変局の中で多国間協力を担うべき中日

2024-12-25 09:29:00

=蔡夢瑶 

現在、世界で分断と保護主義の傾向が絶え間なく強まり、戦後の国際秩序が試練に直面する中、多国間協力を強化し、グローバルガバナンスシステムの改革を促進することが急務となっている。対話を通じて両国各界の共通認識を結集させ、複雑な国際情勢の下で手を携えて多国間協力を後押しするため、今回のフォーラムでは特別に多国間協力分科会が設けられた。中日双方のパネリストは「分断下における多国間協力の修復と中日の責任」という議題をめぐって率直かつ白熱した議論を行った。 

グローバルガバナンス改革の促進 

現在、国連を中心とするグローバルガバナンスシステムと世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制は試練に直面しており、双方のパネリストは可能な限り速やかにグローバルガバナンスシステムの改革を促進し、新たな国際秩序を構築する必要があるとの見解で一致した。 

中国公共外交協会の呉海龍会長は現在の世界秩序における覇権主義、強権政治、一国主義、保護主義などの問題を深く分析し、これらは不公正、不合理なものであり、世界秩序の正常な運行を深刻に損なう原因を取り除き、できるだけ早く改革と改善を行うべきだと強調した。 

関西学院大学の神余隆博学長特別顧問は、国際ルールを無視した一部の超大国の「貿易戦」を非難し、両国が多国間主義を共に守り、多国間協力の先導を担うべきだと訴えた。 

また、中国人民銀行元副総裁・国際通貨基金(IMF)元副専務理事の朱民氏は以下のように指摘した。伝統的なガバナンスシステムが十分に機能せず、グローバル経済の発展構造の変化をタイムリーに反映できなくなっている。新たな課題が続々と出現している一方で、新しいガバナンスシステムには不備がある。中日両国はこの現状を重視するべきだ。 

台州学院の李建軍副院長は文化的視点から、西洋の主客の二分法、ゼロサムゲーム文化と東方の天人合一、和合文化の違いを分析した。和合文化は人類運命共同体理念の精神的基礎であり、中日双方は同じ東方の知恵を持っており、和合文化の理念を通じて新しい道を歩むことができると強調した。 

中日がいかに協力してグローバルガバナンス能力を高めるかという問題について、当代中国・世界研究院の孫明副院長は、最も重要なのは真の多国間協力を守ることだと述べ、真の多国間協力はより多くの国が平等な立場で参加し、共にグローバルガバナンスを効果的に運用するための「エンジン」をつくり上げるよう求めていると論じた。 

グローバルサウスの台頭を直視 

近年、グローバルサウスの経済的台頭は、グローバルガバナンスに新たな変化をもたらしている。 

元アジア開発銀行研究所長で、東京大学の河合正弘名誉教授は、グローバルサウスの国際ガバナンスシステムにおける発言権を高めることは重要だが、行き過ぎると一部の先進国をシステムから排除する可能性もあるとの考えを示した。アジア開発銀行の中尾武彦前総裁も、台頭後のグローバルサウス諸国が何をするかについて懸念を表明した。 

これに対し、外交部元副部長・元駐米国中国大使・元駐日本中国大使の崔天凱氏は、グローバルサウス諸国がよりいっそう自らの意見を発信し、自国の利益を主張できることが、世界の発展および人類進歩の表れであるとの見解を表明した。崔氏はまた、グローバルサウスの台頭は、多国間体制をよりバランスよくし、グローバルガバナンスをより公正で公平にすることができるとし、次のように強調した。中国は平等で秩序ある世界の多極と広く恩恵をもたらす包摂的な経済のグローバル化を提唱しており、世界各国と協力して人類運命共同体を構築することを目指している。中国はいまだかつて他国と覇権を争うことを考えたことがなく、他のグローバルサウス諸国やBRICS諸国の政策も対立や覇権を求めるものではないと確信している。 

ボアオ・アジアフォーラム秘書長、中国の前国連大使の張軍氏も日本側パネリストの懸念に答え、グローバルサウスの台頭は人類の歴史的な出来事であり、世界が永遠に少数の先進国によって支配されることはあり得ないと述べた。さらに張氏は、グローバルサウスの台頭はグローバルガバナンスに極めて大きなチャンスをもたらし、グローバルガバナンスがより公平で公正なものとなるよう後押しするだろうと語った。 

グローバルな課題への一致した対応 

双方のパネリストは多国間主義の重要性を一致して強調した。青山学院大学国際政治学科教授で東京大学名誉教授の古城佳子氏は、現在の国際社会は経済回復の停滞、気候変動リスクの悪化などのグローバル課題に直面しており、その解決は各国の共通利益に合致し、各国は国際協力を通じて積極的に解決の道を模索するべきだと指摘した。 

気候変動の問題に関して朱氏は、中日が協力してカーボンニュートラルの目標を達成するための長期的なメカニズムの構築を実現させるべきだとの考えを示し、中国と日本はいずれも世界最大級の資本輸出国であり、資本輸出をグリーン融資に変換させることで、世界の発展にいっそう貢献できるだろうと提言した。 

国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男元事務局長は、水素エネルギー、太陽光エネルギー、電気自動車(EV)などの分野で、中国の技術水準は日本や国際社会に先行しており、日本はこれらの分野で中国と協力を深めるべきだと述べると同時に、中国がIEAに加入し、IEAがより重要な役割を果たせるようになることへの期待を示した。 

言論NPOの工藤泰志理事長は、多国間主義を守ることは日中双方の共通認識であり、両国は多国間主義の枠組みの下で日中協力を展開すべきだと述べた。さらに工藤理事長は、2025年は世界反ファシズム戦争勝利80周年に当たると指摘し、世界各国が多国間主義の精神を堅持し、80年前の過ちを二度と繰り返すことがないよう呼びかけた。 

人民中国インターネット版

 

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