黙食(安静就餐)

2021-05-10 10:39:23

/福井ゆり子 翻訳/編集=銭海澎

 

東京・大阪など4都府県に、三度目の緊急事態宣言が発令された。3月に二度目の緊急事態宣言が解除されたばかりなのに、「またか」といった感じだ。みんな「緊急事態」にすっかり慣れっこになってしまい、緊急事態のほうが「常態」という不思議な状態を、あきらめと共に受け入れている。効果的な政策手段を何もとることができず、個人の努力でどうにかしてもらおうという政治家に、大きな失望を感じている人も多い。

日本政府向东京和大阪等四个都府县发布了第三次紧急事态宣言。这让民众很无奈:明明3月份刚刚解除第二次紧急事态宣言,“怎么又来了” !大家已经对“紧急事态”习以为常,虽然牢骚满腹,还是不得已接受了紧急事态才是“常态”的残酷现实。很多人对于拿不出任何有效措施,只求民众通过个人努力渡过难关的政治家大失所望。

 

新型コロナウイルス流行によって、社会習慣が急激に変化し、多くの新しい習慣や言葉が生まれた。去年流行語となった言葉に「ソーシャル・ディスタンス注1」「3密注2」「オンライン飲み会」などがあるが、今年に入ってからも、「黙食」などという言葉が出て来ている。「黙食」とは、食事中のマスクなしの会話は感染の危険性が極めて高いため、「マスクを外して食事をするときには(外さないと食べられない!)おしゃべりをせず、黙って食べる」ことを呼びかけるために作られた言葉だ。これに続いて「黙乗(バスや電車に乗る時にはしゃべらない)」「黙煙(喫煙所で煙草を吸うときには、しゃべらない)」「黙浴(公衆浴場などでの入浴中はしゃべらない)「黙トレ(一人で黙々とトレーニングに励むこと)」など、「黙」を付けた新語が次から次へと生まれている。

新冠病毒的流行,迫使社会习惯发生飞速改变,诞生了许多新习惯和新词汇。其中,去年成为流行词的有“社交距离”“三密”“线上酒会”等,今年又出现了“默食(安静就餐)”等新词。所谓“默食”,是因为就餐过程中不戴口罩聊天极易感染,为倡导“摘掉口罩吃饭时(不摘口罩根本不能吃饭!)不要交谈,请默默用餐”,从而创造出的词汇。之后,以“默”字开头的新词相继诞生,比如“默乘(乘坐公交车或电车时不要讲话)”“默烟(在吸烟区吸烟时不要交谈)”“默浴(在公共浴池等场所沐浴时不要聊天)”“默练(一个人默默苦练)”等。

 

「黙って」ということは、一人でするということでもある。もともと流行の兆しがあった「一人飯」あるいは「ソロ飯」(英語のsoloから、一人でとる食事のこと)、たった一人でキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」、一人でどんな活動もしてしまう「ソロ活」などが、今大いにもてはやされている。人間、生まれるのも、死ぬのも一人とはいえ、ずっと一人で生活していくのは不可能だ。みんなで楽しむ時間があるからこそ、一人の時間も楽しいと言える。こんな状態はやはり「緊急事態」であってほしいものだ。

“默默”,也就是一个人做事。原本已有流行趋势的“一人飯”或“ソロ飯”(源自英语solo,指一个人吃饭),以及一个人享受露营生活的“单身露营”,表示一个人可以做任何事的“独享行动”等,如今大受欢迎。虽然人生来死去都是独自一人,但不可能总是一个人生活。正因为有了众人欢聚的时光,对比之下,才能体会独处的轻松自在。希望这种迫不得已一个人的 “紧急事态”早日结束。

 

注釈

 

李培培=イラスト

注1:英語のsocial distanceから来た言葉で、社会的距離あるいは対人距離を確保することを指す。「ソーシャル・ディスタンスをとって並ぶ」などのように使う。

源自英文social distance目的是为了确保社会距离或个人距离(在社会心理学中,人际距离有四种,按照距离由近到远,分为亲密距离、个人距离、社会距离、公共距离——译者注)。可以用作“排队时要保持社交距离”等。

注2:新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)が発生した場所の共通点である「密閉・密集・密接」をまとめて示す言葉。

“密闭空间、密集场所、密切接触”的简称,即日本政府总结的,发生新冠肺炎聚集性感染场所的三个共通点。

 

 

 

関連文章