広西の無形文化遺産「壮錦ボール」がW杯を契機に世界へ
手の中の銀色の針が色とりどりの糸をすくい上げては、丸々とした「サッカーボール」を一目ずつ縫い上げていく。広西壮(チワン)族自治区河池市宜州区屏南郷肯山村の機織り職人の韋肖娟さんは目下、「ワールドカップ特需」で大忙しだ。作成する「壮錦ボールおばさん」のマスコットストラップは、壮族の縁起物「麼乜(壮錦の香り袋)」を原型とし、壮族の女性が太陽を抱えるデザインをサッカーボールを抱えるデザインに変え、「球があれば必ず勝つ」という願いを込めている。少し前から世界に向けて出荷されており、各国のサッカーファンに中国伝統文化の独特の魅力を伝えている。人民網が伝えた。
「壮錦ボールおばさん」のマスコットストラップ(撮影・雷琦竣)。
中国美術工芸の名人で、広西壮族錦織技術の自治区級無形文化遺産代表継承者の譚湘光さん率いるチームが8日、チームの作成する壮錦を使用した商品が2026年FIFAワールドカップ(米国、カナダ、メキシコの共同開催)の公式ライセンス商品になったことを明らかにした。そして「壮錦ボールおばさん」のマスコットストラップ、壮錦サッカーボール、壮錦ユニフォームなど、華麗な壮錦の文化クリエイティブグッズが同自治区南寧市でそろってお披露目された。
2026年FIFAワールドカップの公式ライセンスを取得した壮錦シリーズの商品(撮影・雷琦竣)。
譚さんの説明によると、「このシリーズの商品は広西の壮錦で最も代表的な蟒龍柄とW杯モチーフを深く融合させ、縦糸と横糸で複雑な模様を織り出す壮錦独自の風格を残しながら、現代の美的感覚とスポーツ精神にもマッチしている」という。
かつて壮族の錦織技術は「タンスにしまい込まれて誰も知らない」状況に陥っていた。商品のスタイルは古くさく、市場での販路は狭く、普及には限界があった。地元の若者の多くが外へ働きに出て、壮錦の編み機の前には高齢者だけがぽつんと取り残されていた。
譚さんのチームは技術、配色、材料とさまざまな角度から大胆なイノベーションを進め、壮錦の機械設備を導入した。1日の生産量は従来の10センチメートルから20メートルに増加し、質も飛躍的に向上した。伝統的なコントラストの強い配色をやめて、柔らかく洗練された中間色(モランディカラー)を採用し、現代の若者の好みに合わせた。材料の技術改良も進め、重厚な布をやめ、軽くて快適な材料を採用した。
イノベーションが市場を切り開き、市場は再び無形文化遺産の伝承をサポートするようになった。譚さんはとぎれることのない注文を、村の機織り職人の女性たちへと委託するようになった。
譚さんは、「私たちの商品は壮錦の技術を持つ女性たちが手作りしたものがほとんどで、無形文化遺産の技術を継承するだけでなく、子どもたちが出稼ぎに行き、故郷で留守を守る女性たちやコミュニティで子育て中の女性などが、技術の習得を通じて自分自身の価値を高めるようサポートしている」としている。
自分の作品を見せる壮錦の機織り職人の女性たち(撮影・雷琦竣)。
中国4大錦織の1つである壮錦は、農家の編み機から世界のサッカー場へと飛躍し、広西の無形文化遺産のジャンルを超えた融合、枠を打ち破り海外に進出する新たなブレークスルーを体現している。壮錦プロジェクトはW杯開催に合わせて大量の注文を獲得し、1000人を超える村民が計画に関わり、「無形文化遺産+スポーツの知的財産権+農村の雇用支援」の発展ルートを見いだし、同自治区の少数民族の伝統技術の現代における伝承の新たなモデルケースとなった。(編集KS)
「人民網日本語版」2026年6月12日