陝西省鎮安揚水発電所:奥山にそびえるグリーンな「巨大充電池」

中国西北部で現在稼働中の揚水発電所の中で最大規模を誇る国家電網新源・陝西省鎮安揚水発電所が、安定運転開始から1年余りを迎えた。4台のポンプ水車(合計出力140万kW)の起動・停止成功率は99.87%、エネルギー変換効率は約80%に達し、西北部の電力網の安定供給に貢献している。
その仕組みは至ってシンプルだ。需要が落ち込み、風力・太陽光発電が余剰気味となる時間帯に下部ダムから上部ダムへ水をくみ上げ、電気を水の位置エネルギーに変換して蓄える。夜間の需要ピーク時には放水して発電し、水のエネルギーを再び電力に変える。こうした運用モデルにより、同発電所は再生可能エネルギーの出力変動の不安定性という難題を解決し、電力網の負荷のバランス維持や周波数調整に貢献している。
建設から運用に至るまで、環境配慮が徹底されている。下部ダムは自然河川を活用して整備され、工事中は排水・廃棄物のゼロエミッションを実現。希少種である秦嶺蕙蘭(しんれいけいらん)76株の移植保護や水生生物の増殖放流施設の設置など、地域の生物多様性保全にも努めた。
西北部の豊富な風力・太陽光資源を活かし、この「巨大充電池」は年間約12億kWhの余剰グリーン電力を吸収。これは年間11.7万トンの標準炭の節約に相当し、CO₂排出量を30万5000トン削減することで、中国政府のカーボンピークアウトとカーボンニュートラルの目標達成にも寄与している。
特筆すべきはその応答速度だ。400m超の高低差を活かし、発電開始までわずか3分、揚水切り替えは7分で完了。悪天候下でも即座に対応できる。今夏の需要ピークを前に、発電所では既に供給体制を強化し、24時間体制の監視運用で電力供給の安定に万全を期している。
鎮安揚水発電所は、成熟した蓄電技術によるエネルギー転換の推進と、環境調和型の建設・運用モデルによる発展と環境保全の両立を実現した事例として、異常気象への対応や電力インフラの気候変動耐性向上を目指す世界に対し、参考となる中国の実践例をもたらしている。
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