緑を筆に 革新を墨に---人と自然の調和を伝える万博・中国館

2025-05-21 14:56:00

段非平=聞き手 中国国際貿易促進委員会=写真提供 

関西万博が4月13日、正式に幕を開けた。今回の万博において最大の自前建設の海外パビリオンである中国館も、開幕と同時にその神秘のベールを脱いだ。中国館は、どんな独特なデザインなのか?どんな中国の物語を伝え、世界にどんな美しい未来像を発信しているのか?これらの問いに答えるべく、2025年大阪関西万博中国館館長の晏晨暉氏が本誌の単独インタビューに応じた。 

――近年の万博においては、中国館が中華文化の持つ独特な魅力を見事に表現し、世界中の人々に強い印象を残してきました。今回の万博における中国館のデザインコンセプトや主な見どころについてご紹介いただけますか? 

晏晨暉 中国館の建築そのものが、一つの大きな見どころだと言えるでしょう。中国館は、中国の伝統的な書道の「巻物」や「書簡」がモチーフで、それらを広げたような姿をしている竹の色の建物です。外観には、金文、篆書(てんしょ)隷書(れいしょ)、行書、楷書という五つの書体で刻まれた119の漢詩や名文が並び、一目で中国らしさと豊かな文化の香りを感じていただけます。館内は、自然光が差し込む開放的なエントランスホールや光の中庭、柱のない展示ホールが段差をつけて配置されており、建物の前に広がる「墨池竹林」の庭園風景と一体となっています。来館者の皆さまには、この壮大な巻物の中を歩くことで、まさに「絵の中を旅する」ような、中国の伝統美学の世界を体感していただけると思います。 

竹は中華文明を象徴する代表的な要素であると同時に、再生可能で低炭素な環境に優しい建築材料でもあります。中国館では、設計から素材選び、施工、運営に至るまで一貫してグリーンかつ低炭素を追求しました。これは、「人と自然の調和の取れた共生」というテーマに呼応するとともに、中国が掲げる環境に優しいエコロジー理念を体現するものです。 

中国館のもう一つの大きな見どころは、伝統と現代の融合です。例えば、来館者は動的な映像を通じて、「耕織図」(水稲耕作と蚕織作業を描いた絵)に描かれた千年の農業の知恵を没入感のある形で体験できるほか、宇宙ステーション「天宮」の宇宙飛行士とビデオを通じた交流も楽しめます。千年の時を舞う敦煌の飛天は、無人探査機「嫦娥6号」による月の裏側からの土壌サンプル採取という貴重な瞬間と響き合い、星空を見上げるところから宇宙探査へと至る中華文明の歩みを表現しています。さらに、AI技術によって神話の登場人物が「命を吹き込まれ」て来館者と対話し、スマートロボットが琴の音色に合わせて優雅に舞うなど、テクノロジーを取り入れたインタラクションにより、中国館は文化に「触れることができ」、未来を「感じ取れる」空間を実現しています。 

――今回の大阪関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。中国館はこのテーマにどのように応え、どのような「中国の知恵」を世界に伝えたいと考えているのでしょうか? 

 中国館のテーマは「人と自然の生命共同体を共に築く――グリーン発展の未来社会」です。これは万博のテーマと高度に一致しています。中国館では「天人合一」「緑水青山」「生生不息」という三つの章を軸に語りを展開し、五千年にわたる中華文明が育んできた伝統的なエコロジーの知恵を紹介します。また、新時代におけるグリーン発展の理念と成果を紹介しつつ、中国が世界各国と手を携え、人と自然の生命共同体を共に築いていくという美しいビジョンを示したいと考えています。 

中国館では、来館者の皆さまに、世界最古の水利施設である都江堰や、千年の農業遺産である桑基魚塘に込められた中国古代のエコロジーの知恵をご体感いただけます。また、かつて魚やエビが姿を消した廈門(アモイ)の篔簹(うんとう)湖が白鷺の舞う自然へと生まれ変わった事例や、塞罕壩(さいかんは)で荒れ地が緑のオアシスへと変貌を遂げた奇跡のような実例など、数々の「中国のプラン」が、自然を尊び、自然に従い、自然を守るという発展理念を生き生きと物語っています。これらは、環境保護と社会発展の調和が進む「美しい中国」の姿でもあります。さらに、スマートシティーのジオラマでは「八つのネットワークの融合」による未来都市のビジョンを提示し、AI大規模モデルは、中国文化に登場する神話の人物たちを時空を超えて現代によみがえらせ、多言語で古今の物語を来館者と語り合うなど、革新的な演出が満載です。これらは全て、中国がイノベーションを原動力として発展をけん引し、地球規模の課題に取り組み、人類の福祉向上に貢献し続ける姿を示すものです。 

建築の外観から内部のデザイン、実物展示からテーマ映像、エコロジー事例から未来の科学技術に至るまで、中国館は「人と自然が調和して共生する道」を模索するストーリーラインを全体に通しています。これを通じて、中国人の素朴でありながら奥深い生態観と、「調和共生」を重んじる価値観を、世界中の来館者に向けて発信してまいります。 

――大阪関西万博の期間中、中国館では多彩な活動が行われる予定だとお聞きしています。関連情報についてご紹介いただけますか? 

 中国館の開館初日には、中日友好を記念した舞劇『朱鷺』と伝統的な獅子舞のパフォーマンスを上演し、平和と友好への真摯(しんし)な願いを人的文化交流の生きた実践として表現します。また、7月11日には中国館のナショナルデーイベントを開催し、中日両国の指導者や各界関係者を招待する予定です。注目すべきは、7月11日が中国の航海の日であり、著名な航海家である鄭和が7回にわたって西洋下りを行い、世界との友好の懸け橋を築いた記念日でもあることです。この日にナショナルデーイベントを開催することで、各国の人々との友好交流を強化し、人類運命共同体の構築に向けた中国の良き願いと責任を示すことになります。 

今回の万博では、30の省自治区直轄市および深圳(しんせん)市が中国館でイベントを行い、これまでの海外の万博における中国館の中で最も多い規模となります。各省自治区直轄市は、それぞれの地域の優れた文化、自然の風景、科学技術の成果、経済貿易の発展、特産品などを展示する予定であり、日本の各界および世界中の来館者に大いに喜ばれると信じています。 

また、多くの日本の友人たちも中国館で文化や芸術などさまざまな分野で多層的な交流を行い、両国民の友好協力の新しい章を共につくり上げていくこととなります。要するに、大阪関西万博の中国館は、人的文化交流のプラットフォーム、経済貿易協力のプラットフォーム、そして友情を深めるプラットフォームとなることでしょう。 

――中国館に対してどのような期待をお持ちですか? これから訪れる各国の来館者に、最も伝えたい言葉は何ですか? 

 私は、中国館が一つの窓口となり、世界に、中国式の現代化が単なる経済の発展だけでなく、人と自然との調和の取れた共生の生きた実践であることを示すことを期待しています。百聞は一見にしかず、ぜひ多くの国の友人たちに中国館に足を運んでいただき、リアルで素晴らしい中国を実際に感じてほしいと思います。皆さんの協力の下、184日間の展示を通じて、中国館はきっと成功し、素晴らしく、忘れられないものになると信じています。 

 

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