文=萩原晶子 写真=長舟真人
30年も続く食堂。店名のとおり、お店の人たちはフレンドリー
古い商店とおしゃれなカフェ、ブティックが混在する巨鹿路。この一角に、恐らく通り沿いでいちばん古いのではないかと思う木造の二階建ての長屋がある。老虎窗(屋根の上の出窓)付きの正統派上海式古民家だ。この一階にある「朋友餐廳」はオープン30年という老舗。炒めものをご飯にのせた「盖浇飯」が15元均一で30種類以上揃っている。
サビねこの咪咪(5歳、雌)は、この店の有名看板ねこだ。5年前、静安公園で生まれていた野良の子を店員が拾ってきたものだそう。「汚い柄でかわいくない」などと拾い主の店員は言うが、店主やその奥さんには溺愛されている。そのためか、元野良とは思えないほどおっとりした穏やかなねこに育っている。
クリスティアーノ・ロナウドのユニフォームも着こなす
ほかの衣装を見たい場合は着替えのリクエストを
咪咪の定位置は入り口の椅子の上だ。ほぼ毎日ここで客を呼び込んでいる。近所の人や常連客に人気の理由は、毎日違う服に着替えて客待ちをしているところ。所有している服は20着以上だそう。通りがかるたびに違う衣装で佇んでいるため、みんな思わず足を止めてしまう。
お店の奥さんと、思わずカメラを向ける通行人
お隣の小白
しっぽ以外は純白のねこ・小白(1歳、雌)は、「朋友餐廳」の隣の民家で飼われている。これも元野良だそう。路上に椅子を出してくつろぐ飼い主のおじいさんと、隣りの店の咪咪と交流しながらのんびり暮らしている。
「朋友餐廳」の店主と小白
「朋友餐廳」の店主にもなついている小白。ねこを介した昔ながらの上海の近所づきあいを垣間見られる一角だ。
朋友餐廳
上海市巨鹿路598号