ペルー元大統領アラン・ガルシア・ペレス氏
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中国でインタビューを受けるペルー元大統領(左)
アラン・ガブリエル・ルドウィグ・ガルシア・ペレス
(Alan Gabriel Ludwig García Pérez)
ペルーの大統領を2期(1985-1990年、2006-2011年)にわたり歴任し、2008年3月に大統領として中国へ国事訪問した。 | アラン・ガルシア・ペレス氏は、1985~1990年、2006~2011年の2期にわたり大統領を歴任し、第2期目の任期満了までの5年間で中国とペルー間の貿易額は2倍に増加し、中国はペルーにとって最大の貿易パートナーとなった。7月7日、ガルシア氏は北京に到着し、清華大学主催の世界平和フォーラムに出席し、翌8日、インタビューに臨んだ。
──第2期目の大統領在任期間中、ペルーと中国の貿易額は約2倍に増加し、貿易黒字を実現するとともに中国はペルーにとって最大の貿易パートナーとなりました。これらを実現できた要因についてお聞かせください。
ガルシア氏 当時、ペルーは世界に向けて貿易の自由化を図っている段階でした。政策として輸入税を平均で13%から3%まで引き下げ、輸入品全体の86%の関税を撤廃しました。このほかに、中国と締結した自由貿易協定をはじめとする一連の国際貿易協定を結びました。政府による適切な政策の下、中国は自由貿易を実施するための好条件が備わっていますし、中国は現実に即した長期的な経済発展プランを持っています。
──ペルーと中国が締結した自由貿易協定は2010年3月1日に発効しましたが、これまでにどのような成果が見られているでしょうか?
ガルシア氏 両国間の貿易交流を通して望ましい発展を遂げています。自由貿易協定を締結する前に、両国はすでに貿易面で戦略的アライアンスを結んでいました。両国間で貿易交流を深めていく中で、2005年初めに中国は、ペルーに対して40億米ドルを投資し、現在では中国からの投資額が120億米ドルを超えています。近い将来に両国間の貿易額がさらに倍増することも夢ではないと確信しています。
──過去に中国を八回も訪問されたそうですが、中国が遂げているどんな変化が特に印象に残っていますか?
ガルシア氏 中国を訪問するたびに、私が注目したのは、中国人の眼差しから溢れて出ている感情、彼らが着ている衣服、食べ物、交通機関です。中国では、心ゆくまで若者たちとの交流を楽しむことができました。国境の垣根に囚われず、西洋の国々と同じようにおしゃれなファッションに身を包んだ現在の中国人は、30年前のおどおどした姿とは見違えるほど変わりました。
中国が他の国々と異なっているのは明らかです。集団主義制度を実行し、革新を通じて人民の豊かで満ち足りた生活を広い範囲で実現しています。私自身の見解として、中国は20世紀、いや人類史上最も意味深い社会改革を遂げたと言えるでしょう。
――ペルーは中国の経済成長から何が得られましたか?
ガルシア氏 私の大統領在任期間中、率直に言って、2004年の中国訪問から大きな啓発を受けました。なぜなら数年後、かつて訪問した所を再び訪れた際に、その変化をはっきり見ることができたからです。1983年のある晩、李先念中国国家主席(当時)の邸宅で、幸いにも当時の中国指導者である鄧小平氏や李先念主席と会談し、初めて深圳経済特区と北京市近郊地区の建設について聞きました。その後、現地を視察しました。しかし、その時点でこれらすべては、まだインフラ建設工事の計画段階で留まっていました。
私はずっと、鄧小平氏を人類史上最も偉大な指導者の一人と考えていますが、今日でも彼の存在の大きさを感じています。1970年、情報・通信の新たな時代が幕開けした時、彼はすでに、その時代の到来を見据えていました。私見ですが、中国の急速な発展を実現可能にした最も大きな要因は、鄧小平氏と同世代の指導者たちの卓越した才能(個人およびチームとしての貢献も含む)にあると思います。
当時の私は、まだ鄧小平氏のように、国境を越えた今までにない新しい情報技術が、これほどまでにさまざまな投資スタイルをもたらすとはっきり予想できていませんでした。そして、これらの投資スタイルは多様化の一途をたどっています。
――今日の世界が直面している困難は、国家主権と世界安全との狭間で頻発している衝突に起因しています。例えば、リビアやシリア情勢などですが、中国は世界平和の維持において、どのような立場を取るべきだと思われますか?
ガルシア氏 私の政治家人生が始まったばかりの頃は、他国と平等に付き合うことなど、私から見れば、ただの理想論に過ぎませんでした。しかし、儒教思想の影響が強い中国政府と人民は誠実にそれを実行しています。中国は、相手が世界強国であろうとラテンアメリカあるいはフィジーのような小さな国であろうと、対応の仕方に何の変化もありません。中国は彼らすべてを尊重しており、これこそ儒教の最も尊い思想の一つで、他の国には決して真似ができないことだと思います。他の国では、相手国家の大小、貧富と軍事力に応じて対応を変えます。私が33歳の時、幸いにも当時の中国国家主席と共に夕食を楽しみました。その時、私は自分が小さな国の政党リーダーに過ぎないと感じさせられたことは、ほとんどありませんでした。その時から、尊重と調和は理想論などではないと確かに信じられるようになりました。
私は以前に中国の外交部部長と短い会談を行いました。会談から、経済障壁と安全問題など、実際には存在しないことに気づきました。他国への内政干渉を避け、核兵器の使用を制限することに、私は全面的に賛成しています。
──世界で生じているすべての出来事は、中国の伝統的思想から答えが得られるとお考えなのはなぜですか?
ガルシア氏 このスピーディで創造性に富み、支払い方法も多様化している新しい世界は、競争力を求めています。より勤勉で、己を律することができる民族だけが、わずかな資源で巨万の富を築くことができます。このような民族だからこそ世界経済の発展速度に影響を及ぼすことができるのです。現在の新たな経済の発展速度は、まさに中国によって作り上げられています。 その原因を探ると、現在の中国人が持つ、より大きな自由やより多くの交流手段そして富を築くためには欠かせない能力以外に、さらに数千年にもわたって培われた自己反省、集団労働、歴史や先輩に対する尊敬の念、調和の精神また苦難を耐え忍ぶ姿勢などを含む中国人の基本的な資質が挙げられます。これらの資質が、中国に世界の発展速度に影響を及ぼす力を付与しています。(聞き手・今日中国雑誌社マイケル・サラテ)
人民中国インターネット版 2012年11月
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