準とイノベーション能力を向上させることを指している。デジスマ化は新型工業化の際立った特徴であり、新たな質の生産力を生み出す重要なルートでもある。

智能向善(ソーシャルグッドのためのAI) 

AIの発展とは、人々の幸福をより増進させることにつながらなければならず、産業変革と経済発展を促進させるだけでなく、社会をより優れた状態にし、持続可能な発展を実現させなければならない。中国は、AIの発展と安全、ガバナンスを非常に重視している。「人間本位」と「ソーシャルグッドのためのAI」の発展理念は、すでにグローバルなAIの優れたエコシステムを構築する基礎となっている。

未来産業 

「未来産業」とは、先端技術の駆動力を指し、戦略と牽引力を備え、破壊的で、将来を見据えた新興産業を指す。このワードは未来の製造や情報、材料、エネルギー、スペース、健康といった新たな競争の場を含んでいる。未来産業のブレイクスルーと発展が中国、ひいては世界の経済発展に新たな原動力と変革をもたらすとみられている。

city不city(これってcity?) 

米国人ブロガーの「保保熊(ハンドルネーム)」さんが、中国各地を観光した際に撮影したショート動画の中で妹と、「上海はcity不city?(上海ってcity?)」、「すごくcity!」というやり取りをしたことがきっかけとなり、中国語と英語をミックスさせた「city不city?」のフレーズがバズった。英単語のcityは都市そのもののほか、都市化という意味もある。保保熊さんは、「僕たちが使っている『city』は、オシャレやイケてる、近代的、刺激的、ハッピーといった気持ちを指している」としている。中国が144時間のトランジットビザ免除措置を実施して以来、中国に旅行に来る外国人がますます増え、海外のブロガーにとって、中国旅行の動画は話題性のあるトピックになっている。また美しい景色やグルメ、高速鉄道の旅、そしてフレンドリーな中国の人々に対しても、外国人から「city!」との声が寄せられている。

硬控(釘付けになる) 

「控」とはコントロールという意味の中国語で、「硬控」は、強制的にコントロールされるという意味になる。元々はゲーム用語として使われており、プレイヤーが自分のキャラクターを一定時間コントロールすることができなくなってしまう「フリーズさせられた」状態を指していた。現在は、ある物や現象に強制的にコントロールされたように「釘付け」になり、目が離せなくなってしまうという意味で使われるようになり、より幅広い範囲で使われるようになっている。

水霊霊地○○(フレッシュに若々しく○○する) 

中国語の「水霊霊」は、美しさや生気がみなぎっている様子を形容する際に、よく使われる言いまわしで、植物が潤っていて、生き生きとした様子を表現する際にも使われる。「フレッシュに若々しく〇〇する」というワードは、韓国のガールズグループ・LE SSERAFIMの最年少メンバーであるホン・ウンチェが、あるバラエティー番組で、メンバー全員の写真が貼られた表紙を指さしながら、「私はこんな風にフレッシュに若々しい感じでセンターに立ち、周りは全部おっかないお姉さんばっかり」と発言したのがきっかけとなり、中国でバズった。その後、ネットユーザーたちはこの表現を様々な単語と組み合わせることで、ある種の行動が生き生きしていたり、エネルギッシュであること、または称賛に値する、目立つといった意味で表現するようになった。そして、強調したり、際立たせたりするためにも使われるようになり、その使用シーンはますます拡大していった。

班味(くたびれた勤め人感) 

「くたびれた勤め人感」というのは、「会社勤めをしたことのある人というのは、『くたびれた勤め人感』が染みついていて、それはなかなか消えない。勤め人が醸し出す疲れきった雰囲気は、真似したくても真似できるものではない」というネット上のある書き込みがきっかけとなりバズった。ネットユーザーたちはこのトピックについて語り合い、自分の「くたびれた勤め人感」が出てしまった例を紹介したり、どのように「くたびれた勤め人感」を拭い去って、仕事とプライベートのバランスを取るために、旅行や休暇、友だち付き合い、エンターテインメントを楽しむかといった点について、シェアするようになっている。

松弛感(余裕感) 

中国語の「松弛」は緊張していない状態や厳格ではないという意味で使用される。そこから生まれた「松弛感」は、プレッシャーに直面しても、落ち着いて対処し、自分を大切にし、慌てたり、焦ったりしない心理状態を指す意味で使用されるようになった。このワードがネット上でバズったきっかけは、あるブロガーが偶然遭遇したエピソードだった。それは、「ある家族が旅行に出かけたが、全ての荷物が送り返されてしまった。それなのに、彼らはケンカをすることも、激怒することも、互いに責め合うこともなく、旅程を再調整していた。その余裕感がすごかった」というものだった。そして今年のパリ五輪開催期間中、「00後」の中国代表選手が五輪で見せた「余裕感」に注目が集まり、ネット上で大バズりした。彼らはプレッシャーに際しても、自然体で接し、「新世代の余裕感」と、はつらつとしていて自信に満ちた姿で、見事な成績を次々と収めていった。

銀髪力量(シルバーパワー) 

中国語の「銀髪(銀色の髪)」は高齢者を指し、「シルバーパワー」は、高齢者が社会の各分野において、軽視できないパワーを注入していることを指している。現在、ボランティア活動や文化・教育活動に参加する高齢者がますます増えており、社会の発展のために、「シルバーパワー」を注入し続けている。また、高齢化の進行を表す「シルバーの波」のほか、高齢者をターゲットにした「シルバー市場」や「シルバー経済」など「シルバー」を使った関連ワードも増え続けている。

小孩哥/小孩姐(スーパーキッズ) 

中国語の「小孩」は子供、幼児など未成年者を指す。また兄を意味する中国語の「哥」や、姉を意味する中国語の「姐」を家族以外の人に使う場合、一般的に自分と年齢が同じか、または少し上の人に対する敬称として使う。そのため「小孩哥/小孩姐」は、ある分野で際立った才能を持つスーパーキッズを指している。彼らは子供ながら、非凡な才能にあふれ、大人さえ感服させるほど。そこから、子供を意味する「小孩」に、リスペクトの意味を込めた「哥/姐」という敬称を組み合わせて、スーパーキッズを意味するワードが誕生した。(編集KN)

「人民網日本語版」2024年12月6日