写真=長舟真人 文=萩原晶子
海外旅行ができなくなって1年以上が経った。その間、微信、小紅書、大衆点評などで「假装在◯◯」という言葉が定着した。「◯◯(地名)に行ったつもり」という意味で、異国の雰囲気や料理の写真を投稿するというものだ。眺めていると、上海市内だけでも少しだけ海外気分に浸れる場所がけっこうあることに気づく。
道路から一歩入った住宅地内の隠れ家ポーランド料理店
膠州路の住宅地内に位置する「Pierogi Ladies Polish Food」もその一つだ。ポーランド人オーナーがきりもりするピエロギ(ポーランド式餃子)の専門店で、食事時は上海在住の東欧系の常連客で席が埋まる。私はピエロギという食べ物の存在をこの店で知った。作り方のワークショップも開催しているという自家製のピクルスも、それだけテイクアウトしたいほどおいしい。
椅子やテーブルの上など自由自在に移動する。ねこが苦手な人は厳しい店かも
その店先で毎日くつろぎ、店内と近所を気ままに歩いているのがこの店の三毛ねこ・Mielonka(5歳、メス)だ。カタカナで書くと「ミロンカ」。南米音楽の名前に似ているけど、パンと食べるポーランドのスパム(ランチョンミート)のことらしい。
近隣の人が停めたバイクのシートの上で休憩中
もとは住宅地内にいた野良だったそうで、この店がオープンした2018年以降、お店のねことして定着。近所の塀の上や民家の屋根を散策し、呼んでも降りてこない日もあれば、お客さんのひざやテーブルの上に収まっていることもある。明るく活発で気ままな性格だ。
名前と紋章の入った首輪が自慢
オーナーはよく抱っこはしてくれるけど、最近は生まれた赤ちゃんのほうにつきっきり(昼間、ベビーカーでお店に連れてきている)。常連も料理目当ての人が多く、ねこはいてもいなくてもいいといった感じで食事や談笑を楽しんでいる。構ってくれるのは中国人客だけど、平日の昼間はほぼ欧米人客のみ。そんな時間帯を狙って行けば、ミロンカと同じテーブルでランチを楽しめるかもしれない。
オーナーに抱っこされてご満悦
Pierogi Ladies Polish Food
上海市胶州路283号8 号
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