写真=長舟真人 文=萩原晶子
ここ1〜2年の間で上海市内に増えたものといえば、隠れ家古着店だ。どの店舗も住宅街のなかを伸びる通路「弄」の、さらに奥に店を構えている。
1960〜70年代に建てられた古いアパート。この奥に店舗がある
人気のジャンルはアメリカンカジュアルのヴィンテージと1990年代前後の日本のものだそう。オーナーは海外で古着の文化に魅了された人が多く、どの店もセレクトや陳列もこだわっている。「古着」という日本語も定着しつつある。
このポスターが目印
オープンして1か月という「Minose Vintage(一只猫古着屋)」もその一つ。永福路から復興西路に伸びる「弄」の奥に位置する人気店だ。オーナーは日本留学の経験があるという葛さん。これまで上海にはあまりなかったという80〜90年代製の女子向け古着を揃えている。「こういう場所にテナントが見つかって幸運だった」と話す目線の先には、小さな器に盛られたキャットフードが。
女子向けの古着がずらり。たまにねこが入ってくるそう
店舗のある住宅街には、「正式な数はわからないけどたくさん」の野良ねこが住んでいる。観察していると、昔から住んでいるらしきお年寄りたちがご飯をあげ、授乳中の母ねこをやさしく見守っている。初めは通りすがりにその様子に目がとまり、ついでに古着店を見つける、という人が多いのかもしれない。
敷地内のねこは、なぜかどれも漂白剤で洗ってしまったように色が薄い
兄弟か親子なのだろうと思うねこは、三毛やトラ柄でも色が薄いのがここの特徴だ。人の出入りの多い住宅地の入り口を拠点にしている割に、人見知りで触らせないねこが多いのも特徴。外でくつろぐお年寄りが、撮影している私たちを眺めながら「連れて帰ってもいいけど、あまり人に慣れてないから」と教えてくれたりもする。
植え込みの中で授乳中
古着の掘り出し物探しと、路地の奥のねこ観察。予定のない日の散歩にぴったりのコースが見つかった。
Minose Vintage(一只猫古着屋)
上海市永福路147弄32号103室
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