深刻な絶滅危機に直面するゴビヒグマを中国で初確認
新疆維吾爾(ウイグル)自治区において科学考察を行っている中国林業科学研究院の専門家が最近、同自治区伊吾(アラトゥルク)県で、ゴビヒグマを初めて確認した。同自治区でゴビヒグマが確認されるのはこれが初めてのことだ。中央テレビニュースが報じた。
ゴビヒグマは、ヒグマの亜種または一群で、世界で唯一厳しい砂漠に生息するクマ。主なエサは植物となっている。モンゴルでは「国の宝」ともいえる存在で、その地位は中国のジャイアントパンダに相当する。
現地の林業・草原当局によると、伊吾県の下馬崖(バイ)郷では2020年から、ヒグマが活動する様子を捉えた映像が何度も確認されていた。確認された地点は中国とモンゴルの国境からわずか20キロの場所にあるという。伊吾県の自然環境は、モンゴルのグレートゴビA厳重保全地域と似ているほか、ゴビヒグマの生息地とも似ており、生息と繁殖する環境が整っている。
現有の研究によると、ゴビヒグマはグレートゴビA厳重保全地域にしか生息しておらず、個体数はわずか50頭ほど。絶滅危惧の中でも最も絶滅のおそれが強い「深刻な危機」に相当する希少動物となっている。同保全地域は、中国の内蒙古(内モンゴル)自治区阿拉善(アルシャー)盟額済納(エジン)旗、新疆維吾爾自治区哈密(ハミ)市伊吾県、甘粛省酒泉市粛北蒙古(モンゴル)族自治県と国境を接している。モンゴルの科学者は、行動調査用のGPS首輪発信器を付けたゴビヒグマ1頭が2015年に中国とモンゴルの国境を越え、伊吾県内で約1ヶ月活動した後、モンゴルに戻ったことを確認していた。
伊吾県の林業・草原当局が近年、重点エリアに指定されている草原での放牧を禁止したり、野生動物や植物の保護とモニタリングを強化したりしているのを背景に、その自然環境は継続的に改善しており、生物多様性保全にとって積極的作用を果たす成果を挙げている。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年8月29日