村出身の美大生が描き、ネットで人気を誇る壁画の村・雲南省曼勒村
雲南省西双版納(シーサンパンナ)傣(タイ)族自治州景洪市勐竜鎮曼勒村には、5000平方メートルの美しい壁画があり、それを一目見ようと、多くの観光客が押し寄せている。そして、この小さな村は中国のネットで高い人気を誇るようになっている。
5年間で村のあちこちにカラフルな壁画を描いた岩温叫さん。
曼勒村がネットで高い人気を集め、観光客がたくさん訪れるようになったのは、この村で生まれ育った画家の岩温叫さん(29)のおかげだ。岩さんは第11回瀾滄江・メコン川流域国文化アートフェスティバルに、中国人芸術家の代表として参加し、その公式PR動画でも作品が紹介されている。
曼勒村出身の岩さんは、湖北省武漢市にある湖北美術学院で油絵を専攻していた。2015年7月、夏休みで帰省していた岩さんは、自宅の古びた壁に趣のあるフォントで「曼勒」という文字を描いたところ、村民たちから好評を得た。翌年、今度は自宅の別の壁に傣族の縁起の良い「吉祥獣」を描いたところ、村民たちが次々と見にやって来たという。そしてその絵の出来栄えを見た村民たちが、岩さんに「自分の家の壁にも描いてほしい」と依頼してきたという。さらに、これらの壁画は、曼勒村の支部書記の岩見さんの目にも留まり、「村の壁にもっと絵を描いてほしい」と頼まれた。
大学を卒業した岩さんは2018年6月に曼勒村に戻ると、村で起業し、絵を描くことにした。こうして岩さんは大学卒業後、この村に戻って来た初めての村民となった。
道路に立体アートを描く岩さん率いるチーム。
岩さんは、「生まれ育ったこの村の動植物や民族文化は多様性に富み、僕にたくさんのインスピレーションを与えてくれる。西双版納に戻って来たのは、ここの外観をリニューアルしたかったから。大学に通ったのは、田舎の家を離れたかったからではなく、優秀になって戻って来たかったから」と話す。
遼寧省瀋陽市から56時間列車に乗り、バスに8時間乗って曼勒村に観光にやって来た男性・趙さん(60)は、「すごい!」と声を上げ、バスから降りると、写真をバシャバシャと撮影していた。ドローンで上空から見ると、雲海や茶畑、熱帯雨林の植物、傣族の伝統的な太鼓・象脚鼓、ひょうたん笛、伝統的な民族衣装を着た男女など、雲南省でしばしば目にする景色や物などが描かれた村の壁や道は非常にカラフルで人目を惹く。
曼勒村は 2022年に、「雲南省級『美しい農村』」と「市級観光モデル村」に認定されると、たくさんの観光客が訪れるようになったほか、ネットで高い人気を誇るようになった。
125世帯住民613人の曼勒村の平均年収は今、1万8600元(1元は約20.0円)に達している。村民の岩燕さんは、「古びて薄汚く感じていた所が無くなり、毎日絵の中で生活している気分」と話す。
曼勒村の支部書記である岩見さんは、完成したばかりの曼勒村の観光計画図を手に、「ここに観光客の休憩所を作り、ここに民宿を建てる計画」と、曼勒村の未来について、うれしそうに語っていた。(編集KN)
「人民網日本語版」2023年12月15日