90年前の道程を再体験(3)世界と未来へ向けた動き

2026-10-21 14:24:00

1934年10月から36年10月にかけて、革命の力を温存し、民族再生の希望を追い求めるため、中国工農紅軍は人類史に刻まれる戦略的大移動――長征を行った。2年に及ぶ長い遠征で紅軍は過酷な自然環境と幾重にも張り巡らされた包囲網に直面し、終わりの見えない餓えと寒さ、生死の試練を経験し、想像を絶する粘り強さと勇気によって人類史における偉大な快挙を達成した。この10以上の省をまたいだ約2万5000里(1万2500㌔、中央紅軍第一方面軍で最長の行程)の行軍は中国革命の運命を転換させたばかりか、後世に続く長征精神を残した。 

長征勝利90周年を記念し、中国外文局は「長征の道を共に歩む」と題した当時の紅軍の足跡をたどるイベントを行い、本誌が所属するアジア太平洋広報センターが甘粛省での取材と報道を担当した。1週間に及ぶ行程で、中国、米国、英国、日本、オランダ、ブラジル、ニュージーランドなど各国の専門家やメディア関係者、中国と縁の深い海外の人々、党史研究者、紅軍の子孫などで構成された国内外取材団が甘粛省の蘭州市、岷県、臘子口(迭部県にある峡谷)、哈達鋪鎮、会寧県などを訪れ、革命の旧跡から歴史を振り返り、農村や産業の最前線で発展を見つめ、数々の取材と交流を通じて、長征精神がどのように現代に示唆を与え、世界にどのような啓発をもたらすのかを探求した。 

 

取材活動最終日、「長征の道を共に歩む・偉大な長征から偉大な復興へ」をテーマとする長征精神座談会が蘭州市で開かれ、国内外の専門家や記者が今回の活動で得た所感を話し合い、長征の歴史と精神に関する見識を交換した。 

長征の歴史を振り返る中でブロムウィッチ氏は次のように述べた。長征の勝利とは困難を恐れず、犠牲をいとわない確固たる信念に基づいているばかりか、中国共産党が実際の状況によって戦略を調整し、複雑な情勢の中で主導権を握る能力も体現している。明確な目標と柔軟な戦略、人民の支持が紅軍が勝利に向かった大きな理由だ。 

木村氏は次のような考えを述べた。長征には中国革命の神髄が凝縮され、中国共産党史上重要な転換点だ。紅軍は人民をよりどころにし、人民のために戦い、「実事求是」(事実に基づいて真実を求めること)を堅持し、長征の中で抗日民族統一戦線の形成を推進したことは、中国革命の勝利が中国社会と人民の力に深く根差していることを説明している。 

梁氏は父親の梁興初が高地の湿地帯を通過したとき、戦友の曽国華が渡した数個のハダカムギパンで体力を回復し、湿地を脱したエピソードを紹介した。物資が極度に欠乏している環境下で、曽国華が生きる希望を戦友に譲ったのは、紅軍将兵の団結と支え合い、全体の利益を優先する深い絆を表していると述べた。 

長征精神はいかにして時空を超えて現代中国へと続いたのかが、国内外のゲスト共通の話題になった。 

ブラウン氏は長征こそ奮闘の極みとなる形態だと見る。ほぼ希望がない状態でも進むことを選択したからだ。貧困脱却の難関攻略戦から農村振興まで、末端幹部から帰郷起業家まで、長征精神は色あせることなく、軽々しく諦めることなく着実に前進するあまたの一般人の奮闘の中に存在している。長征精神が内包する忍耐、信頼、協力、希望は人類共通の精神的財産であり、中国だけのものではなく、不確かな世界に直面しながらも依然として前進を選ぶ人々のものでもある。 

ゼルベト氏は、革命旧跡の保護やレッドツーリズム(革命旧跡を訪ねる観光)の発展から、岷県トウキなど特産品産業がもたらす収入増加まで、甘粛省は艱苦奮闘と一致団結の長征精神を、難関を克服し質の高い発展を推し進める現実の力へと転換しつつあると考えた。 

ハリス氏は、今回の旅を通じて紅軍の犠牲と団結の精神に対する理解を深めただけでなく、甘粛省における革命旧跡の保護、インフラ整備、民生改善などの分野での変化を身をもって感じ取ったと述べた。そして、長征精神は歴史の教科書の中に存在するだけでなく、人々の堅忍不抜な品格にも表れており、絶え間なく次世代を激励し続ける奮闘精神にも体現されていると述べた。 

