日本語人材をもっと生かせ 専攻卒業生は毎年1万5000人

2017-12-27 13:40:23

 

  中国が1977年に「高考(大学統一入学試験、かつての全国高等院校招生統一考試の略称)」を回復して以来すでにまる40年になる。日本語教育も高考復活後、改めて大学教育体系に組み込まれ、日本語教育を受けた人は増加し続けた。中日経済関係が強まるにつれ、中国の日本語人材は世界一を誇った。

 

日本からの技術移転に活躍

 筆者が進学した大学の日本語専攻の募集は、高考復活後1年目にはわずか数人だったが、82年に卒業した当時は、十数人に増えていた。80年代の日本語専攻の卒業生はほとんど大学の日本語教師になった。

 日本からの技術移転、中日企業の合弁などの分野で大量の日本語人材が必要とされた。82年に卒業した77期、78期生の中で日本語専攻の卒業生は数百人だった。昨年、全国で日本語専攻課程を持つ大学は少なくとも500以上あり、毎年3060人前後入学し、仮に30人として、毎年1万5000人以上の日本語専攻の学生が卒業している計算になる。

 中国の大学の第二外国語の選択状況を見ると、日本語はフランス語、ドイツ語、スペイン語よりもかなり多い。最近、中国の大学入学者数は年間600万~700万人で、『中国統計2016年版』によると、15年の大学入学者数は737万人で、卒業生は680万人だった。中国の大学で第二外国語に日本語を選択している学生は200万人から300万人に達している。筆者が過去40年の概数を計算したところ、日本語を専攻した卒業生は20万人以上、第二外国語に日本語を選択した卒業生は3000万人以上に達する。これに各種の語学専門学校、予備校の日本語学習者を加えると、日本語が少しは分かる中国人は5000万人前後に達し、これは日本を除いて、中国が世界で最も日本語人材が豊富な国だということを意味している。

 「われわれが中国で最も感激するのは日本語人材が豊富だということです。中国に来ている日本企業で日常使うのは日本語であり、本社とやり取りするのも日本語です」-筆者が取材した日本企業の多くの幹部がこのような感慨を述べた。

中日貿易は5年で20%下落

 しかし、今年3月に発表された日本貿易振興機構(JETRO)の『2016年の日中貿易』を読むと、中日貿易は11年に3784億㌦のピークに達した後、下降し始め、昨年は3016億に減少し、5年間の下落幅は20%以上に及ぶ。

 さて、中日経済の現状に目を向けてみよう。国際通貨基金(IMF)の統計によると、11年の日本の国内総生産(GDP)は510兆円で、昨年は521兆円に増加し、増加率は22%(ドルベースで計算すると、11年の5兆9000億から昨年は4兆7000億に減少しているが、ここではドルベースを採用しない)。同時期の中国のGDPはドルベースで11年の7兆5000億から15年には111000(昨年、元レートの引き下げによってGDP総量は11兆㌦規模を維持)、この間の増加率はドルベースで324%だった。元ベースで計算すると、11年の47兆1000億元から昨年は74兆4000億元に増え、増加率は633%だった。

 筆者がここで強調したいのは次の点だ。中国は11年から16年の間に、経済規模が増加し、中国と世界各国との貿易額も増加し、中韓間は11年の1627億から16年には、1745億に67増加し、中米間は同じく1221億から1478億173%増加した。この間、中日間の貿易額は減少したが、これは中日関係の変化がもたらした結果に違いない。12年の「島問題」発生と同年末に誕生した安倍内閣などが減退の要素だと見ることができる。

 12年以降の5年間、中国経済は持続的に成長したが、日本の対中投資は大幅に減少し、日本語専攻の卒業生は日本企業以外の就職先を探さざるを得ず、また日本企業で経験を積んだ人々も中国企業や日本以外の外国企業に転職せざるを得ない状況になっている。

Eコマースが可能性広げる

 中国人の視点から、日本で中国市場を開発できる製品を見つけ出し、電子商取引(Eコマース)方式によって、中国で販売ルートを開発することが、昨年以後に盛んになっている。日本語専攻人材に新しい就職口が生まれるだろう。

 過去40年の間、日本企業は自ら市場を開拓したいと思う製品を中国で販売してきた。家電、産業機械、自動車などは中国で大成功を収めたが、日本企業は中国で喜ばれる数えきれない生活用品があるにもかかわらず、実際に中国市場を開拓したケースはそう多くはない。ユニクロなどの即売品を除いて、成功したケースは多いとは言えない。

 現在、毎年、数百万人の中国人観光客が日本に入国している。仮に1年に1000万人以上が日本観光に出かけるとしても、依然として、中国の海外観光に出かける人数の一割にも満たない。

 かつては、主に日本人観光客向けの営業をしていた旅行会社が、今では、団体客を率いる日本旅行に転じている。過去に、日本企業の指示に基づいて、日本企業がすばらしいと考えた製品を中国にもたらし、日本方式で中国市場を開発した貿易企業が、現在ではかなり減っている。一方で、日本企業を出た人々が、自らの中国市場に関する理解をもとに、日本で中国の消費者の習慣に合う商品を探し、関連の貿易業務に携わっている。Eコマースの出現は、この種の貿易往来をさらに便利にしている。

 想像に難くないことだが、中国の次の40年の日本語教育は、さらに深く、さらに広い面へ発展するに違いない。日本語専攻は言語、文学を唯一の教育内容とせずに、日本の社会、文化などに関する教育内容を全面的に導入していくだろう。しかし、現在、日本で流行している「中国崩壊論」や「中国脅威論」、中国のテレビで放映されている「抗日ドラマ」―しばしば荒唐無稽でネットでは「抗日神劇(神話)」と言われる―は、中国人学生と日本との距離を縮めるどころか、逆にますます多くのわだかまりを生じさせ、中日貿易を急降下させることにもつながっている。中日両国ともあらためて相手国を詳しく知る新たな時期に来ているのではないだろうか。

 

人民中国インターネット版

 

 

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