植野友和=文
土地改良による農地開発
中国は広い。果てしなく広い。
一口に中国と言っても、各地にさまざまな違いがあり、さらには同じ省の中でも、地域ごとに文化や産業、自然環境などが全く異なることも珍しくない。
例えば、内蒙古自治区と言えば、多くの方が想像するのはどこまでも広がる草原、馬や羊などの家畜の群れといったイメージだろう。実のところ、筆者自身も全く同じ印象を持っていたのだが、つい先日、内蒙古自治区ジュンガル(准格爾)旗を訪れる機会があり、そのような固定観念が間違っていたことに気付かされた。

ジュンガル旗は内蒙古自治区の中央に位置し、石炭資源が豊富なことで知られる。また、同地は「7割が山、2割が砂地、1割が田畑」と言われ、かつては耕作可能な土地が限られていた。だが、現在では人々のたゆまぬ努力により、荒地は緑に包まれ、「不毛の地」とされてきた土地ですら農業が盛んに行われるようになっている。その象徴的な事例の一つが、暖水郷の徳勝有梁村で成功を収めた土地改良によるリンゴ栽培である。
「私たちの地域は、典型的な砒砂岩(ひさがん)地形に当たります。これは『地球のがん』と呼ばれるほど厳しい環境ですが、1994年から2014年までの20年間、土地の改良を試み、ついにリンゴの栽培に成功しました。現在では、リンゴ園は2300ムー(1ムーは約0・067㌶)にまで広がり、今年の収穫量は約2000㌧、売り上げは約2600万元で、農家1戸当たりの平均収入は30万元を超えました」
そう語るのは、暖水郷徳勝有梁村党支部の趙勇軍書記だ。実際に現地を訪れると、果樹園の木々にはみずみずしいリンゴが実り、周囲の山々も緑に覆われていて、とてもここが「地球のがん」と呼ばれる土地だったとは想像できない。しかし、黄河水利科学研究院の姚文芸元副院長によれば、確かにこの地の土壌は本来、農業に適さないものだったという。
「現地の人々が『まるでヒ素のように毒のある土地だ』と考えたことから名付けられた砒砂岩は、水がないときはただの岩石ですが、水を含むと泥のように崩れてしまいます。また、砒砂岩は養分が極めて乏しく、国の分類では5級または6級に当たります。これはほとんど養分がない土壌で、草も木も育たないのです」
土地改良に際して、まず解決しなければならないのは水と土の流失を防ぎ、植物を育てることだった。そこで、姚元副院長とその研究チームは、複数の主要な技術を開発した。
「例えば、固化材の技術です。斜面に草の種をまき、その上から特殊な素材を噴射して地中に染み込ませ、草の種が発芽できる環境を作るのです。土壌がセメントのように固くならず、網目状で隙間があるため、草がその中から生えてきます。この技術を使うことで、非常に良い効果が得られました」(姚元副院長)
緑化がもたらす人々の増収
専門家と現地の人々の一致した努力により、暖水郷をはじめとする砒砂岩地帯は緑豊かな土地に変わった。
さらに、このような取り組みが目指すものは、単に環境の改善にとどまらない。
「例えば、山の斜面にアンズの木を植え、その下には甘草などの薬草を栽培しています。土壌が貧弱なため、微生物を使って改良し、さらに環状施肥技術で養分を補っています。これにより木や薬草がよく育ち、住民の収入にもつながっています」という姚元副院長の言葉から分かる通り、生態回復と地域産業の発展を結び付けることが極めて重視されている。「緑水青山」(緑の山河)をいかにして「金山銀山」(経済的価値)に変えるか、ひいては人々の増収につなげるか。この地で行われていることは、そのような命題の答えの一つと言える。
古来、人間は自然から恩恵を受けるとともに、その猛威にさらされてきた。その中で人間は知恵と努力、さまざまな技術を用いて耕作地を広げ、文明を育んでいった。そしてついには、本来なら草一本生えない土地ですら、農業を営むようになったのである。

「私が自身の経験を通じて伝えたいのは、『天下に難事はなく、心を尽くせば成し遂げられる』ということです。私たちは『地球のがん』とまで言われた砒砂岩の土地でリンゴを育て、成功を収めました。だからこそ、どんな困難な環境でも、諦めずに努力を続ければ必ず変えられると信じています」(趙書記)
中国の人々は今この瞬間も自然と真摯に向き合い、くじけることなく緑化に取り組んでいる。彼らの不断の努力により、暖水郷、ジュンガル旗、そして中国全土は今後もよりいっそう緑に包まれていくことだろう。
微信关注 人民中国
微信号
1234566789
微博关注
