パナソニックと言えば、中国でもとりわけ有名な日本のブランドの一つだ。改革開放の時代から一貫して中国市場に携わり、高度発展の中で中国事業を拡大してきた同社は、日本企業の存在感が相対的に低下しているとしばしば言われる今日もなお、圧倒的な知名度を誇り、その製品は中国の消費者に愛されている。
筆者は7月に北京で行われた第3回中国国際サプライチェーン促進博覧会(以下、サプライチェーン博覧会)にて、パナソニックホールディングス株式会社執行役員、大阪・関西万博パナソニックグループパビリオン「ノモの国」館長、パナソニック株式会社Technics(テクニクス)ブランド事業推進室長であり、世界的なジャズピアニストでもある小川理子氏に、さまざまなトピックスについてお話しを伺うことができた。

中国が持つ挑戦と創出のマインドセット
――ご自身がサプライチェーン博覧会に参加されるのは何回目でしょうか? また、中国のサプライチェーンについて、どのように評価されていますか?
小川理子(以下、小川) 私のサプライチェーン博覧会への参加は去年に続いて2回目です。パナソニックの出展も2回目になりますけれども、去年よりもさらにブースの面積が大きくなりました。パナソニックグループ全体で申し上げますと、中国事業は全体に占める割合が24・4%と、グループで一番大きな地域になっています。また、利益貢献でも30%に達する規模です。それから、サプライチェーンについては、中国国内に6000社程度のサプライチェーンに関連したお取引先様がございまして、本当に中国の整ったサプライチェーンは私たちの事業に大きな影響を与えています。チャイナスタイルという、挑戦していく、新しいものを生み出していくこのマインドセットそのものに私は勢いがあると思っていて、それは今の日本で欠けているところかもしれません。
――高音質音響機器のブランドで有名なテクニクスの展示も拝見したのですが、テクニクスとご自身の縁、またその中国進出のきっかけをお話しいただけますか?
小川 現在は本当に世界中のさまざまなところでテクニクスの商品を出すことができるようになりました。昔の時代とは違う、最先端のアナログとデジタルのハイブリッドな新しいオーディオとしてテクニクスをご紹介することができていて、音楽の感動を届けたいというその気持ち、その一心で頑張っています。音の決裁者として、私が全責任を持ち、全神経を研ぎ澄ませて最後に製品の音を決めるのですけれども、自分が演奏家としてオーケストラと一緒に演奏したり、あるいはジャズのカルテットとかトリオで演奏したり、そのときの音楽による感動、その中で生まれてくるいい音というものを体で覚えています。いい音にするには二つの条件があって、一つは音が生まれる瞬間の生命力やエネルギーを絶対に失わないこと、もう一つはずっと音楽を聴き続けていて疲れない、もっと聞きたい、一生聞き続けたいという愛着が感じられること。その二つが両立できなければいい音にはならないというのを私は音楽を通じて感じ取ることができて、そのことを現場の開発者に常に伝えています。
小川氏と万博の縁とは?
――音楽の仕事に携わる上で、ご自身がピアニストであることはどのようなプラスの影響となっていますか?
小川 音楽には二つの側面があって、一つは何もないところ、つまりゼロから1をクリエートするということ、もう一つは、制約条件の中でベストのパフォーマンスをするという、その二つの音楽の側面というのは、常に意識しながら自分の中でトレーニングをしているので、仕事の上でさまざまな決断をするときにものすごく役に立つんですね。そういう意味で、やっぱり音楽をやっていることは私の人生と仕事にとってポジティブに、前向きに進ませてくれているということが言えます。
――音楽の中で培った素養、それは万博のお仕事の中でも活躍されたのでしょうか?
小川 今、地球上はさまざまな世界規模の大きな社会課題や制約が起こっていて、過去の常識に縛られたり、なかなか自分の天分、個性、可能性を発揮できなかったりする子どもたちがいるかもしれません。それをもっと解き放っていこうということで、パナソニックグループパビリオンでは、「解き放て。こころとからだとじぶんとせかい」というコンセプトで、一人一人が命を輝かせて未来社会をつくり上げていこうというメッセージを伝えました。
――ところで、大阪・関西万博では中国パビリオンにも行かれましたか?
小川 はい、中国パビリオンは3回行きました。まずは外観が素晴らしく、竹に文字が書かれていますよね。それだけでも個性的な中国らしさが一目で分かります。また、中に入りますと、文字の文化として何千年の歴史の中で出来上がっていき、そして変化・変遷を経て世界中に伝わっていく中国の文化の魅力が紹介されています。文字の文化が土台になって、そしてその土台の上に経済や科学技術など、さまざまなものが重厚に折り合わさり、中国の本当に壮大なスケールが立体的に展示されていたことに、私は本当に感動を覚えました。それから中日友好をテーマとする木彫りアートのパートでは、芸術作品がずらっと並んでいるのですが、そこで特に私どもの創業者の松下幸之助と鄧小平閣下が握手をしているレリーフが展示されていまして。それを目にしたときに、本当にこういう歴史を大事にしてくださっている中国の方々に心から感謝を覚えました。そして、それ以外の中日の友好にまつわるさまざまなことを展示で見せてくださっていることにも本当に心から感激しました。
4月に始まった大阪・関西万博もいよいよラストフィナーレ。まだパナソニックのパビリオンを訪れていない方は、ぜひ小川氏の情熱と理想に触れてみていただきたい。きっと今回小川氏が語ってくれた思いの一つ一つを、展示の中から感じられるはずだ。もちろん、中国パビリオンもまだまだ催しが目白押し。いざ、万博会場へ!
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