聞き手=萩原晶子
ガラス張りのギャラリー。外からでも鑑賞できる
最近上海でブームのペルー料理店やオーガニック火鍋店、パティスリーなどが集まるリノベーションスポット「永平里」。この一角に、通りがかるたびに思わず足をとめて見入ってしまうアートスペースがある。パリから上海にやってきたというギャラリー「杜夢堂」に話を聞いてみた。
Q:「杜夢堂」について教えてください。
館内の様子。ベンチや書架もあり、のんびり過ごせる
——1982年に「ギャラリー・ドゥモンテール」としてパリにオープンしました。オーナーは、20〜21世紀の彫刻と絵画を専門とする鑑定師です。現在はパリ、上海、ニューヨークの3カ所にスペースがあり、主に現代アートやデザイン作品をメインに扱っています。また、上海ではめずらしいと思いますが、20世紀初頭のヨーロッパのギャラリーの経営モデルを採用しているのが特徴でしょうか。各アーティストとは常に長期的で緊密な関係を保ち、亡くなったアーティストの作品を遺族や各機構と共有したり、コレクターのお客様には鑑定などのコンサルも行なっています。美術館へのコレクションの貸し出しや学術研究、書籍の出版なども手がけています。
Q:主にどのような作品を展示していますか。
通りがかりに気軽にアート鑑賞を楽しめる
——20世紀初めから現代までの現代アートです。欧米のアーティストの作品を展示することが多いですが、上海ではアジアのアートやカルチャーなどの開拓にも力を入れています。
Q:来館者はどんな方が多いですか。
——上海にはアート情報を重視しているメディアがとても多いので、ギャラリーや美術館の展覧会情報が誰でも常にチェックできますよね。アートファンでなくても、皆さん週末のレジャーや普段のライフスタイル、余暇に「ギャラリーめぐり」は自然に組み込まれているのでしょう。
Q:現在開催中の企画展について教えてください。
翁紀軍とヴィンセント・カズヌーヴの二人展「髹行」。漆を使った絵画を展示
——10月10日まで、中国の翁紀軍とフランスのヴィンセント・カズヌーヴの二人展「髹行」を開催中です。中国では素材として2000年もの歴史があるという漆を使い、それぞれが新しい試みに挑戦した作品たちを紹介しています。中国とフランスのアーティストが作品を通して対話するような、私たちのギャラリーだからこそできるようなこういった企画展は今後も考えていきたいと持っています。10月23日からは、ミア・フォンサグリーヴス-ソローの「閃亮異形」と題した彫刻展を予定しています(12月2日まで)。
Q:「杜夢堂」のある永平里も散策にぴったりですね。
ギャラリーの入る「永平路」は2017年夏オープンのリノベーションスポット
——フランス租界エリアにある新しいリノベーションスポットです。交通も便利ですし、一歩敷地内に入ると意外に静かで、人気レストランやバーもたくさん集まっています。上海に来られた際は、ぜひ展覧会と一緒に食事やお酒を楽しんでみてください。
杜夢堂
上海市衡山路199号永平里105棟
11:00〜19:00 (月曜休館)
外観。入場は無料