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小暑大暑 酷暑いよいよ迫る

文=郭冷秋

小暑

プロフィール
黒龍江中医薬大学、漢方薬薬理教育研究室副主任、医学博士。漢方の食事療法、養生の研究に従事、黒龍江漢方医薬科学技術進歩一等賞を受賞。
毎年太陽暦の7月7日前後が24節気の小暑である。このころの気温は40度以上に達する炎暑だが、まだ最高気温とは言えないので、「小暑」と言う。小暑は年間降雨量が最も多い節気で、大雨になることが多く、雷や雹が降ることもある。そのため「大暑小暑、ねずみも穴で溺れ死ぬ」という農業のことわざがある。

小暑の節気と民俗

小暑の時、多くの地域は「新しいものを食する」という習俗がある。刈り取ったばかりの籾を精米して、まずご飯を炊いて五穀の神様と祖先に供え、それから家族そろって一緒に新米を食べる。実はこれにはもう一つ意味があって、「新」と「辛」が同音のため、「辛苦(苦労・つらさ)」を食べてしまうという意味もある。他にも「六月六、晒紅緑」という習俗があって、本や色とりどりの服を太陽にさらして、虫干しする。伝説によると、唐代の高僧玄奘がインドから経を持ち帰る途中海を渡った折、経文が海水に浸ったのを6月6日に経文を取り出して日に晒したところから、この日を吉日とした。初めは皇宮内でこの日、皇帝のために龍の文様の長衣を晒したが、後宮から民間に伝わり、家々もみんながこの日正門前で服を日に晒し、やがて習俗になっていったとされる。

小暑の養生

ことわざに「暑さは三伏にあり」といい、小暑は伏天(夏の最も暑い時期)の始まり。外出を減らして暑気を避けた方が良い。小暑の養生は心を落ち着かせることが肝心で、心を穏やかに保つ。厳しい日差しに晒されて暑気あたりになるのを避け、また汗が出た後、風に当たると、寒邪が侵入して風邪や関節の痛みなどの疾病を患う。小暑の節気は雨も比較的多く、蒸し暑くうだって、食欲がなくなる。こういう時は暖かく柔らかい食事を多めにとり、生ものや冷たい物を避け、時間どおりに食事を摂る。粥を食べ、荷葉、土茯苓、ふじ豆、ハトムギ、チョレイマイタケ、サジオモダカ、キワタノキなどをとろ火で煮た暑さしのぎのスープや粥に、砂糖または塩を加えて口当たりをよくすればよい。暑さしのぎには果物を食べるのもよいが、胃腸の負担を考えて適量にする。とり過ぎると、下痢になる。

大暑

毎年太陽暦の7月22日か23日が大暑で、24節気の12番目の節気である。大暑のころは気温が最も高く、農作物の成長も最も早い。大部分の地域は干害、水害、風害もまた最も頻繁な時である。盛夏は酷暑で水分の蒸発もとくに早い。とくに長江の中、下流地域はちょうど三伏の酷暑の日照り期で、生長の盛んな作物が水を最も必要とする。「小暑の雨は銀、大暑の雨は金の如し」というが、正にその通りである。

「大暑船」を海に送って、平和な生活を祈る浙江省台州の人々(新華社)

大暑の節気と民俗

大暑の節気、浙江省の台州沿海の漁村に「大暑船」を送るというならわしがある。清の同治年間(1862〜1874年)、この地で疫病が流行し、大暑が最も甚だしかった。5人の悪魔がなせる業と思い、河辺に五聖廟を建て、この大暑の日に、特製の木造船で供え物を河口外へ送り、疫病も一緒に送り出すことで、平安を願う。現在の大暑船は、昔の3本マストの帆船を縮小して建造され、長さ8メートル、幅2メートル、重さ約1.5トン、船内には各種の供え物を積んでいる。祭が始まると、50数名の漁民が順番に大暑船を担いで街を練り歩き、道の両側には幸福を祈る人で賑わう。その後、大暑船は漁船に曳かれて漁港を出、海上で燃やし、漂うに任せて、五穀豊穣、平和な生活を祈る。

大暑の養生

大暑の天気は酷暑、よく汗をかくので、気を消耗し陰を傷めやすい。よく「無病三分虚」と言われるように、病気でもないのに体が弱る。そのため、充分に水分補給をする他、気を補い陰を養う食品をいつも食べて体質増強する。古くから中国では「冬は三九を補い、夏は三伏を補う」という。山芋、ナツメ、ナマコ、卵、牛乳、蜂蜜、レンコン、キクラゲ、スッポン、豆乳、ユリ粥、菊花粥などはどれも栄養を補う夏の食品である。大暑は気温がわりに高く、人体の新陳代謝も激しく、エネルギーも大いに消耗する。そのため蛋白質を充分に補給し、毎日100~120グラム摂取するのがよい。植物性蛋白質は豆類の加工食品の中から、動物性蛋白質は乳製品の他、適量の肉を食べる。アヒル、ブタの赤身、鳩など、平性あるいは涼性の肉が最適。大暑の節気は心臓血管系の病、腎臓と泌尿系の病の患者が最も危険である。このような持病のある患者は、とくに注意を要する。日常生活では、睡眠を充分にとり、極度の疲れでやっと寝るのは最もよくない。野宿は不可。涼し過ぎないよう室内は適温にする。

 

人民中国インターネット版 2010年8月

 

 

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