胡鞍鋼・李萍=文
習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想は習近平主席が提起した一連の創造的な意義のある新思想、新理念、新論断、新戦略であり、中国共産党第19回全国代表大会(党大会、19大)の報告や、彼の今までの演説の中に十分に示されてきた。この思想はすでに党内のコンセンサスを集め、中華民族団結・奮闘につながる力を呼び起こし、中国の特色ある社会主義の新勝利を勝ち取り、共に中華民族の偉大な復興と中国の夢を築きあげる強大な思想的武器・行動指南となっている。習主席は19大の報告の中で、「人類運命共同体の構築推進の堅持」を明確に提起しており、これは習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想の重要な一部となり、さらには中国共産党が人類のために新たなより大きな貢献を果たす歴史的使命でもあり、人類文明の進歩に方向を指し示すためのものである。
現代世界は多くの試練に直面しており、国境・領土争い、民族や宗教紛争、テロ事件などが時に発生し、従来の安全保障に対する脅威と新たな安全保障に対する脅威は高まり続け、地政的・経済的駆け引きがますます複雑化・激化している。世界各国は、戦争あるいは平和、対抗あるいは協力、閉鎖あるいは開放、独占あるいはウインウイン、貧困あるいは発展などの価値判断と行動の選択に直面する新たな「十字路」にさしかかっている。日増しに強大化する中国は責任ある大国としての役割を積極的に発揮し、追求するものは共同発展である。新たな「十字路」において、習主席は「世界はどうしたのか、われわれはどうしたらよいのか」について深く考え、積極的に国際社会の共通した求めに応え、世界発展と人類の未来の進む方向に対し、中国の知恵と中国のプランを捧げている。
人類運命共同体が意味するもの
「人類運命共同体」は新時代に中国共産党が初めて提起し、習主席が常に充実・深化させ、推進している国際関係を処理し、現在の国際的難題を解決するための一種の新理念・新理想だ。これは中華民族が厚く積み上げた伝統文化に端を発するもので、1949年以後の中国の外交戦略と政策の経験・教訓を総括し、マルクス主義国際戦略理論の思想的精髄をくみ取り、中国の新世代の指導者の知恵と策略を集めて形成されたものである。人類運命共同体の核心思想は、「平和はいるが戦争はいらない、発展はいるが貧困はいらない、協力はいるが対抗はいらない、ウインウインはいるが独り勝ちはいらない」というもので、その実質は共同の試練、共同の利益、共同の責任により、世界各国が団結して一つになる状態であり、国と国との間の共同利益を最大公約数として紛争をなくし、協力・ウインウインを行う状態のことだ。
人類運命共同体の内容は、中国の外交実践が豊かになるにつれ、深まりながら洗練されたものになり、利益共同体・価値共同体・責任共同体の三つの側面をカバーし、本国の発展を図ると同時に他国にも適切に配慮を払うことを強調するものである。人類運命共同体の目標は一つの「大同世界」の構築、すなわち全世界の200余りの国や地域、数十億の人民が共に繁栄する世界を築きあげることにある。大同世界の建設で最も重要なものは、三大境界線をなくし、三大距離を縮小することである。それはすなわち、人と人との境界線と距離、国と国との境界線と距離、人と自然との境界線と距離である。
人類運命共同体の創造
人類運命共同体の理念は中華文明の「天下意識」や「天下心情」にその源があり、高遠な志、中国の大国としての責任感を示すもので、中国の国際的新ポジションを明らかにし、中国は終始世界平和の建設者、世界発展の貢献者、国際秩序の維持者というしっかりした立場にいることを表している。人類運命共同体は「自己中心意識」と「一極中心意識」を打ち破るもので、一種の相互依存、共に建設し共に享受する新型共同体である。人類運命共同体は全人類に共通する価値である平和、発展、公平、正義、民主、自由を総括化したもので、近代以降の人類がひたすら求めてきた共同目標、すなわち世界平和の維持と共同繁栄の実現を反映したもので、世界各国に寛容で、団結した協力の価値観を導くものである。その新しさは主に人類全体を中心とし、共同利益を基礎とし、共同価値を方向とし、共同責任を保障とし、共同発展を目標とすることを強調していることだ。その独特な強みは異なる人々の利益要求を全て配慮することができ、異なる価値・理念を受け入れられることにある。
人類運命共同体の構築の意義
人類社会の発展法則からすると、人類社会は終始対立の中にあり、曲折しながら前進し、どの進歩も次の発展のための基礎と条件となるが、新たな問題や試練をももたらす。人類社会の発展は前進性と曲折性が一つになったもので、問題を妥当に解決し、試練に効果的に対応することは、人類社会の進歩を推進する助けとなる。人類運命共同体は人類社会の発展法則を深く捉え、人類社会の発展推進という内在的な要求を反映し、人類社会が直面する問題と試練の解決に新理念・新思考を提供し、未来の世界の発展に前進の方向を指し示したものである。人類運命共同体は「中国のため」であるのみならず、「世界各国のため」、さらには「全人類のため」のもので、世界各国の協力・ウインウインのために利益の支点を探し当て、強大な生命力と求心力を持つものである。
人類運命共同体理念は時運に乗って生じ、国際秩序再構築に向けた「中国の思想」であり、また「どのような世界をつくりあげるか」「中国はどのような世界をつくろうとしているのか」という問題に関する中国の答えでもある。人類運命共同体思想は世界各国のために急成長を実現するのみならず、さらに自身の独立性を保てるという全く新しい選択を提供し、国際社会に新しいグローバルガバナンス理念を提供し、国際システムと秩序がより公正で合理的な方向へと変革するように推進し、人類がより素晴らしい発展の未来を切り開くことに資するものである。
(本稿は、胡鞍鋼教授が清華大学国情研究院助手研究員・公共管理学院ポスドクの李萍氏の共同執筆による)
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