中国で「かわいい経済」が人気を集めている理由は?
北京市にある745年の歴史を誇る妙応寺の境内にあるチベット式の仏塔「白塔」がふかふかのぬいぐるみになり、同市の地壇公園のカエデやイチョウの葉もゆるキャラのぬいぐるみに、さらには、サンザシなどを飴がけにした北京のご当地お菓子「氷糖葫蘆(ビンタンフールー)」をモチーフにした布製のマッサージハンマーといったように、ユニークでかわいい「ご当地ぬいぐるみ」が今、中国で人気を集めている。
「白塔」をモチーフにしたぬいぐるみ。
文化クリエイティブグッズとしてのぬいぐるみが登場したのは最近のことではない。しかし今年は、「ぬいぐるみ化」の波が、グルメや風景、文化財といった分野にも押し寄せ、様々な物がぬいぐるみになって販売されている。
地壇公園のカエデやイチョウの葉をモチーフにしたぬいぐるみ。
こうしたぬいぐるみが人気を集めている理由は、消費者の美的センスにマッチしているからだ。そしてこれらのぬいぐるみを見た瞬間に、「かわいい」と感じることができるほか、心を癒してくれ、買いたいという欲求に駆られることになる。またこれらの商品は、他の人とのコミュニケーションのきっかけにもなるため、若者が一種の自分らしさを表現するアイテムにもなっている。
ややおどけたような、それでいてほっこりした気持ちにもしてくれるこれらのぬいぐるみは、多くの人の心を鷲掴みにし、感受性豊かな若者の心を動かし、癒している。「自分を喜ばせる」ためのエモ消費といった情緒的価値を提供する消費行動が今、若い消費者の意欲に影響を与える重要な要素となり、文化観光消費を押し上げる新たな分野となっている。
「臭豆腐(発酵させた豆腐)」をモチーフにしたぬいぐるみ。
多くの人の消費観念は現在、「単に記念品を買う」から、「体験やコレクションする」の段階へとレベルアップしている。派生商品であるこれらのぬいぐるみは、文化財や食品の本来の意義を超えて、さらに多様な文化の発信ルートにさえなっている。「かわいい経済」の背後にある奥深い文化とそこに込められた思いが、本当の意味で人々の心を動かしている要素となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年12月12日