中国の「人口ボーナス」は本当になくなりつつあるのか?
2022年末時点で、中国の人口は前年末比85万人減少し、中国にとって61年ぶりの人口減少になった。世界一の人口大国である中国は初の人口マイナス成長を迎え、その人口ボーナスはなくなりつつあるのだろうか。
これに対し、中国人口学会の副会長を務める中国人民大学の杜鵬副学長は、「中国の人口ボーナスは引き続き存在する。人口ボーナスは経済学の概念で、人口構成によって決まるだけでなく、より重要な要因は人口ボーナスのチャンス期を十分に利用できるかどうかだ。改革開放前には、中国は労働者が非常に豊富だったが、これはその後で中国経済が発展した主な原因ではない。主な原因は改革開放そのものによって中国の人口数と人口構成の優位性が十分に発揮されたことであり、だからこそ人口ボーナスが生み出された。今も引き続いて人口ボーナスが存在するのには、3つの理由がある」として、次の3点を挙げた。
(1)中国の労働者の数は引き続き非常に大きい。22年には、中国の16-59歳の生産年齢人口は8億7600万人に達し、規模が依然巨大だ。
(2)中国は人的資源大国から人的資本大国へと転換しつつある。中国の8億人を超える労働者のかなりの部分が優れた教育を受けた人々で、15歳以上の人口の平均修学年数は約11年に達した。22年の中国の大学卒業生は1076万人に上る一方で、中国では毎年約1300万人が新たに就職している。十分な雇用があれば、新たに就職する人の圧倒的多数が高等教育を受けた質の高い労働者となる。中国の労働者の数はこれからの数年間、緩やかに減少する可能性があるが、労働者の質が高まっている。このことが私たちに膨大な質の高い労働者を十分に活用するための最良のチャンスをもたらした。
(3)中国は新たな発展段階にさしかかり、体制・メカニズムがの改善が一層進み、労働者の供給と雇用ニーズのよりよいマッチングを絶えず促進することができる。都市化プロセスを促進する中で、より多くの農業の余剰労働者が都市部へ向かい、一層効果的な人的資源の配置を実現できる。
こうして、中国には引き続き巨大な労働者層が存在し、より優れた質の労働者構造があり、より充実したメカニズムによって質の高い労働者が経済・社会の発展と一層緊密に結びつき、人口ボーナスは引き続き存在していることをしっかり見るべきだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年2月17日