「立秋」と「処暑」

2021-01-13 08:48:32

世界無形文化遺産リストに登録された二十四節気は東アジアの農業生産を主とする国々の共有の文化遺産である。節気や花に関する俳句を漢訳して、読者に漢語の詩形の多様性を理解していただくと同時に、「和して同ぜず」といった俳句と漢詩との趣の違いを味わっていただきたい。今月は、「立秋」「処暑」という二つの節気に合わせて、「ムクゲ」と「フヨウを描いた俳句を選び、王衆一総編集長が「漢俳」で、日本俳句協会会員の王岩氏が「漢詩」の七言二句で漢訳し、読者と共に鑑賞する。

 

王丹丹=イラスト

 

 

立秋 八月七日

{しょういん}松蔭や{くも}雲{み}看る{いし}石に{あき}秋の{た}立つ

(尾崎紅葉)

松荫翠如烟

白云苍狗变化间

石上立秋天

(王衆一 訳)

 

松荫看云青石上

忽惊立秋尽凄凉

(王岩 訳)

 

{みち}道のベの{むくげ}木槿は{うま}馬に{く}食はれけり

(松尾芭蕉)

山间古道边

木槿初放花正鲜

遇马成美餐

(王衆一 訳)

 

木槿花开山路边

须臾马儿口中餐

(王岩 訳)

 

处暑 八月二十三日

{やま}山を{み}見ていちにち{しょしょ}処暑の{つくえ}机かな

(西山誠)

处暑遐思生

整日呆坐观山景

抚案寄幽情

(王衆一 訳)

 

终日看山两不厌

处暑桌前坐悠然

(王岩 訳)

 

{つきみ}月満ちて{ふよう}芙蓉の{はな}花のすわりけり

(加藤暁台)

今宵月正圆

芙蓉花姿惹人怜

婀娜如坐仙

(王衆一 訳)

 

碧落一轮明月满

芙蓉盛开在人间

(王岩 訳)

 

簡体字(中国)・常用漢字(日本) 対応表

立秋

―雲   ―変  ―間   ―驚  ―馬  -開

処暑

-処  ―観  ―終  ―両  ―輪  ―満

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