胡鞍鋼=文
習近平総書記は2017年省・部級主要指導幹部の「習近平総書記の重要講話精神を学び、中国共産党第19回全国代表大会を迎える」特別研究セミナーにおける講話の中で、「立ち上がり、豊かになり、強くなる」という重要な論断を提起した。中国共産党第18回全国代表大会以後の5年間は、中国が「豊かになる」から「強くなる」5年間であり、これは歴史的な飛躍で、現在の中国の新たな歴史的方向を定めたものである。「五位一体」の総体的配置に基づき、この5年間に中国が得た成果の回顧と総括を行ってみたい。
経済建設の面で、中国の「強くなる」は、世界一の製造国、世界一の貿易国、世界一の発明特許申請国・授権国、購買力平価説(2011年国際ドル)による世界一の経済国、為替レート算出法による世界第2の経済国となったことに体現されている。
16年、中国は中国共産党第16回全国代表大会で提起された20年までに国内総生産(GDP)2000年比3倍増という目標を前倒しで実現し、5年間の年平均経済成長率は7・2%で、世界平均成長率(3・3%)をはるかに上回り、世界の中でもひときわ発展している状況となっている。党中央は供給側構造改革を手堅く進めており、有効な投資を増やし、消費需要を拡大し、新型都市化の推進を加速している。また、政府と市場との関係をより合理化して、実体経済コストを削減した。イノベーションの経済発展に対する相乗効果を発揮させ、双創(大衆の創業と万衆の創新)のための良い環境づくりを行っている。また、省エネとエコをしっかり行って、エネルギー消費や資源消費の大幅な削減に力を入れ、経済構造と発展原動力の重要な転換を実現し、技術要素とイノベーション要素はすでに経済発展の第1の原動力となりつつあり、研究開発(R&D)費への投入は世界第2位で、国内総生産に対する割合は2・11%となっていて、中所得国における割合(1・66%)よりも顕著に高くなっている。
政治の面で、中国の「強くなる」は次のことに体現されている。強大な執政党がつくり上げられており、8945万人の党員、452万の末端党組織を持ち、習近平総書記を核心とする党中央は党の存亡という高みから党の実情を深く認識し、全面的に厳しく党を管理して、正しい気風づくりに力を入れ、いくつかのシンボリックな党内法規を打ち出し、計80本近い党内法規の制定・改定を行った。そして党史上初の一回の任期内における中央巡視の全面カバーを実現し、全方位的に「制度のおり」を強化し、党内の政治環境を浄化し、健全な執政環境をつくり上げ、幹部の任用・抜てきを厳格化し、クリーンで忠誠を尽くして仕事に当たる幹部グループをつくり上げて、人民大衆の高い評価を受けている。
社会建設の面で、中国の「強くなる」は次のことに体現されている。世界最大規模の就業社会を構築し、全国の就業者数は7億7600万人に上り、総人口就業率は56・1%に達した。世界最大規模の健康国家をつくり上げ、5年間で総人口の平均寿命が1・5歳向上し、世界最
大規模の教育国家を建設し、5年間に労働力人口の平均教育年数が0・53年増え、中でも累計3400万人の一般大卒生と3000万人余りの中等職業学校卒業生が労働人口に加わり、それはフランスの総人口(6690万人)の95・7%に相当している。そして、世界最大規模の医療保障ネットワークをつくり上げ、全国の基本医療保健加入者数は13億人を超えている。世界最大規模の社会保障ネットワークをつくり上げ、全国の社会保険カード保持者数は9億7200万人に達した。世界最大規模の貧困人口を解消し、全国農村貧困人口は12年の9899万人から16年には4335万人に減少して、世界から注目される中国の貧困撲滅の奇跡を演出し続けている。
文化建設の面で、中国の「強くなる」は次のことに体現されている。世界最大規模の現代公共文化サービスシステムの構築、ラジオとテレビの総合カバー率がそれぞれ98・2%、98・7%に達し、全国の公共図書館、文化館(ステーション)、博物館の利用者数が延べ20億人を超えている。文化産業の規模と実力が急速に向上し、全国文化産業の付加価値が3兆を超え、GDP比4・0%を超えて国民経済の支柱的産業となっている。文化産業が新たな社会投資分野となり、16年には3兆2000億元に達した。文化体制改革も着実に進められ、文化イノベーションや創造体制メカニズムもさらに整って、中華民族の偉大な復興という中国の夢と社会主義核心的価値観が人々の心に深々と根付いている。海外との文化交流・協力は強化され続け、中華文化の海外進出もさらに大きな歩みを進めている。16年の文化製品輸出入総額は885億2000万㌦で、そのうち輸出が786億6000万㌦となっている。中国文化のソフトパワーはさらに新たな段階へと至り、中国プラン、中国理念、中国の知恵は世界範囲でますます広く認められている。
生態環境建設の面で、中国の「強くなる」は次のことに体現されている。世界最大面積の人工林が造られている。世界最大規模の再生可能エネルギー機械設備容量が6億に達し、全国の総発電量の35%を占めている。世界最大の新エネルギー自動車国となり、新エネルギー自動車の販売量・保有量の世界における割合が50%以上に達している。中国は「生態環境の保護とはすなわち生産力の保護であり、生態環境の改善とはすなわち生産力の発展である」というグリーン発展理念を堅持して、生態環境の整備に著しい効果を挙げており、主な汚染物排出総量が大幅に削減されている。資源利用の総合的効果は常に向上し、循環経済の発展は迅速で、省エネ・エコ産業は高速に発展している。これは、中国の発展理念が持続可能な発展からグリーン発展へとアップグレードし、中国の環境の質が悪化抑制から全体的改善へと転換し、中国の生態資産勘定の生態赤字が縮小し続け、生態黒字へと向かっていることを象徴している。
「豊かになる」から「強くなる」の5年間は、まもなく一つ目の百周年の目標を実現し、二つ目の百周年の奮闘目標に向けた新たなる道のりのスタートとなる5年であり、また前の成果を受けて、次に向かうための鍵となる5年である。新たな5年間を展望すると、中国は「五位一体」の総体的配置と「四つの全面」戦略的構造を維持し続けて、人の全面的発展と社会の全面的進歩の促進のためにたゆまぬ努力をし、世界という舞台において全人類の発展により大きな貢献を果たすだろう。
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