平和秩序分科会:共通点の多さ生かして協調

2025-02-08 15:57:00

王焱=文 

在、世界では地政学的紛争が絶えず、国連のメカニズムが効果的に機能しにくくなっている。平和秩序分科会ではその原因と背景をどのように捉え、いかにして地域紛争を解決し、平和秩序を共に構築すべきかというテーマについて、有識者によって熱い議論が交わされた。 

紛争の背景にある大国の影 

2022年以降、ロシアとウクライナ、パレスチナとイスラエルの間で相次いで紛争が勃発し、世界の平和と安定にとって重大な脅威となっているが、残念なことに国連のメカニズムはこのような事態に対して効果的に機能を発揮できていない。これらの地域で立て続けに緊張と混乱が生まれる原因は何なのか、いかにして紛争を終わらせ、衝突の波及を回避するかは中日両国民が共に関心を持つトピックスとなっている。 

現在のロシアウクライナ衝突、パレスチナイスラエル紛争の原因と背景について、中国公共外交協会会長の呉海龍氏は、紛争の表象だけを見て理非曲直を論じるべきではなく、ロシアウクライナ紛争は不断に続いてきた北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大と「カラー革命」を背景とするものであるとの考えを述べた。また、パレスチナとイスラエルの新たな衝突においてハマスが襲撃を行った背景には、イスラエルが長年にわたりパレスチナの土地を不法に侵略占拠してきたことがあるとし、これらの衝突の背景には大国によるそそのかしと加担が存在すると指摘した。さらに呉氏は、このような妨害の下、国連総会と国連安全保障理事会はしかるべき役割を果たすのがますます難しくなっており、その権威性と信望も絶えず損なわれていると語った。 

元外交部副部長元駐米国中国大使元駐日本中国大使の崔天凱氏は、国連安保理常任理事国の中にはかねてより地域紛争に介入し、さらには紛争を引き起こしてきた国が存在し、コソボ紛争やイラク戦争、シリア内戦、リビア内戦などにはそれらの国々の影が見られると指摘した。さらに崔氏は、その唯一の例外は中国であり、中国はいかなる既存の地域紛争を引き起こしたこともなければ地域紛争に介入したこともなく、中国が行ってきたのは停戦と和解の呼び掛けであると語った。 

中国人民政治協商会議第13期全国委員会外事委員会副主任察哈爾(チャハル)学会会長の韓方明氏は、ウクライナ問題における中国の姿勢は一貫して危機の平和的解決に資する全ての試みを支持するものであり、現在は和平交渉の条件が整っていないが、中国は依然としてたゆまず努力を続けていると述べ、中国とブラジルが提起したウクライナ危機の解決に関する六つのコンセンサスを日本も支持するよう呼び掛けた。 

日本側のパネリストはグローバルな地政学的紛争において積極的に対話と和解を呼び掛ける中国の主張に賛同を示した。東京大学大学院総合文化研究科特任准教授の鈴木啓之氏は、日本は過去に中東、とりわけパレスチナとイスラエル間にそれなりの影響力を持っていたが、最近は政治的立ち位置(8)や資金減少などの要因により、日本は地域紛争において真の役割を果たせていないと語った。それに対し、中国はサウジアラビアとイランの和解、パレスチナ各派による「北京宣言」の署名を仲介し、中東における影響力が大いに高まっており、日本はそこから学ぶべきだと鈴木氏は指摘した。 

紛争地域の人々の利益を最優先 

中日のパネリストはグローバルな平和秩序の構築には関係各国の政府間協議だけでなく、国際社会の一丸となった努力がより必要であるとの見解で一致した。崔氏は中日が共に国際および地域の平和と安全を守るのは時代の求めであり、中日の戦略的互恵関係のあるべき筋道であって、より平和で安定した世界と地域は中日双方に利益をもたらすと指摘した。 

さらに崔氏は、現在複数の地域で衝突がますます激化している重要な原因は、一部の大国が自国の世界戦略や地政学的戦略を最優先し、現地の人々の平和、安定、発展、さらには生存への希求を全く顧みないことにあり、中日両国はこのような極めて自国中心的なやり方に共に反対すべきだと強調した。 

元国連事務総長特別代表日本国際平和構築協会理事長の長谷川祐弘氏は、現在西側のリーダーシップは落ち込んでおり、このような背景の下、日本、中国、韓国は共に協力し、新たなグローバル協力のビジョンを描くべきだと述べるとともに、各国が協調して行動をするよう呼び掛け、そうすればきっと多くの成果が得られると確信していると語った。 

国連の役割再確認 

よりしっかりと地域紛争に対処するため、双方のパネリストは国連のメカニズムが果たす役割をさらに強化し、国連改革を適切に推進すべきことで意見が一致した。崔氏は、国連改革は重要だが、安保理常任理事国の増加や拒否権の問題だけに焦点を当てていてはいけないと指摘し、国連改革はより全面的で、より広範囲にわたる改革、総合的な全面的改革であるべきだと語った。また、崔氏は日本のパネリストに対し、国連改革における最大の妨げは中国でも日本でもなく米国であり、「われわれと一緒に国連改革を進めようと米国を説得する方法が日本の皆さんにあるのかどうかは分からない」と語った。 

中日のパネリストたちは国際秩序の問題において、中日の共通点は相違よりもはるかに大きいことで見解が一致した。北京大学国際関係学院教授の賈慶国氏は、国際秩序の問題において中国と日本はいずれも国連の権威を尊重し、国連がより大きな役割を果たすことを望んでおり、国際法を順守すべきと呼び掛け、自由でオープンな国際貿易体制を提唱していると指摘した。さらに賈氏は、その一方で米国は国連の権威を最もないがしろにし、自由貿易体制を脅かす国であり、たびたび武力を頼みとして覇権を示しているとの考えを述べた。 

今日の世界において、平和と発展は依然として人類共通の願いだ。平和秩序をよりしっかりと打ち立て、守るためには、さまざまな面で努力すべきことがある。韓氏は、より恒久的な平和を実現するためには、各国における全国民向けの平和教育の強化を手始めとし、平和と友好の民意の基礎を絶えず強固にする必要があると提言した。 

 

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