いかにして長征の物語を言語や文化の壁を乗り越え、世界と未来へと届けていくのかについても、ゲストたちは各自の見解を述べた。 

中国共産党中央党史・文献研究院副研究館員の曽珺氏は外国人と長征との関係を整理した。長征自体が国際社会に発見、記録、理解されてきた歴史であるというのが曽氏の見解だ。長征の主体的な参加者は中国人だが、その歴史の中で外国人も実際に参加、記録、発信した。紅軍の長征に関わった外国人から、エドガー・スノー(1936年に陝北に入り『中国の赤い星』を執筆した米国人記者)、ハリソン・ソールズベリー(長征勝利50周年に際し、徒歩で長征の道を再訪し、『長征――知られざる真実』を著した米国の著名作家)に至るまで、国際社会の長征への認識は往々にして具体的な人物の体験と証言から始まった。まさにこれらの言語と国境を越えた記録を通じて、長征は次第に世界が中国共産党を知り、中国革命を理解するための一つの窓口となっていった。 

90年前、エドガー・スノーは現地に赴き、それまで外界が真の意味で知ることがなかった中国共産党と紅軍を世界に示した。今日においても、国際発信は同じように現実の観察と具体的な経験に基づかなければならない。 

中国外文局米州広報センターのオランダ人専門家のエルスベス・ファン・パリドン氏は、長征と革命の歴史や文化の物語を海外向けに語る際にはまず受け手が誰かを明確化し、彼らが何に関心があるのか真剣に耳を傾けるべきだと考えた。海外の人々は中国の歴史や文化に強い関心を抱いているとパリドン氏は実感しており、「革命の歴史と文化、博物館体験、科学技術の革新などの要素を組み合わせ、より物語性のある方法で現代中国の発展の実践における長征精神の継承と発展を示すことができる」と述べた。 

ファーガソン氏は、長征精神が示した力、勇気、忍耐、目的意識、リーダーシップ、仲間との絆と団結は異なる国や文化を背景とする人々も理解し重視できる品格だと考えた。長征の物語が世界の人々を心から感動させるには、抽象的概念を繰り返すのではなく、これらの品格が一人一人の人物と具体的な選択からどのように表れたのかをはっきり語ることが大事だとした。 

世界に長征を理解させるには、新たな語り方を模索し続けなければならないし、長征精神を未来へと受け継ぐには、若者にこの歴史を身近に感じてもらわなければならない。 

甘粛省定西市にある通渭県文廟街小学校校長の張九生氏は同校の取り組みを次のように紹介した。学校では革命・長征に関する詩文の朗読、学校独自のカリキュラム、書画の創作、革命歌の伝唱、革命旧跡での体験学習を通じて、教材から子どもたちの日常生活へと長征の歴史を浸透させている。また、児童たちを解説員に育成することで、歴史を知る段階から精神を理解する段階へと導き、学習者から語り手への成長を促している。長征精神の継承は、単にいくつかの出来事や年月日、場所を覚えることではなく、そこに込められた価値を理解し、その理解を現実の問題に直面したときの選択へと変えていくことにある。 

中国外文局総編集長の高岸明氏は次のようにまとめた。長征の道を共に歩むのは、100年の奮闘の歴史を振り返り、中国共産党が今日まで歩んできたその初心と根幹を読み解くためだ。長征の物語をしっかり伝えることは、真実かつ立体的で全面的な叙述によって中国の精神を描き出すためだ。長征精神を発揚することは、現在の発展の道のりで団結奮闘し、未来へ進む力を結集するためだ。国内外のゲストには自ら現地に足を運んで中国を観察し、それぞれの視点で中国を語り、中国と世界を結ぶ橋を築いてほしい。 

1週間にわたる行程で、国内外のゲストは臘子口の険路を進み、哈達鋪の古い町を見学し、会寧の合流旧跡を訪れ、歴史の現場で紅軍が血戦を経て包囲網を突破して北上を決意した激動の日々を振り返った。また岷県の畑や産業拠点を見学し、現地の特産品産業を生かした貧困脱却と振興の実現、故郷に新たな息吹をもたらしている現実を目の当たりにした。この旅で90年の道のりは歴史から現実へと次第に明確になった。来たときは紅軍がかつて進んだ長征の道が、帰るときには歴史と現実を結ぶ思考の道となった。ゲストたちが持ち帰ったのは体験と物語だけではない。長征精神が時空を超えて今なお色あせない理由もだ。これらの観察と思考は彼らの歩みと語りと共により大きな世界へ広がっていく。 

人民中国インターネット版

関連文章