桃酥很甜

2024-04-18 11:18:00

作者 肖靖 

 

女人抬起头来,一缕阳光恰好投到了她的笑容上,这笑容是手机银行(1)上的余额给的。四十万的数目比春日的阳光更加温暖。 

女人赶到桃酥店,做了一炉杏仁桃酥。她让店员装了一盒,女人想去看看乡下的母亲。小时候家里穷,只有过年母亲才会买几块桃酥,分给女人和女人的弟弟。女人离婚后开了这家店,做各种口味的桃酥。 

女人拼命攒钱,卡里的数目不断增加。女儿跟着前夫过得并不如意,她盘算着有了钱就买一个小房子,把女儿接过来跟自己住。 

女人提着一堆东西走进母亲的房子,姨妈和弟弟一家三口都在。闲谈(2)的时候,女人说出了想买房子的想法。大家都愣住了。只有小侄子兴冲冲地(3)问:“姑姑,你有了新房子,我可以去住吗?”女人笑着说:“当然可以。” 

晚饭之后人们散去(4),母亲将剩下的半盒桃酥递给女人,“晚饭你没怎么吃,吃点桃酥吧。”女人捏起一块,杏仁酥带着微微的苦味(5)。 

女人的手机屏幕亮了一下,弟媳的微信弹了出来(6):“姐,你攒点钱不容易,别轻易买房。等我们买房了,给姐留一间。”女人心里一暖。母亲说:“你弟弟想在县城买学区房(7),你小侄子要上学了,现在正凑钱呢。”女人才反应过来,这是要和她借钱呢。 

离开母亲家,转过街角,女人看到了站在不远处的姨妈。姨妈拉过女人的手,询问着女人孩子的情况。“多攒钱,把孩子接到身边来。”姨妈的话一下戳中女人。姨妈继续说:“你表弟投资了一个项目,据说可赚钱了,我去和他说说,让你入股,不出一年,钱就能翻倍。”姨妈的眼里坦露出一份渴求(8)。 

女人笑了笑把手从姨妈的手里抽了出来,快步走向公交车站。此时此刻,女人特别想念女儿。 

女儿出现在她面前,问女人:“妈妈,我什么时候可以搬到你那儿去,爸爸喝醉了酒会打人。”女人的眼里涌出泪水,说:“马上,妈妈攒够买房子的钱了。”女人一转头,看见前夫快步走过来,他抢过女人身上的背包,翻找着。女人一着急,醒了。烤炉里的桃酥散发着浓郁的香气,一切都只是一个梦。 

女人登录手机银行,上面的数字也让女人彻底清醒了。她将烤炉里的桃酥取出来尝了尝,很酥很甜。 

 

甘いクッキー 

性が頭を上げると、一筋の陽光がちょうど彼女の笑顔を照らし出した。この笑顔は銀行のスマホアプリに表示された預金残高を見たことによるものだった。40万という数字は春の太陽よりも暖かだった。 

女性は自身のクッキー店へ急いでやって来ると、杏仁クッキーを焼き上げた。従業員に箱に詰めさせ、母に会いに行こうと思った。子どもの頃は家が貧しかったため、母は年越しのときにだけクッキーを数枚買い、彼女と彼女の弟に分け与えてくれた。女性は離婚後にこの店を開き、いろんな味のクッキーを作っていた。 

女性は懸命にお金を稼ぎ、通帳の中の数字は増え続けた。娘は前の夫と暮らしているがうまくいっていないので、彼女はお金を貯めて小さな家を買い、娘を迎え入れて一緒に住もうと思っていた。 

女性はたくさんの荷物を提げて母の家に入っていった。おばと弟の一家3人も在宅だった。世間話をしているとき、女性は家を買うつもりであることを話した。みんなとても驚いた。ただおいだけが興味深げに、「おばさん、家を買ったら、ボクも住んでいい?」と聞いた。女性は笑って「もちろんよ」と言った。 

夜ご飯を食べた後お開きとなり、母は残った箱半分のクッキーを彼女に渡して、「お前は夜ご飯をろくに食べていなかったでしょ? クッキーでも食べなさい」と言った。女性が一つつまみ上げると、杏仁クッキーはほろ苦い味がした。 

女性のスマホの画面が明るくなり、弟のお嫁さんからのメッセージが表示された。「義姉さん、お金を貯めるのは大変だったでしょう。安易に家を買わないでね。私たちが家を買ったら、あなたの部屋も取っておくから」。女性の心が温かくなった。母は「お前の弟は県都の進学校の学区内にある家を買うつもりなのよ。おいがもうすぐ学校に上がるから、今お金を貯めているの」と言った。女性はようやくその意味を悟った。これは彼女にお金を借りようとしているのだ。 

母の家を出て、角を曲がったとき、女性は近くにおばが立っているのに気付いた。おばは女性の手を取り、子どもの様子を聞いた。「お金をたくさん貯めて、子どもを引き取りなさい」。おばの話は彼女の心に刺さった。おばは続けて言った。「あなたのいとこがあるプロジェクトに投資していて、それは稼げるという話なの。私が彼に言っておくから、あなたも出資しない? 1年もしないうちにお金が倍になるわよ」。おばの目からは必死さが伝わってきた。 

女性は笑って自分の手をおばの手の中から抜き取ると、バス停へと速足で歩いていった。このとき、女性は娘に会いたいと思った。 

娘が女性の目の前に現れ、「ママ、いつになったらママのところに引っ越せるの?パパはお酒に酔うとすぐぶつの」と言った。女性の目から涙が湧き出てきて、「もうすぐよ、ママが家を買うお金を貯めたらね」と言った。女性が振り返ると、前の夫が速足でやって来るのが見えた。彼は女性のリュックを奪い取ると、中を引っかき回した。女性は驚きのあまり目が覚めた。オーブンの中のクッキーがおいしそうな香りを放っている。全てが夢だったのだ。 

女性が銀行アプリにログインすると、その数字も女性をすっかり覚醒させた。女性がオーブンの中からクッキーを取り出して味わうと、さくっとしてとても甘かった。 

翻訳にあたって 

中国語の「学区房」は、レベルの高い学校の通学区域内にある住宅のことで、その地域の住宅はいわば「プレミア」付きとなるので、他の地域に比べて高価となる。タイトルの「桃酥」は中国の伝統的なクッキーで、ラードなどの油をふんだんに使って、さくっとして柔らかいのが特徴。クルミやゴマ入りなどが多い。 

(福井ゆり子) 

(1)手机银行 銀行のスマホアプリ

(2) 闲谈 世間話をする

(3)兴冲冲地 興味深げに

(4) (人)散去 お開きとなる

(5) 微微的苦味 ほろ苦い味

(6) 微信弹出来 メッセージが表示される

(7) 学区房 進学校の学区内にある家

(8)袒露渴求 必死さが伝わる

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