中国2023年予算報告の重点は何?国家予算を読み解く
家庭には小さな帳簿があり、国家には大きな帳簿がある。全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議全国委員会)期間に代表・委員が手にした予算報告が、この大きな帳簿に当たる。今年の予算報告の重点は何だろうか。
■財政政策を強化・効率化、赤字率を3%に
予算報告によると、2023年の全国一般公共予算支出は前年比5.6%増の27兆5130億元(1元は約19.7円)。また、財政赤字率を適切に高め、前年比0.2ポイントの3%とした。全国の財政赤字は前年比5100億元増の3兆8800億元となっている。
2023年に中国が財政赤字率を適切に高め、必要な支出を維持し、財政の逆周期調節作用を発揮させることは、市場の信頼を下支えすることにプラスとなる。同時に、赤字率が3%を超えないことは、政府の債務リスクを防止し、新たな困難や試練に対処するための政策的余地を残すことにプラスとなる。
■今年の新規特別債限度額は3兆8000億元
予算報告によると、今年の新規特別債限度額は前年比1500億元増の3兆8000億元。投資分野とプロジェクト資本金の範囲を適切に拡大し、地方の正常な資金調達ニーズを支える。
粤開証券の羅志恒チーフエコノミストによると、特別債をこうした重大なインフラ事業に投入することで、インフラと投資を牽引し、需要全体を拡大し、経済を安定化させる。特別債の投入と資本金の範囲の拡大は、中国の社会投資誘導における特別債の役割をより良く発揮させることに寄与する。
■財政政策を強化し、中央から地方への移転支出を拡大
予算報告によると、今年、中央から地方への移転支出は前年比3.6%増の10兆625億元となる。また、末端層支援減税・費用削減実施や重点的民生項目など特定分野への移転支出として5000億元を一括拠出する。
中国人民大学財税研究所の朱青首席教授は「現在、我が国の財政支出の約86%は地方で行われている。中央政府に集中させた資金の大部分は、主に移転支出の形によって地方政府に拠出されており、今年もこの方面での支出が減らないようにする必要がある」とする。
■全国一般公共予算は民生支出の割合が持続的に拡大
全国一般公共予算支出では、民生に充てる支出の割合が大きく、教育、医療、社会保障など民生分野に充てる割合が拡大し続けている。2023年の国家財政という「貴重な資金」は絶えず民生を強化・改善し、共同富裕を着実に推進していくことになる。(編集NA)
「人民網日本語版」2023年3月9日