「石」をペットにする中国の若者が増加
「00後(2000年以降生まれ)」の大学生・陳思宜さんは、「石」を撫でながら、「石を『飼って』いて、名前は『金子』。『沈黙は金』ということわざがあるが、この石はとても静かなのでそう呼んでいる。石をペット代わりにすると、人見知りはしないし、毛も抜けないし、吠えたり鳴いたりしない上、情緒的価値を提供してくれるのがいい」とした。中国新聞社が報じた。
中国では、陳さんのように、石をペットにする若者が今、増え始めている。丸くて表面がツルツルした石に、目にするためのシール、帽子、鳥の巣のような形状の巣というのが、最近大人気となっている「ペットストーンセット」だ。
ネットショップ・淘宝網の検索のトレンドを見ると、今年に入り、「ペットストーン」の人気がますます高まりを見せている。8月を見ると、「ペットストーン」の売上高は前月比で246%増となり、主な購入者は、「95後(1995-99年生まれ)」と「00後」で、約8割が女性となっている。「ペットストーン」のほか、それ専用の茶器、服、プールといった関連商品も人気となっている。
「10後(2010年以降生まれ)」の小学生・呉天碩ちゃんは、自分の「ペットストーン」を学習机の上においている。「ペットの石は学校で拾った。顔が大きくて、とてもかわいい」と話す。そして、毎日、洗って、お化粧をしてあげて、一緒に勉強したり、おしゃべりしたりしているといい、「ペットストーンを持っている同級生がたくさんいる。ペットストーンがいてくれると、真面目に勉強できる」と話す。
最近、「ペットストーン」専門店の経営を始めた90後(1990年代生まれ)の女性・葉子さん(仮名)は、「石をペット代わりにするというのがブームとなっており、『ペットストーン』が飛ぶように売れている。以前は、1日に十数個から数十個売れる程度だったが、今は100個以上売れている。ほとんどの購入者から、『とてもかわいい』といった、喜びのフィードバックが寄せられている」と説明する。石のほか、葉子さんのショップでは、ペットストーンが「快適に」暮らすための、専用のマフラーやラジオ、花瓶、街灯といった関連商品も販売している。
同じく「90後」の奇石専門店のオーナー雍根さんは、この業界のビジネスを続けて7年になり、昨年から「ペットストーン」を販売するようになったという。そんな雍根さんは、「どちらも石であるものの、まったく違う世界。『奇石』は『50後(1950年代)』生まれから『80後(1980年代生まれ)』に人気で、彼らは文化的価値を追求するなど、石にスピリチュアルなものを求めている。一方、『ペットストーン』は、『90後』や『00後』に人気で、彼らは石に『息を吹き込み』、情緒的価値を追い求めている」との見方を示す。
山東財経大学の文学・新聞伝播学院の戴盈講師は、ペットストーンを「飼う」人の感情を「絆や安心感、帰属感を求める感情」と分析し、「飼育していると、ペットとの間には絆ができ、互いに支え合い、相手に安心感や帰属感を提供し合う。人付き合いというのは複雑さを回避することは難しく、またネコやイヌを飼うには、時間やお金も必要となる。一方、『ペットストーン』であれば、人付き合いで疲れ果てることを心配する必要もなく、感情的、情緒的必要も満たしてくれる」との見方を示した。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年9月25日