変面芸術家の王文強氏「日本人に本当の中国戯曲文化を伝えたい」
中日が国交正常化50周年を迎えるにあたり、両国の芸術家が共演する現代劇『西遊記奇聞~』の稽古が東京で行われている。11月に日本の国立能楽堂で公開予定。
『西遊記奇聞』の制作を手がける日本のアジア芸術文化促進会の王文強代表は安徽省出身の演劇役者で、幼い頃から安徽省の黄梅劇を学び、川劇変面を得意とする(師匠は変面の巨匠の毛庭斉氏)。2014年、彼は中国戯曲学院の戯曲監督学科を卒業し、舞台芸術を学ぶため日本大学大学院に進む道を選び、中国の戯曲文化の伝承に力を入れてきた。
交流の場を築く
留学中、王文強氏は学校で日本の教員と学生に黄梅劇と変面を披露・解説するだけでなく、中国駐日本大使館、日中友好協会、日中友好会館などを通じて多くの交流公演に参加し、日本人に中国の戯曲と文化の魅力を伝えた。これらの交流の経験を通し、王文強氏は日本人の中国伝統劇に対する知識が少ないと感じた。日本人の多くが、中国には京劇以外に348種の歴史ある様々な地方劇があることをほとんど知らない。公演を鑑賞し中国の演劇に興味を持ったとしても、さらに深く知る手段と場がないことを深く考えさせられたという。
2018年、王文強氏は(日本)アジア芸術文化促進会を設立し、舞台演出、役者派遣、イベント企画などを行いながら、中国の戯曲文化の宣伝や中日文化交流の強化に取り組んだ。その間、彼は中国から多くの芸術団体を日本での公演交流などに招き、中日青少年文化交流事業なども行った。
「公演+解説」で中国の戯曲文化を深く紹介
王文強氏は、1つの演目または変面公演で観客を楽しませるだけでは不十分だと深く感じ、公演前後に日本の観客に向けて文化の背景、物語の内容、表現スタイルと意図を詳しく解説し、中国の戯曲に対する知識を増やした。
「2018年、私たちは中国文化センターと共同で安徽省安慶市黄梅劇芸術劇院を日本公演に招いた。1週間に及んだ公演は満員となり、私も解説に力を入れた。当時、ある日本の観客は中日辞典を持って鑑賞し、その姿に鼓舞された」と王文強氏は話した。
王文強氏の講座は中国の最近の発展を紹介する動画も取り入れ、日本の観客の興味を引いた。中国を訪れたことがある観客は中国の変化に驚き、「もう一度中国に行きたい」と話した。
共同制作が交流を推進
王文強氏は、文化交流にはまず文化者の交流が必要で、日本の芸術家と共同制作できれば、2つの文化を1つの芸術作品の中で融合させることができ、文化を伝える上で大きな意味があると考えた。そこで、彼は日本の芸術家、芸術団体と共同で企画し、中国の戯曲や変面芸術などを現代劇や公演に柔軟に取り入れた。
2019年に(日本)アジア芸術文化促進会が制作した初の中日合作劇『羅生門』の中で、王文強氏は日本のダンサーに中国の戯曲にある騎馬やアクションなどの表現スタイルを教え、演出効果と見る価値を大幅に高め、観客から好評を得た。現在稽古中の『西遊記奇聞』も多くの中国伝統劇の要素を取り入れている。
正統な変面芸術を伝える
変面は激しく変わり、神秘的で予想できない芸術的魅力で日本人から人気があるが、伝承の極秘性が弱いことに加え、インターネットの発展により、多くの外国人が衣装、道具、マスクをネットで購入し自分で学ぶことができる。中には、いい加減に作られた動画で上っ面だけの知識を学んであちこちで披露している人もいる。プロの役者と文化の伝達者として、王文強氏はそのことを大いに懸念し、中国の変面芸術が国外でこのように発展していくことを受け入れることができない。彼は、「専門的な基礎トレーニングと指導を受けずに行う公演の質がどうかは考えればわかる。これは日本の観客のこの芸術の美とセンスに対する評価を大きく下げることになる。」
ちょうどその時、変面の初歩技術をマスターした日本の少年から連絡があり、彼から学びたいと何度も申し出があった。変面の日本での状況を考慮し、王文強氏は熱意あるこの異国の弟子を受け入れ、最も基本的な足のストレッチ、蹴り技、仕草から教えることにした。王文強氏は、「正統な変面の基礎トレーニングと専門的な指導を通して、日本の学生と観客に本当の変面の芸術的魅力を伝えたいと思った」と話した。
今後、王文強氏は日本に「中国変面芸術研究センター」を設立し、関連知識を紹介、宣伝し、日本人のこの技術に対する知識を増やしたいと考えている。「彼らに日本舞踊、歌舞伎、能楽などの日本の伝統芸術と同じように中国の芸術文化を尊重してもらいたい」と話した。