陳言=文
理光軟件(リコーソフトウェア)研究所(北京)有限公司は、長年にわたってマシンビジョン技術の工業領域における応用研究を重ねてきた。一つの偶然から、この技術が新エネルギー事業に応用されるようになった。
2016年、同社の于浩社長(総経理)がある太陽光発電所を訪問した際、所員らが次のような問題について話し合っているのを小耳に挟んだ。面積が数十、数百㌶に達する太陽エネルギー発電所には、多数の発電用太陽電池パネルが設置されているが、電池の品質または遮蔽物などの原因によって、モジュールパネル上に赤外線では見えるが、肉眼では見えないヒートスポットという表面性情不良が生じる。こうしたヒートスポットは発見が非常に難しく、発電の妨げになるだけでなく、パネルを損ない、損害を拡大することもある。発電所は面積が広大で、所員が少ないために、迅速に問題箇所を発見する有効な手段はない。
于社長はコンピューティング視覚技術を熟知しているので、効率的な故障発生パネルの探索方法を考え始めた。「私たちは無人機(ドローン)にハイビジョン可視光カメラと赤外線カメラを搭載しました。ハイビジョン可視光カメラで太陽発電パネルの位置を特定し、赤外線カメラで故障発生パネルを探索、識別しました」と于社長。
これ以降、ドローンに加えてリコーの画像処理技術、人工知能(AI)技術は、新エネルギーの領域で新たな役割を発揮している。今では、その太陽エネルギーパネル自動診断システムは、数十カ所の発電所において現場実験を実施している。
巨大な電池リサイクル市場
中国工業・情報化部(日本の省に相当)など国務院の7部門・委員会が共同で公布した「新エネルギー自動車駆動用電池(バッテリー)リサイクル管理暫定法」と「同履歴追跡管理(トレーサビリティ―)暫定規定」が今年8月1日から施行された。
今年に入って、駆動用電池のリサイクルに対する巨大な市場需要が出現し始めた。華創証券は次のように予測している。今年、駆動用電池の新規廃棄処分量は11・14ギガワット時に達し、前年同期比278・9%の大幅増となり、重量では約9万2200㌧に相当し、前年同期比273・3%の伸びを示し、リサイクル需要は急成長しつつある。他方面のデータから見ると、2年後の20年には、中国の電池リサイクルの市場空間は107億元に達し、さらに、市場はその後、倍々ゲームで増加するかもしれない。
中国の電池リサイクル市場は、長期にわたって小さい町工場式の低水準の零細企業が占拠し、リチウム、コバルトなどのレアメタルは言うに及ばず、鉛などの非鉄金属も含めて、非常に粗雑な方法で回収している。
三菱マテリアルは非鉄金属の抽出・精製企業だ。同社は昨年、すでに日本で車載用リチウムイオン2次電池のリサイクル事業に着手し、駆動用電池を栃木県から福岡県まで輸送する実験を行い、廃棄電池の保管、移送などの分野で大量の実験データを取得し、今年2月には関連レポートを作成している。
中国の駆動用電池のリサイクル市場が急成長する前に、日本の技術を中国市場とどのように結び付け、ビジネスモデルをどのように確立するかという課題についていえば、その解決は簡単ではない。日本企業が環境を無視する小さい町工場と競争できるとは限らないし、中国の大企業と協力関係を構築できるか否か、今後、しなければならないことは少なくない。
異なる中日の家電回収方法
中日両国にはそれぞれ古い家電の回収に厳格な法律の規定がある。日本では消費者が家電処理費用を支払い、地方自治体が回収に責任を持ち、企業が分別し、分別後に取得した金属などの原料の販売利益はその企業に帰属する。このようなビジネスモデルは、企業に安定的な利益をもたらし、日本の家電リサイクルは比較的よく整備されている。
中国の古い家電は長い間、回収者が消費者に一定の代金を支払って、入手する仕組みだった。地方政府は古い家電のリサイクルに一定の行政支援をしているが、地方政府によってその金額は異なり、今後も続く保証はない。結果的に、地方政府側が出資してリサイクル工場を建設することになっている。それは、消費者から古い家電を購入する費用がかかるため、運転資金が不足しているからだ。古い家電を購入して、リサイクルしやすい部分だけ回収する小さい町工場が、金にならない部分を野ざらしにしているのが実情で、深刻な環境問題だけが残されている。
日本の地方自治体のように古い家電を組織的に回収し、その後、企業に渡して再処理させるには、中日政府間、企業間に新しい協力モデルを構築しなければならない。現在、私たちはまだこの面の協力にお目にかかったことがなく、中国の古い家電のリサイクル問題は今後、ますます緊迫化するだろう。
リコー研究所が協力モデル
冒頭で紹介したリコー北京研究所による太陽光発電所の巡回検査サービスは、急速に中国企業の関心を集めた。今年3月22日、北京中科利豊科技有限公司(中科利豊)と同研究所は「再生可能エネルギーAI共同実験室」の設立を発表し、クロスボーダー・インキュベーターと国際協力の新しい段階を切り開いた。
そのビジネスモデルは次のような構造になっている。
北京の中関村管理委員会と海淀区政府の支援の下に、リコー北京研究所は16年1月に、中関村大河資本とクロスボーダー協力を行い、共同で大河リコー創新アクセラレーターを設立し、多国籍企業が得た科学技術成果の産業化、実用化の効率を向上させることに全力を挙げ、創業企業に大企業のサービスプラットフォームを開放し、クロスボーダー・インキュベーターと国際協力などのサービスを提供する。
この2年余りの間に、この種の協力メカニズムを通して、一群の中関村ベンチャー企業のインキュベートに成功し、中科利豊はこれらの企業の中の典型的な例だ。
大きく成長した中科利豊は一転して、研究所との協力を強化し、今年3月、リコー北京研究所と共同実験室を設立し、ロボット機器の巡回検査、風力発電所の点検修理、工業への仮想現実(VR)、拡張現実(AR)応用の面などで、関連製品の研究開発を推進している。投入する技術研究開発費は、18年から21年の3年間で3千万元を上回る。大河資本と藍馬資本は直接投資の形で、中科利豊の実際の運営に参加する。同時に、中科利豊は北京市政府の関連する政策的な支援も受ける。
中科利豊とリコー北京研究所は共同実験室のプラットフォームを利用して、さらに協力関係を拡大、深化させる道を模索している。中国企業と協力して新市場を開拓するケースで、リコーと中科利豊は日本の先端技術を中国に根付かせ、実用化し、業界横断的に使用して、一つの新思考、最新モデルを確立した。
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