紅と赤(红与赤)

2022-02-07 09:46:08

/福井ゆり子  翻訳/編集=銭海澎

 

あっという間に年末年始が終わった。日本で年末の恒例番組といえば、「紅白(こうはく)歌合戦」だが、これは出場歌手が赤組(女性)と白組(男性)とに分かれて、どちらが優れているか競うという形式をとった歌番組だ。しかし最近、生物学的な性別と自意識としての性別が異なる人や「中性(Xジェンダーともいう)」の人も尊重しようという意識から、女性と男性とに二分することに対する風当たりが強くなっていて、紅白歌合戦も性別により赤と白と分けることに対する是非が盛んに議論されている。

转眼之间,辞旧迎新就这样过去了。说到日本年末的传统节目,就是“红白歌会”,这是一个将参赛歌手分为赤(女性)白(男性)两组,比拼歌技的歌唱节目。然而最近,出于尊重那些自我意识性别与生物学性别不同的人,以及“中性(也叫X性别)”人,对于按男女两派区分的谴责声愈演愈烈,红白歌会按性别分为红白两组是否合理也引发舆论热议。

 

日本では、運動会など二つのチームに分かれて勝敗を競うようなとき、「赤組」と「白組」とに分かれて争うことが多い。これは平安時代末期(12世紀頃)、源氏と平氏というふたつの武士集団がそれぞれ赤旗と白旗とを掲げて戦ったことに由来するもので、「紅白試合」「紅白戦」のように呼ばれる。

在日本,开运动会等分两队决胜负时,经常会称两队为“赤组”和“白组”。这来源于平安时代末期(12世纪左右),源氏和平氏两家武士集团在对战中分别举赤旗和白旗,由此,比赛被称作“红白赛”或“红白战”。

 

ここで不思議なのは、「赤組」と「白組」なのに、赤白試合ではなく、紅白試合と呼ぶことだ。紅は音読み注1「こう」「く」、訓読み注2が「べに」「くれない」「あか」などで、色としては、厳密にいえば紅(べに)と赤とは違う色であり、紫がかった濃い赤のことを指す。色を指す言葉としては、「紅」よりも「赤」を使うのが一般的なのだが、縁起のよいことを象徴する赤と白の組み合わせに限っては、「紅白饅頭(こうはくまんじゅう)」「紅白幕(こうはくまく)」のように、「紅白」と表記される。これは中国で紅がめでたい色とされていることに関連すると思われる。

令人费解的是,明明叫“赤组”和“白组”,但不叫赤白赛,而称红白赛。红字音读注1「こう」「く」,训读注2「べに」「くれない」「あか」等。在色彩中,严格说来红与赤是两种不同颜色,红指的是带有紫色的深赤色。在表示颜色时,“赤”比“红”使用率更高,只有在象征吉祥的赤与白组合使用时写“红白”,比如“红白馒头(不同于中国馒头,通常内带豆沙馅——译者注)”“红白帘幕”。这与红色在中国被视为吉祥色有关。

 

一方、「赤」という言葉は、一説には、「明(あか)」から来ていて、暗いことを意味する「黒」に対する言葉であるという。そのため、「明らかな」という意味で使うこともあり、「赤の他人」といえば、「全く知らない人」という意味となる。さらには、「赤貧(せきひん)」「赤裸々(せきらら)」などの中国語に由来するあまり良くない意味の言葉も多い。また、文字や文章などに修正を入れるときには赤色(朱色)の墨を使ったため、「赤(朱)を入れる」で「修正する」という意味となり、さらには収支決算で、不足額を赤色で記入することから、支出が収入より多いことを「赤字」というようになった。

另一方面,有说法认为“赤”来源于“明”(“赤”与“明”训读相同——译者注),是表示黑暗的“黑”的反义词。所以,有时也用来表达“明显”之意,如果说“赤他人(明显的外人)”意思就是“毫不相干的人”。还有许多来自汉语,表意不太好的词,如“赤贫”“赤裸裸”。修改文字或文章时,会使用赤色(朱色)墨水,所以“入赤(朱)”即表示“修改”。再有收支结算中,会用红色标注短缺金额,由此支出超过收入被称为“赤字”。

注釈

 

注1:音(おん)読みは中国の発音をもとにした読みで、日本に入って来た時代によって、呉音・漢音・唐音などの種類がある。

音读是基于中国发音的读法,根据传入日本的时代不同,分为吴音、汉音、唐音等。

注2:訓(くん)読みは日本語の意味を漢字に当てはめて読む方法

训读是示日语词汇涵义前,该词原有的

 

 

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