旷野与城市

2017-12-15 13:59:06
曠野と都市
 
  
   
  城市是一粒粒精致的银扣,缀在旷野的黑绿色大氅上,不分昼夜地熠熠闪光。
 都市は精緻な銀のボタンであり、曠野の深緑色のコートの上を飾っていて、昼夜の別なくキラキラと輝いている。    
  
  我听说的旷野,泛指崇山峻岭,河流海洋,湖泊森林,戈壁荒漠……一切人烟罕至保存原始风貌的地方。
 曠野とは、高く険しい山々、川や海洋、湖や森林、荒れ地や砂漠など、住む人もなく原始的風貌を保っている場所のことを指すと、私は聞いている。
  
  旷野和城市,从根本上讲,是对立的。
 曠野と都市は、根本から言えば、対立したものだ。
  
  人们多以为和城市相对应的那个词,是乡村。比如常说“城乡差别”“城里人乡下人”,其实乡村不过是城市发育的低级阶段。再简陋的乡村,也是城市的一脉兄长。   
 多くの人が都市の反義語を農村だと思っているだろう。例えば「都市と農村の格差」「都市人と農村人」などとよく言われる。その実、農村は都市の発育が低い段階のものに過ぎない。いかに貧弱な農村であろうとも、都市と血のつながった兄である。
  
  惟有旷野与城市永无声息地对峙着。城市侵袭了旷野昔日的领地,驱散了旷野原有的驻民,破坏了旷野古老的风景,越来越多地以井然有序的繁华,取代我行我素的自然风光。   
 ただ曠野だけが、都市とひたすら無言で対峙している。都市は昔日の曠野の領域を侵略し、曠野に居た人々を追い払い、曠野の古くからの風景を破壊し、どんどん秩序だった繁華をもたらして、あるがままの自然風景に取って代わってしまう。
  
  城市是人类所有伟大发明的需求地,展览厅,比赛场,评判台。如果有一双慧眼从宇宙观看夜晚的地球,他一定被城市不灭的光芒所震撼。旷野是舒缓的,城市是激烈的。旷野是宁静的,城市喧嚣不已。旷野对万物具有强大的包容性,城市几乎是人的一统天下……  
 都市は人類のあらゆる偉大な発明が必要とされる場所で、展覧ホールであり、競技場であり、評価の舞台である。もし慧眼があり、宇宙から夜の地球を見たならば、都市の消えることのない光に震撼させられるだろう。曠野はゆったりとしているが、都市は激烈である。曠野は静まり返っているが、都市はひたすらに騒がしい。曠野は万物に対し極めて大きな包容性を持つが、都市はほぼ人類の天下である。
  
  人们为了从一个城市,越来越快地到达另一个城市,发明了各种各样的交通工具。人们用最先进的通讯手段联结一座座城市,使整个地球成为无所不包的网络。可以说,人们离开广义上的城市已无法生存。   
 人々は一つの都市から別の都市にできるだけ早く行くために、各種の交通手段を発明した。人々は最も先進的な通信手段を用いて都市と都市を結び付け、全地球をあますところなく網羅するネットワークを創り上げた。人類は広義での都市を離れてはもはや生存することはできないと言ってもいい。
  
  人们建造了越来越多越来越大的城市,以满足种种需要,旷野日益退缩着。但人们不应忽略旷野,漠视旷野,而要寻觅出与其相亲相守的最佳间隙。善待旷野就是善待人类自身。要知道,人类永远不可能以城市战胜旷野,旷野是大自然的肌肤。  
 人々はますます多くの、ますます巨大な都市を造り、さまざまな需要を満足させ、曠野は日々縮小している。しかし人間は曠野を軽く見たり、無視したりすべきではなく、互いに親しみ合い、守り合う最適な距離を見いだすべきだ。曠野を大切にすることは、人類自身を大切にすることである。人類は永遠に都市で曠野に打ち勝つことは不可能で、曠野は大自然の皮膚だからである。
  
  皮之不存,毛将焉附?
 皮膚がなかったら、毛はどこに着けばいいというのだ?
  
  节选自毕淑敏散文《旷野与城市》
  畢淑敏のエッセイ『曠野と都市』より一部抜粋
  
 
  
  ◆翻訳にあたって   

 中国語で都市のことを「城市」といい、「城」という字が使われていることからも分かるように、城壁に囲まれた城塞都市であることが一般的だ。そのために日本人が都市に対して持つイメージよりもさらにいっそう曠野、すなわち自然との対抗意識がはっきりしているように思える。(福井ゆり子)

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