写真=長舟真人 文=萩原晶子
公園で野良ねこの餌やりや避妊手術のボランティアをしている上海人が、「春節が近づくと公園にねこが増える」という話をしてくれたことがある。帰省時にねこを預ける方法を知らず、世話をしてもらえる知人もいない地方出身者が放してしまうのだという。「田舎に帰るので、どなたか引き取ってください」とのメモ書き付きで、ケージに入れられたままのねこが放置されていることもあるそうだ。
避妊済みの耳カットねこ
「襄陽公園」で厳しい冬を越しているねこたちのなかにも、そんな経験をしたものがいるのかもしれない。または、そんな経験をしたねこばかりなのかもしれない。郊外のほかの公園と違う点は、見た目で「親子だな」とわかるねこがいないことだ。全員が別の場所から来たような顔をしていて、個別で生活している感じがある。
人見知りが多く、主に植え込みのなかで行動
芝生広場を駆け抜ける
だが、幸い近隣の人には大事にされているようで、避妊済みの印である耳カットのあるねこもちらほら。公園事務所の近くの植え込みをベースにしていることからも、管理人や清掃員達にかわいがられていることが伺える。冬毛も健康的に生え揃っている。
最近の公園ではウイグルダンスがブーム
「襄陽公園」は、1938年にフランス租界地内の公園として整備される前は墓地だったという。入り口のプラタナス並木のあるコンコースは、そんな過去を感じさせないほど朝から暗くなるまで賑わっている。陣取っているのはダンスや太極拳を楽しむ中高年たち。最近はほかの公園でもブームのウイグルダンスのグループが幅を利かせている。
隣接するレストランの室外機の上で暖をとる
寒くてもねこと人で活気あふれるこの時期の公園は、上海の冬の見どころの一つである。
襄陽公園
上海市淮海中路1008号
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