ゲストハウスのねこ

2020-08-28 09:45:58

写真=長舟真人  文=萩原晶子

 

 古民家をリノベーションした小規模ホテルが人気だ。ランクや値段で絞ることが難しいため、ホテル予約サイトなどではなかなか見つからないが、「そのレア感がいい」ということらしい。

 

1920年代に建てられた2階建ての古民家をリノベーションしている

 2019年にオープンした「Anthony’s home」もその一つ。地元建築家が自分でデザインしたゲストハウスで、古い住宅地の奥深くに佇んでいる。

 

「内装工事の途中?」と言われることもあるが、それも狙い。「侘び寂び」の精神を追求している

 建物は築100年の庭付き古民家。二階建ての母屋と離れがあり、部屋数は4。ただ宿泊するだけでなく、家族やグループなどで一棟丸ごと借りて滞在したり、広い庭でバーベキューを楽しんだり、備え付けの本格的な厨房にシェフを呼んだりすることもできる。日本からやってきた画家が気に入って長期滞在したこともあるそうだ。

 

中分優雅。エレガントでしっとりとした佇まい

 そんな「Anthony’s home」に、今年春から住み着いているのが白地にこげ茶のはちわれねこ(1/雌)。名前は、エレガントな身のこなしと頭の模様から“中分優雅”と付けられた。のらねこが庭に生んでいった数匹のうちの一匹で、中分優雅だけが人に慣れ、居着いたのだという。

 

中分優雅の姉(右)と夫(左)。スタッフは敷地内のねこの家族構成もきっちり把握している

 人に慣れなかった姉ねこの“優雅”とその夫ねこも付近に住んでおり、姉夫婦もたまに顔を見せにくるという。姉ねこは子供を産んだが、中分優雅は彼氏はいるものの独り身を楽しんでいる感じだ。

 

中分優雅の“男朋友”。人には慣れない性格

 「Anthony’s home」のインテリアのテーマは「侘び寂び」だという。庭に雑草が生えればそのままの景観を楽しみ、古い家具や天井の梁、木の床板などは修復せず経年変化を楽しむという。なめらかに角が取れた古い木製の調度品の色合いに、中分優雅の毛色が偶然にもよく合っている。

 

古い調度品やインテリアのテイストとしっくり馴染む

Anthony’s home

上海市延安西路9797

 

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