天津の朝食に垣間見る、文化の昔ながらの味ーーおいしいワンタンスープ

2018-08-21 10:37:37

 

「朝食」は一つの都市の味覚の記憶であり、起きぬけの一口はことのほか重要である。小さな店を探して、並んでお金を払い、食券を受け取り、料理を受け取る。腰を下ろすとさじがお碗に当たる音、口からはむしゃむしゃという咀嚼音がし、知り合いを見つけると頭を挙げ挨拶をして席を移る。これが天津の早朝の日常で、漫然と、淡々としている。

天津の朝食は、基本的に一カ月間ずっと違うものを食べ続けることができる。みんながよく知っている老豆腐(餡かけ豆腐、豆腐脳ともいう)、豆乳、餜子(油条、つまり揚げパンのこと)、茶卵(茶と醤油や香料などで煮た卵)のほかに、天津の昔ながらの朝食には極めて特色あるご馳走がある。すべて味わい深く、昔ながらの味が残されている。

 

おいしいワンタンスープ

 

 

早朝の一碗のワンタンスープはとても心地よい。ワンタンはその場でつくり、すぐ食べることが大切で、チキンスープあるいはパイグースープに化学調味料を少し加え、ワンタンを煮る。スープの中には乾燥エビを少し、あるいは白菜やカラシナ、海苔、シャンツァイ(コリアンダー)、コショウ粉、酢などの調味料を入れる。天津風ワンタンは皮が薄く、中には新鮮な肉とネギのみじん切り、ショウガなどの調味料が入り、それを混ぜるときには同じ方向に力を込めてかき回すことではじめておいしい具ができる。

民俗学者・食文化研究者の由国慶によれば、かつて天津では、軽食店やワンタン店以外にも、町中至るところにワンタンの振売がいて、ワンタン売りと呼ばれていた。てんびん棒の片側に食器入れがあり、ワンタンを入れる食器が入れられ、もう片方にはコンロが据えられ、アツアツのワンタンを食べさせてくれたという。ワンタン売りは朝から晩までいつでも人気が高かった。

天津にはさらに特色あるワンタンがあり、例えば鶏ひき肉を用い、小麦粉、卵の白身、水をまぜた生地で包んでワンタンとしたものがあって、とてもおいしい。そのほか1980年代、遼寧路にあった安徽菜館で売り出したちりめんワンタン(ちりめんとはワンタンの皮がとても薄いことを指す)も極めておいしく、一部のワンタンスープには鶏肉の細切りやピータンなども入っていた。天津伝統の野菜ワンタンは現在ではあまり見かけなくなったが、これは粉皮(幅が広い春雨)や押し豆腐、生麩、シイタケ、タケノコ、モヤシ、シャンツァイ(コリアンダー)を細かく切って具にしたもので、馬蹄形に包んだワンタンである。

1980年代、宏業菜館の広東風ワンタンが天津で流行した。このスープは鶏と豚の骨を煮込んでつくったもので、皮には卵と小麦粉が使われ、具の肉は脂肪が3割、赤味が7割のものが使われた。ワンタンは食べる直前に包んで、小鍋を用いて一つ一つ煮て、碗の中あるいは外にはさらに干しエビや干し貝などのたれが加えられ、とても美味であった。 (毎日新報記者王晨輝=文 L=編集) 

関連文章