70数年の努力が実る! 中国の重要石窟寺院の重大リスクはほぼ解消

2024-08-27 17:01:00

石窟寺院の世界遺産では中国の洞窟寺院の数は世界1位。中国には現在、石窟寺院と磨崖仏が計6000ヶ所近くある。中国国家文物局の最新の情報によると、70数年に及ぶ努力が実り、敦煌莫高窟、雲崗石窟、竜門石窟など重要な石窟寺院が抱える重大なリスクはほぼ解消された。新華社が伝えた。

中国には石窟寺院が2155ヶ所、磨崖仏が3831ヶ所ある。石窟寺院は主に陝西省、山西省、甘粛省の3省に分布し、磨崖仏は四川省、重慶市、西蔵(チベット)自治区、山西省に集中的に分布する。

1千年ほど風雨にさらされてきた石窟寺院は、今では増加する異常気象、旺盛な観光ニーズなどさまざまな課題に直面している。ひび割れ、漏水、風化、欠損、割れ目、剥落、構造の不安定化などは、いずれも石窟寺院に出現する可能性のある典型的なリスクだ。

竜門石窟景勝地を見学する観光客。(撮影・呉剛) 

竜門石窟景勝地を見学する観光客。(撮影・呉剛) 

8月19日から21日まで、世界16ヶ国の研究者が甘粛省敦煌市に集まり、2024石窟寺院保護国際フォーラムで石窟寺院の保護と利用について議論を行った。

古い石窟寺院をよりよく保護するにはどうしたらいいか。石窟を守ってきた幾世代もの人々がそれぞれに「中国の知恵」を絞り出してきた。

微生物を利用したバイオミネラリゼーション技術は、文化財の修復・保護の新たなソリューションだ。

中国工程院の院士で、重慶大学の劉漢龍教授は、「新興の微生物を利用した地盤工学は微生物バイオミネラリゼーションのプロセスを岩盤工学に応用したものであり、土壌の強度や透過性などの基本的な性能を著しく高めることができる」と説明した。

現在、この技術は大足石刻など複数の文化財の保護に応用され、修復の効果は上々だ。

敦煌研究院文化財デジタル化研究所で、莫高窟彩色塑像の3D再建作業の成果を示すスタッフ。(撮影・李賀) 

敦煌研究院文化財デジタル化研究所で、莫高窟彩色塑像の3D再建作業の成果を示すスタッフ。(撮影・李賀) 

予防的な保護・モニタリングにより、さまざまな気候変動に対応することができる。石窟寺院はその特殊性により、他のタイプの文化遺産より気候変動に敏感だ。

敦煌石窟モニタリングセンターを訪れると、すべての開放型洞窟の温度、湿度、二酸化炭素(CO2)濃度、観光客数などのデータが、壁一面に広がる大きなモニターに表示されていた。数百キロメートル圏内の雨、洪水、黄砂の情報もリアルタイムで更新されていた。

この予防的保護・モニタリングシステムは、石窟エリア内に設置されたさまざまなタイプの600個あまりのセンサーに基づくもので、莫高窟全体のマクロ環境、各洞窟のミクロ環境、文化財の本体、崖部分、観光客の受入人数などのデータがリアルタイムで収集され相互に参照しながら分析が行われる。

このシステムは潜在的リスクをリアルタイムで警告するとともに、予防的保護のために信頼性の高いデータ面のサポートも提供する。

中国古跡遺跡保護協会の宋新潮理事長は、「石窟寺院遺跡は重要な景観的文化遺産であり、石窟寺院及び関連遺跡の歴史、自然環境の全体的保護、体系的保護を強調し、人々に石窟寺院の空間的魅力及びそこに含まれる独特の美学・思想と文化的意義を感じてもらうようにしなければならない」との見方を示した。(編集KS)

「人民網日本語版」2024年8月27日