植野友和=文・写真
消費のニーズをいかにつかむか
昨年11月5日から10日にかけて、上海の国家コンベンションセンターで第8回中国国際輸入博覧会(以下、輸入博)が開催された。
中国でハイレベルな対外開放の拡大が進むにつれ、輸入博はその推進のプラットフォームとしてますます大きな役割を果たすようになっている。また、輸入博には毎年数多くの日本企業が参加しており、中国日本商会がまとめたデータによると第8回輸入博は合計320社を数えたとのことで、この数字は日本企業が中国市場に大きなチャンスを見いだしていることの表れと言える。では、果たして日本企業は輸入博に何を求め、どのような期待を寄せているのか。その答えを探すべく、会場で日本の各企業・機関の方々に話を伺った。
まず取材をしたのは日本貿易振興機構(ジェトロ)上海代表処の本宮佑規農林水産・食品部長だ。ジェトロは今回の輸入博で日本の中小企業や地方自治体など148の会社や組織を取りまとめ、酒類や食品をテーマとする「JAPAN MALL」を出展した。
「2025年の1月から8月の間に、特に中国が第一の輸出先となっている日本酒や焼酎、泡盛などについては、3割から4割程度輸出が増加しています」と本宮部長が語る通り、ブース内の試飲コーナーは多くの参観者でにぎわいを見せていた。もっとも、本宮部長いわく、現在はこれまでのように日本産品だからといって簡単に売れるわけではないことにも留意すべきだという。
「中国の消費者のニーズがより高度化・多様化している中で、ちょっといいものが欲しいとか、特徴のあるものが欲しいといった消費者の方が増えているように思います。そういった消費者のニーズに合う、日本産のこだわった商品をPRできるようにしていければと思いますし、実際に体験していただく機会を作れればと考えています」(本宮部長)
消費者のニーズを捉え、人々が求めるものを売る。ビジネスにおいては当たり前のことと思いきや、実際のところ何が売れるのかの見極めはそう簡単ではない。特に中国のように発展のスピードが速く、それに伴って消費の質やニーズも次々と変わりゆく国ではなおさらである。そのような中、現地化戦略を深化させているのが無印良品(上海)商業有限公司だ。
「輸入博を通じ、私たちは政府部門と交流を行い、『第15次五カ年計画』(2026〜30年)の重要なポイントを理解し、実際の経済成長の中に組み込んでいます」と説明する劉璟文ブランドコミュニケーション部高級部長によれば、同社は昨年8月期までに中国大陸部で422店を構え、引き続きサプライチェーンや開発における協力を強化しているという。
「現在、中国部門の生活雑貨商品の70%は中国で企画されたものです。中長期的な目標としては、中国部門の全ての種類の商品について少なくとも50%以上を中国で企画・生産したいと考えています」(劉高級部長)
中国の消費者のニーズに合った製品を提供するために、企画や開発、生産の場を現地に移す。スタッフについても、現地の優秀な人材をどしどし責任ある役職に就ける。このような現地化の取り組みは今後、いっそう多くの日本企業に広がってゆくことだろう。
中国企業との協力と競争
日本企業の中国事業において欠かすことができず、また避けられないのが中国企業との協力と競争だ。この点についてお話しを伺ったのは、住友電工貿易(深圳)有限公司の武尾敬三董事総経理である。同氏には昨年の3月に蘇州でお会いし、住友電工が独自開発した水処理膜モジュールによる汚水処理事業や中国の環境改善への貢献について取材したのだが、今回の輸入博でも武尾董事総経理が強調したポイントは、いかに自社技術によって中国社会に貢献するかということだった。
「これから伸びていくデータセンター向けに当社の最新技術をご提案させていただき貢献をするだけでなく、他の製品、例えば電気自動車(EV)用のアルミハーネスや水処理の新しい技術など、われわれの特徴ある技術をこれからどんどん発信していきたいと思っています。やはりチャレンジとしては、中国のマーケットにはローカルにも数多くの優秀なメーカーがあります。そういったところとある部分は協力しつつ、ある部分は競争しながら、どのようにしてわれわれの強みを生かし、この中国の社会に貢献できるかということが挑戦になっていくというふうに思っています」
この言葉から感じられるのは、利益を上げるということだけでなく、中国市場で価値を創出し、そのことによって中国社会にいかに貢献できるのかという、企業の社会的責任を重んじる姿勢だ。輸入博は発信の場であり、協力パートナーとのマッチングの場でもある。同社をはじめとする日本企業のそれぞれの技術や理念がより多くの中国の消費者や企業に認知され、さらなるビジネスチャンスが生まれることに期待したい。
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